にくたまうどん - ボクロスモデル
「…………で、その後は?」
しびれを切らして思わず口を開いた。「てか何そのカオスな展開。頭のおかしい五重奏のお歴々、突如湧いて出た助太刀・ピンク男……。もはや三文小説じゃん」
投げやりなボクの言葉に、振り返ったZIPANDAは「ンもう」と不服そうだ。回転チェアをくるっと回して気取ったように足を組む。
「仕方ないデショウ。アタクシ達も切羽詰まってたし、……ホントに、目が回るくらい怒涛の展開だったのヨ。逃げ切るだけで必死だったモノ」
「……全然『仕方なかった』って顔じゃないんだけど?」
ボクの指摘にZIPANDAが顔を曇らせる。
「ほら、眉に皺寄った」
「……チョット失礼よォ」
さらに眉を寄せるZIPANDA。そのままハァ、と深い溜め息をついた。「────ま、図星なんダケド」
ZIPANDAは遠い目をしたまま回転チェアを戻し、再びモニターを見つめた。モニターには作曲用の画面が表示されているけど一向に進む気配がない。ZIPANDAの指は手元のキーボードの上を滑っていくだけ。
ZIPANDAの部屋は暗い。派手な色をしたクッションも、妙にギラギラしたワードローブも、全てが電気の消えた空間に鈍い色のまま沈んでいる。光源はレースカーテンが引かれた窓だけ。その窓の外も細い雨がしとしと降っていて、大した明るさもない。こいつ自身、もしかしたら電気を点けていないことに気付いていないのかもしれない。
今度はボクがハァ、と溜め息をつく番だ。
「変にヘコまないでくれる? ボクが悪いみたいじゃん。それよりさっさと続き話してよ、その為にボクを呼んだんでしょ?」
部屋の鏡は全部伏せてある。いつもならいっそ気持ち悪いほどにそこら中に並び立っている鏡も、ボクが来る前からあらかじめ伏せてあった。きっとボクへの配慮のつもりなんだろう、余計なお世話だ。
「続きもナニも、その後は自然に解散したワ。元々会う予定だった街ロマちゃんに会えたとはいえ、楽しくおハナシする空気でも無かったモノ。……だけど」
ZIPANDAが頬杖をつく。「────あのコが、塞いじゃってて」
「そりゃそうでしょ。人質にされて、爪で刺されて、さらには『死んでくれ』なんて言われたら誰だって塞ぐよ」
それにしても、と呟きつつ、カーペットに寝そべった。毛足の長いところがいかにもZIPANDAが好きそうなやつだ。
「ZIPANDAとNovodyの2人がついていながら、こうもあっさりやられるなんてねー。全然守れてないじゃん、あの子」
その言葉が決定的だったのか、ZIPANDAが口を噤む。……本当に図星なようだ。まあ仕方のない面が多々あるだろうが。
ZIPANDAの異能『ブラック センセーション』の本質は声そのもの、いわばZIPANDA自身が生きた音響兵器だ。そして「音」という広範囲に影響を与えるものである以上、K汰やNovodyの異能とは違い、明確な指向性を持たせにくい。今回みたいに誰かが人質として拘束され、その人質が「耳を塞ぐ」という選択肢を取れない以上、むやみに使えるわけがない。まして狭い路地裏で使うなんてのはまさしく諸刃の剣だ。ZIPANDAがすぐに異能を使わなかったのは、ZIPANDA自身がそのことを十分に理解していたからだろう。
そして、その一瞬の躊躇を"トリ"は見逃さなかった。
聞く限り、トリは早い段階でZIPANDAの喉に掌底を当てて声を潰したようだし、向こうとしてもZIPANDAの異能を少なからず警戒していたんだろう。喉は人体の急所、ZIPANDAが日頃どれだけ自分の身体をケアしていようと、そこから復帰なんて出来るわけがない。つまり仕方がない。
が、それをZIPANDA自身が認め切れていないんだろう。
心のどこかでは仕方がない、と冷静に判断できている。でも感情の面で飲み下しきれない。もし自分が、仮に自分が、あのとき自分が。そんな言葉が湧いては消え、湧いては消える。そんなとこだろう、だってボクだってきっとそう思う。
「でもま、仕方ないよねー。肝心かなめ、暴力しか取り柄のないK汰が早々にやられたんでしょ? まあそれはどうでもいいんだけど。あの"トリ"と"カル"にひ弱な2人が敵うわけわけないもんねー。うんうん、仕方ない仕方ない」
「……言ってくれるじゃナイ」
ボクの言葉にZIPANDAがムッとした。ようやく違う顔が見られた。
「ソレを言うなら、たまチャンこそ。こんな大事な時に一体ドコに居たのカシラァ? キティちゃん達が街ロマちゃんと会う約束をしてたって知ってたでしょう、何でアノ日は付いて来なかったのヨ?」
「あれれー知らなかったかな? 悪いけど、ボクは別におまえらのお仲間じゃないんだ。ついこの間まで大の大人に寄ってたかって軟禁されてた可哀想なカスだからさ? 仲良しごっこはそちらでどーぞ」
「またソンナ卑屈なこと言っちゃって……、バッド・シャイニーよォ。ソレに、"仲良しごっこ"が本当にキライなら、どうしてアタクシの話を聞きにココまで来てくれたのカシラ?」
「なになに、まさか"ボクにも友情の心が芽生えた"とでも言いたいわけ? 生憎だけど君たちには興味ないんだ。期待させちゃってごめんね? ムカついちゃうよねざまぁ?」
アラ、と気取った風に腰に手を当てるZIPANDA。
「ソンナこと最初っから知ってるわァ。たまチャンがホントの意味で"仲良く"したいのはキティちゃんだけだものネ? ……そして今日来てくれたホントの理由は『自分が居ない間にキティちゃんが傷付いてしまったことに対する自分自身への苛立ち』……。そうデショ?」
ハッ、とZIPANDAの言葉を鼻で笑う。
「わースゴイすごーい。勝手に人の感情を推し量ってイイ気にならないでもらえる? ボクがそう思ってるって根拠は?」
だけどZIPANDAもふふん、と笑った。
「根拠はないわよォ。でも分かる────アタクシだってきっとそう思うから」
しばらくお互いに何も言わなかった。ボクの睨みをZIPANDAが何食わぬ顔で受け止める。ほの暗い部屋の中を、微かな雨音だけが満たす。
先に飽きたのはボクの方だった。
「……相変わらずきもちわる」
「ンフフ、お互いサマよォ」
そう言うZIPANDAの顔に、もうさっきのような翳りは見えない。いや、鳴りを潜めている、とでも言えばいいか。ともかく辛気臭い顔からは脱したみたいだ。
「それで? あの子の怪我は大丈夫なの?」
「アラ、アタクシの怪我は心配してくれないのカシラァ?」
「……そういうのいいから本当。おおかた、全員まとめて"区員さん"辺りにでも治してもらったんでしょ?」
「Exactly♪ さすがは『ぷらす』ちゃんよねェ、傷も痛みも全部治しちゃうナンテ」
ZIPANDAがそっと喉をさすっている。光源が少ないからよくは見えないけど、腫れているようにも見えないし、声を出すことも問題ないようだ。ぷらす(本名はイツキだったか)の異能──「外傷の完全治癒」。最大手のPは異能の力も桁違いとか、これだから"主人公"は困る。
「もちろんキティちゃんの怪我もキレイさっぱり治ってるワァ。……外傷はネ」
「……トラウマ、か」
人質にされた挙句、K汰たちへの見せしめとして痛めつけるように爪を刺されたと聞いた。そんなのもはや拷問だ。ZIPANDAから伝え聞いただけでも、その不快さが身に染みて理解できたし、ボク自身腸が煮えくり返った。
"Quar"。五重奏の中でそう呼ばれていた男。最初にボクをあのグループに誘ったあいつだ、そういう手段に出ることなんて容易に想像できる。そして想像できることが酷く気持ち悪い。
ZIPANDAもボクの表情を汲み取ったようだ。「アタクシも同じ気持ちよ。ダケド、あの"カル"って奴だけじゃないワ。もう1人──"トリ"って呼ばれてたカレに『歌え』って命令されて、あのコは……」
「"トリ"、ね……」
"Tri"。五重奏のメンバーチャットの中でもほとんど発言しない男。時々"カル"に絡まれて仕方なくあしらっている光景は何度か見たが、それ以外では意見も思想も述べることなく、ひたすらチャットを静観していたのが印象に残っている。けどまさか、そこまで過激な奴だったとは想定外だった。
「カレが言ってたワ、『可能性はあった』って。……たまチャンも知ってたのよネ?」
ZIPANDAの何かを含んだような言い方。でもその言い方で理解できた。数日前の朝、公園で話したことをK汰かNovodyにでも聞いたんだろう。
────あの子が、上手く歌えないこと。
「……知ってたよ。でもそんなの、ちょっと想像すれば誰だって分かってあげられるでしょ? 現実世界に来てから今まで歌ってるところなんて見たことないし、電子海と現実世界じゃ物理法則が違うんだから声の出し方だって違うはずだ。……何よりあの子はバーチャルシンガーだ! 『音源に沿って歌うスキル』と『自分から歌うスキル』は完全に別物だってことくらい、Pなら理解できて当然でしょ、違う?」
「たまチャン……」
あの子はこっちの世界じゃ上手く歌えない。それは記憶が無いことも関係しているだろうし、そもそも構造が違う世界にいるということも関係しているだろう。
そして、ボクは知った。今のあの子と出会って知った。「唄川メグ」とあの子は違う。見た目だけじゃない。その在り方も、心情も、歩んできた想い出だって違う。たとえあの子の記憶が全部戻ったって、きっとあの子はあの子なんだ、っていう確信がある。
でも事実として、あの子はかつては「唄川メグ」だった。推測だけど、おそらく『歌え』という命令に本能的に逆らえなかったんだろう。
そして話を聞く限り、トリはそれら全てを承知の上であの子に命令した。あの子が上手く歌えない可能性を鑑みた上で、逆らえないであろう命令という形で、あの子に歌わせた。そのくせ勝手に失望し、あまつさえあの子本人に「要らない」と吐き捨てた────。
親指の爪を噛むボクに、ZIPANDAは何も言わなかった。
「……たまチャン、知ってる範囲で教えてチョウダイ。あの2人は何者なノ?」
その言葉に顔を上げるとZIPANDAと目が合った。何かを決意したような、爆発させるその時まで熱を極限まで溜め込もうとするような、そんな瞳だった。
「……悪いけど、ボクも知ってることは多くない。あいつらの異能の詳細はもちろん、"トリ"が誰なのか、特定だって出来てないんだ」
けど、ZIPANDAは「ンフフ」と不敵に笑った。
「アラ、アタクシを誤魔化せるとでも? たまチャンの言い方からして、『特定できてない』は『特定までは出来てないけど大まかなアタリは付けてる』ってところデショ? それにたまチャン、前に『誘われて参加してた』って言ってたわよネ。『"トリ"が誰なのか』って口ぶりからして、キミは"カル"が誰なのか知ってる、違う?」
自信たっぷりなZIPANDA。その様子に、思わず吹き出してしまう。
「アハハッ、ほんときもちわるーい! これが同族嫌悪かな?」
「ンフフ、ステキな褒め言葉ネ。シャイニィーッ!」
「一言も褒めてないって何で分からないかなぁ??」
内心で溜め息をつく。ほんと、皮肉を聞かない人種はこれだから嫌いだ。カーペットの上であぐらを組み直す。
「"カル"──あいつは『荊アキラ』だ」
「荊アキラ、って……『夜想』とか『パペットダイナー』の? でもアタクシ、前にイベントでカレに会ったことあるケド、あんな顔じゃなかったはず、…………ああなるほど、そういうコトね」
そこまで言ってZIPANDAは納得したように頷いた。
「そ、あいつは異能で自分の身体を自由に弄れる。十中八九『ウォモ ウィトル ウィアーノ』が元になってるだろうね。あいつのメグ曲の中では代表曲っぽいし」
荊アキラ。5年ほど前に楽曲『墜落天使』でデビュー後、ダークで攻めた歌詞とエレクトロスウィング調の曲でリスナーの心を掴み、一気に著名Pの座まで上り詰めた、正真正銘の"奇才"だ。
「ダケド、その『ウォモ』……って曲? 正直あんまり印象にないわァ。聞いたことはあるかもしれないケド……」
「そりゃあねー」と言いつつ、伸びをするように腕を頭の後ろで組む。「この前ボクらは過去のメグ曲を一気に思い出せたわけだけど、肝心の"声"はまだでしょ。他のボカロ曲と違って、いくらバズッた曲でも完全に思い出せてるわけじゃないんだ。まあ荊アキラの異能が『ウォモ ウィトル ウィアーノ』ってのはほぼ間違いないよ、再生回数も1000万超えてるしね。問題は"トリ"の方だけど……、そっちもアテが無いわけじゃない」
「ンもう、なによ焦らしちゃって。ソンナに言いにくいコなの?」
少し呆れたようなZIPANDA。でもこれくらいの焦らしは勘弁してほしい。なにせ勿体ぶってるわけじゃない、嫌疑だけで名前を上げるのが憚られる程度には大御所、ってだけだ。
「────『℃-more』だよ」
その名前を聞いたZIPANDAの動きが止まった。「……またスゴイ名前が出て来たわねェ。一応聞いておくけど、あの『トキサヤ』の『℃-more』?」
「それ以外にいないでしょ。あと多分だからね、多分。異能の元になった楽曲も不明だし」
そう念押しはしたけど、こっちも十中八九と言っていいだろう。
℃-more。今は「トキサヤ」というユニットで作曲者としてメジャーデビューしているP。疾走感のあるサウンドと爽やかな文体の歌詞で人気を博す、夏のこの時期を代表するPの1人だ。
ZIPANDAがハァ、と力が抜けたように回転イスに背を預ける。「ホント、誰を取っても超が付くほどの一流ネ。何だかクラクラしてきたワァ……」
「えー、なになに。ボク喧嘩売られてる? ZIPANDAが言うとマウントにしか聞こえないんだけど?」
「そっくりそのままお返しするわヨ。アタクシからすればキミだって羨ましいものォ。その卑屈さを否定はしないけど、少なくともアタクシの前では必要ないワ。ヨロシクて?」
ともかく、とZIPANDAが口を開く。「これでやっと実感したワ。アノ五重奏ってグループのメンバー全員が只者じゃない、ってコトね」
組んだ腕の上で指をトントン叩くZIPANDA。事の重大さがようやく身に染み始めたみたいだ。──でも。
「でも、それだけじゃない」
ZIPANDAも真剣な面持ちで頷く。
「……ええ。これからの五重奏は、より能動的にアタクシ達を襲いに来る」
ZIPANDAの言う通り。聞く限り、五重奏の面々はもうあの子に興味を持っていない。それどころか「要らない」とまで口にした。
「どうでも良い」じゃなく「要らない」。
それは、もはや宣戦布告だ。
「いまあの子は?」
「とりあえずヒロちゃん家にいるワ。アタクシのこの家も、勿論K汰ちゃん家も、もう場所が割れてるって前提で動いた方がイイでしょうしネ。ヒロちゃん家ならまだ滞在したことナイみたいだし、イツキちゃんやミヤトちゃんも居るから戦力的にも応用が効きやすいんじゃないか、って」
「……それ、誰の入れ知恵?」
「モチロンK汰ちゃんよォ。……チョット、あからさまにイヤそうな顔しないノ」
まあいいか。ZIPANDAの言うことも一理ある。外傷を治せる異能に、代償なしで人形操作ができる異能。前衛と後衛がいるなら、もしもの時にも時間稼ぎくらいは出来るだろう。
「あっそ。それじゃ、せいぜい頑張って」
そう言ってスマホを起動させたボクを、ZIPANDAが呼び止めた。
「アラ、もう行っちゃうノ?」
「……悪いけど、その"仲間ヅラ"止めてくんない? 本気でキモいから。話が終わったなら後はボクには関係ないし、そもそもおまえらと仲良しごっこする気なんて更々無いし」
「ソレは分かってるわよォ。アタクシが言いたいのは、『もう情報収集に戻っちゃうノ?』ってコトよ」
……もう溜め息をつくしかなかった。ここまで読まれると本当にイライラする。もう皮肉を投げる気にもならない。
メグ絡みだけじゃない。ボクがここ数日電子海に潜って、五重奏のメンバーに関するありとあらゆる情報を精査してたことに、こいつは気付いている。
「カレらは、まず間違いなくたまチャンの動きに勘付いてる。キミの異能を逆手に取ってワナに嵌めるくらいするデショウ。それも、生半可なワナなんかじゃないハズ。キミは遊撃隊のつもりかもしれないケド……」
ZIPANDAの瞳の奥が揺れる。
「────キミ、下手すると本当に死ぬわよ?」
けど、ボクは鼻であしらうことにした。同族だからこそ、きっと全部筒抜けなんだ。だったらあしらうぐらい許してほしい。
「はいはい、大きなお世話をわざわざどーも。それより自分たちの心配しなよ、せっかくの異能も満足に使いこなせてないそっちの方が真っ先に死ぬとボクは思うんだけど?」
「たまチャン、」
「言っとくけど、ボクはおまえらみたいに彼女をむざむざ人質に取られてワンパンされるような、そんな無計画で無様なことはしない。五重奏の奴らに捕まって死ぬ気もない。ほら、ボクは臆病で惨めったらしいただの凡人だからさ?」
でも、と奥歯を噛みしめる。
「人がせっかく見つけた"好き"なものを平気で踏み躙る──そんな奴を許せるほど、ボクはバカじゃない」
あの子の姿が目に浮かぶ。臆病で、気が弱くて、触れれば傷付きそうで、でも絶対に完全に折れることは無い。傷付きながらも前を向こうと、前を向きたいと、そんな意志を捨てないあの子の姿が。まるで鏡写しのように、ボクに心の奥底に眠る感情を意識させて止まない。
ボクが捨てきれない、ボクが心の底でずっと燻ぶらせている感情。それと同じものを抱くあの子が傷付けられたなら。
────それは、ボクが傷付けられたのと同じだ。
「とゆーわけで? おまえらと一緒に行動して、何ひとつ思い通りにいかないまま潰されるだけなのはダサすぎて吐き気がするし。ボクはボクで勝手にやるからさ。おまえらはせいぜい楽しいお仲間ごっこでもしてなよ」
それじゃ、と起動したスマホに右手を突っ込む。人差し指から順に感覚が薄れていく。冷たく心地いい、柔らかい海に沈んでいくような、いつもの感覚。ZIPANDAは今度こそ何も言わなかった。
ボクは沈む。電子の海に潜っていく。多分もうここには戻らない。こいつらと一緒に行動することも多分ない。それでも──、いやだからこそボクは、ボクに出来ることをする。
他でもない、ボクの為に。
「あ、そうだZIPANDA」
「ナァニ、せっかくの腐れ縁解消チャンスを撤回でもしてくれるのカシラァ?」
「なわけないでしょ……脳みそ湧いてんの? 単にあのK汰に伝言しといてってだけだよ」
「アラ珍しい。別にいいケド、何かしら?」
「────────K汰の、異能について」




