表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

Dr.ウルフと、DOLL神楽

作者: 沖田 楽十

注意‼️


一部、医療関連のやり取りがありますが、全く知らない為、ほぼ想像で書いています。

なので、色々とツッコミ処があります!

 2XXX年。人類は、科学の進歩を遂げた。

 薬品等の実験を、鼠やモルモット等で試してきたが、とうとうロボットで実験して成功した物を人間に使っても、何も問題がないと検証されたのだ。




「ハッ…。アンドロイドだか何だか知んねぇけど、そんなもんで、人間様の体と同じにされちゃあ、堪ったもんじゃないねッ」


 テレビのリモコンを握り締め、空いた手で頭を掻き毟る千条せんじょう遥人はるとは、医者である。

 プライドが高く、理屈っぽく話す彼は、来訪してきた患者達からは恐がられていた。

「ダメよ、そんな事言っちゃ…。好いじゃない! 実験動物が減るのよ。ハルだって、嬉しいでしょ? 」

 そんな彼を窘めるのは、妻の千鶴ちづる。屁理屈の遥人でも、彼女には何も言い返せなかった。

 惚れたが負け。そう。遥人は、顔や態度では表さないものの、千鶴にはぞっこん、惚れていた。


「ハル。患者さんが来たら、ちゃんと対応して、応急処置してね。…あ、でも、出来ない場合は、R総合病院に頼ってね」

 奥さんというより、御母さんみたいな口調で要点を述べると、千鶴は出掛けていった。


 彼女の背中が見えなくなると、遥人はソファーに腰を沈め、肘掛けに足をダランッと伸ばし、テーブルに置かれたリモコンを手にすると、テレビの電源を切った。

 テーブルの隙間から、四畳半の和室部屋に、キチッと畳まれた白衣とワイシャツが置かれているのが見える。溜息が洩れた。

 ――此れじゃあ、ゆっくり休めない…。

 仕事道具は、家庭に持込みたくないタイプの遥人は、体を起して白衣とワイシャツを自分の視界に映らない処に移すワケでもなく、唯々黙って見詰め、厭きたのか、天井に視線を移した。


 電話が鳴った。

 めんどくさいので無視するが、余りにもしつこいコールに押され、電話に出る。


「もしもし。ただ今、S病院は忙しくて電話に出る事が出来ません。ピーッと鳴ったら、用件を伝えて下さ―」

「何ふざけてるんだ! アンタ、千条千鶴さんの旦那だろ?! 奥さんが大変だ! 至急、R総合病院に来てくれ! 」






「な……嘘だろ? 」

 第一声が其れだった。情けない…。

 血が通ってないのが一瞬にして分る程、青白い肌に、触れると冷たい。まるで、人形の様だ。


「道端に倒れてたらしい。血だらけで、誰かに撲られた後もあった」

「……のかよっ」

「あ? 」


「テメェ医者のクセに、千鶴を救えなかったのかよッ!! 」


 千鶴を手術した執刀医の長谷川はせがわに殴り掛るが、他の医師や看護婦達によって、羽交締めにされ止められる。

「離せ! 離せ! 一発殴んねぇと、気が済まねぇんだッ!」

 ジタバタともがくが、誰一人離してくれなかった。其れ処か、溜息が聞える。



「千条先生」


 名を呼ばれ、顔を上げる。背を向けていた筈の長谷川は、此方に向直っており、真剣な顔付で言った。

「最善を尽くしたつもりだ。だが、死なせてしまった…。本当に、すまない! 」

 頭を下げられた。此れじゃあ、もう何も言えない。


 こんな所に何時まで居たって何も事態は変らないと思い、妻の亡骸を抱き抱えると、此処から出ようとした。が、呼止められる。

「そんなもん持って、何処行く気だ? 」

「黙れッ! 御前には、関係ない所だ! 」

 思いっ切り唇を噛んだ。痛い…。血が出たかもしれない。だが、遥人はそんな事よりも、亡骸とはいえ、愛する妻を物扱いした長谷川が許せなかった。


「チキショウ!! 絶対、アイツを負かしてやる…ッ」





















 目が覚めた。

 怠い体を起し、時計を見ると、朝の三時半。いや、深夜といった方が好いだろうか?の時間だった。


「チッ…」


 舌打ちする。眠気が全く起きない。既に、此の時間に目覚める習慣になっていた。

 千鶴が亡くなってから、今日で丁度十年の月日が流れた。

 あの日自身に誓ったアイツ、長谷川を負かすといった言葉は、まだ果たせてない侭だった…。


「すまない、千鶴…」

 彼女が居なくなってからというもの、患者の足取りが減った。其の為、今じゃ、生活や経営が不安定な状態だった。


 多くの患者は、最後に置き土産代りにこう言う。

 ちづちゃんが居た時は、アンタは、そんな風に私達に当らなかったのにねぇ――と。

 思い知らされる。自分が、どれだけ彼女に支えられ、何も出来ない、無力な人間なんだと…。

 そんな彼は、巷で、Dr.ウルフというあだ名で、呼ばれていた。理由は、よく言えば一匹狼で行動するカッコいい奴、悪く言うと、人付合いが出来ない奴という意味を込めてものらしい。


 ふと、気配を感じた。泥棒だろうか? 息を殺し、そっと、気配を感じるキッチンへと向った。




「ヤァン! 熱ッ! 」


 ジュッジュッと、何かを焼く音。其れと、何か焦げ臭い。オマケに、嫌な煙が、排気口に向って、上っていく。

「オイ。何やってんだ? 」

 泥棒? と思われる相手の肩をポンッと叩いた。相手はビクッと体を揺らせ、ゆっくり肩越しに振返る。

 一瞬、千鶴が生き返ったんだと思った。だが、よくよく見ると、全くの別人だった。


「アタシ、アンドイドノ神楽ッテ、イーマス」


 何も聞いて無いのに、ペラペラと、自分の身の上話まで話し出す此の女性に、半分呆れ、殆どの話は受流して聞いていた。

 其処で、やっと煩い口が治まったので、質問してみる。


「で? 御前は、何でウチに居るワケ? 」


「オ前ジャナイデス! 神楽デス!! 」

「だぁかぁらぁっ! 何でアンタが、此処に居るか? って訊いてんだよ! 不法侵入で訴えるぞっ! 」

「ソンナノ決マッテルジャナイデスカ! ハルト、トカイウ医者ノ、助手ニナルンデスカラ」

「はぁ?! 助手!? 俺は、そんなの聞いてないぞ! 」

「フエッ? ダッテ、会長サンハ、貴方ノ所ニ行ケッテ言ッタンデスヨ…」

「何だって!? 」



 朝早く、迷惑だと思ったが、今はそんな事御構い無しに、神楽が言う会長、多分、医師会の会長(だと思う)に電話を掛けた。


『はい…』


 予想通り、機嫌の悪そうな声だった。

「S病院の千条です」

『あー…其の様子だと、如何やら届いたようだね』

 やっぱりそうだった。少しムッとしながらも、あくまでも冷静に用件を伝える。すると、会長は言った。

『知らないのか? 今、何処の医療でも、アンドロイドはある状態だと、法律で定まってるだろ』

「何!? 」

 受話器を持った侭、肩越しに神楽の方へと振返る。神楽と目が合った。彼女は顔を真赤に染め、「ソンナ見詰ナイデ下サイヨォ♥ 」と照れていた。背筋が寒くなった。


「すまないが、新しいのに取り換えてもらえませんか? 」


 其の一言を言った瞬間、鳥肌が立った。

「センセー、アタシヲ捨テルンデスカァ? 」

 今にも泣きそうな顔で見詰てくる神楽に問われ、返す言葉が出てこず詰った。

 受話器越しでは、此方の様子が分らない会長が、『う~ん…新しいのねぇ』と、話が勝手に進んでいる。

『じゃあ、古風な感じの、泉ちゃんにす――』

「あー!! もう、好いんだ! うん。俺、此奴気に入ったし、やっぱ好いわ。じゃあな、会長』

 言葉を遮り、さっきの話を撤回する様伝えると、素早く電話を切った。


「センセー! 嬉シイデス♥ ソンナニ、神楽ノ事ガ、好キナンテェ…」

「……ざけんな」

「フエッ? 」

「ふざけんなッ! 俺は、アイツ以外の助手なんて、絶対認められないからなっ!! 」

「エ? アイツ…? 」


 放心状態になった神楽と擦違い様、「御前なんか、居なくたって、俺は一人でもやっていけるんだ」と彼女にワザと聞える様に呟いた。


「アイツッテ、誰ダロ――!? イヤァァン!! 卵焼キガ焦ゲチャウ!! 」

 だが、神楽にはそんな嫌味が通じなかった。











 其れからというもの、遥人と神楽の、奇妙な共同生活が始まった。

 黒に少し茶が掛った髪は、後ろに束ねて結んでる。日本人離れのスカイブルーの瞳に、どれ位日に当ってないんだと聞きたくなる色白肌。そんな持主の神楽は、今日も御主人様に気に入られる様に、頑張っていた。


「神楽特製、美味シイスープデ御座イマス! 」

 そう言って差出されたスープ(?)と思しき物体は、緑色のドロドロとした液体に、凄い汚臭がしていた。正直、食べられた物ではないと、本能がいった。


「要らねぇよ」

「エ…? デ、デモッ! 朝食抜キマスト、チカラガ出マセンヨ! 」

「好い。営業時間前に、どっかのレストランなんかで朝食取る。其れでなくても、コンビニで食い物でも買えば好い。少なくとも、御前が作った物よりはマシだ」

「……ソ…ソウデスカ…」

 神楽は落込んだ。だが、めげなかった。絶対、遥人に認められようと思った。






 其れからも、神楽は精一杯努力した。診察の時は、さり気無く遥人の助手を熟した。相手にされなかったが。家事全般だって、自分なりにやった。失敗ばかりだったが…。初めて尽くしだから、出来ないのはしょうがない。其れに、アンドロイドには、得意不得意がある。其の中で、神楽は、食事が真面に作れる様になった。



 今迄、一口も食事にあり付けなかった遥人が、とうとう彼女の料理に手を付けた。神楽は嬉しかった。思わず、遥人に抱き付く。

「…なっ…何だ?! 」

「センセーガ、ヤット、アタシノ作ッタ物ヲ食ベテクレタァ!! 」

 涙を流して感動する神楽に、機械でも涙は出るんだなと感心しつつ、何処かで彼女の事を、ほんの少し、気を許していた。そんな自分が可笑しくて、つい、吹出す。


「フエ?! セ…センセーガ、笑ッテクレタァ!! 」

「馬鹿、御前で笑ったんじゃねぇよ。…唯、自分の中で、何かが整理出来てきたんだなぁと、思って、な」

「セイリ…? 女性ガ、一年ニ一回ハアルト言ワレル、アレノ事デスカ? 」

「断じて違う。其れに、一年に一回じゃなくて、一カ月に一回な。アンドロイドなら、其れ位知っとけよ」


 今度は、神楽が吹出した。

 何笑ってるんだ! と怒る遥人に、神楽は柔かく笑い、「ヤット、会話ラシイ会話ガ出来マシタ」と言った。すると、遥人は赤くなった顔を手を隠し、「馬鹿…」と呟いてた。




 其の日から、二人の距離は縮まった。

 遥人は、神楽の手料理を最後まで食べる様になった。そして、彼女が仕事場に居ても、文句を言わない。更に、助手として認める様になった。千鶴以来だ。自分の隣に居るのは。


 遥人は、次第に神楽に惹かれていった。





















 数か月が経った、ある日の事だった。

 神楽の御蔭で、患者が徐々に増えた頃、遥人は神楽を目で追っていて、あれ? と思った。


「如何シタンデスカァ、センセー? 」


「……いや。何でもない…」

 何でもなくなんか、無かった。似てるのだ、彼女に。仕草とか、考え方とかが。最初は偶然なんじゃないかと思った。だが、何度も千鶴を思わせる素振を見せられると、流石に疑ってしまう。


「…千鶴」

 思わず彼女の名で呼んでしまった。だが、神楽は反応しなかった。



(馬鹿馬鹿しい。神楽が、千鶴なワケないだろ! 何でまた、疲れてるんだな…)

 そう解釈すると、ソファに腰を下ろし、其の儘横になった。天井を見ると、至る処が痛んでる。何年位此の家に住んでるんだっけ? と考え込んでると、突然額に冷たい物が当った。


「!」

「アッ! ゴメンナサイ!! センセー、具合ハ如何デスカ? 」

「如何って、普通だよ」

「デ…デモ! センセー、元気無イジャナイデスカ! 好ケレバ、神楽ニ話シテ下サイ!! 」


 真剣な目付きでそう言う神楽に、遥人は彼女の顎を掴み、顔を近付けた。


「…だったら、テメェの事が知りたい」

「…エ? ナ…何言ッテ…」


 神楽の言葉を遮る様に、壁に拳をぶつけた。ビクッと体を揺らせ、其の場から逃れようとする神楽の腕を掴み、抱き寄せた。

 暴れる彼女の耳元で、「何でもいう事聞くアンドロイドなんだろ? だったら、ヤラせろよ」と囁いた。最低だ、と思った。

 彼女は更に暴れた。何とか押え付ける。すると、くぐもった声で、何か言われた。神楽を引き剥がし、「何? 」と問う。パチンッと、何かが弾かれた音がした。頬に、紅葉の様な跡が出来る。打たれたのだと、瞬時に分かった。


「…何すんだ。其れが、ご主人様に対する態度か? 」

「そうよッ! だってハル、何時にもまして乱暴なんだもの! 一発でも打ん殴らなきゃ分らないじゃないッ!! 」

「……御前、片言は…」

「ハァ…ハァ…ハルの…バ…カ…」


 神楽は倒れた。肩を揺さぶるが、反応が無い。壊れたんじゃないかと、思った。服の中に手を入れ、心臓(機械の中心部)に触れる。動物と変らなく、ドックンドックンと心臓が波打っていた。

 最近の機械は、よく出来てんなぁと感心しながらも、違和感を覚えた。頭の片隅で、人間の臓器がアンドロイドの中に埋め込まれてるんじゃないかと直感した。だが、まさかと思った。

 そんなSF的な、其処まで進歩した機械文化じゃない筈だと思ってるからだ。だがもし、仮にそうだとしたら、犯罪だ。実験用動物にやってる事と、変わらない。


「…」


 生唾を呑込む。専門外の外科的処置を行うからだ。ましてや機械の人間なんて、もってのほかだ。だけど、知りたかった。神楽が、千鶴なんじゃないかと考え込むのは、もう嫌だった。

 暗闇の中、一つの灯りの下で、遥人はメスを握り、神楽の体を切り開いた。





















『千条遥人氏、U大臣及び、医療関係者二十九人の悪事を暴いてくれたと賞して、感謝状を渡す。どうぞ』手渡された感謝状を受け取り、遥人が頭を下げる姿がブラウン管に映る。神楽が興奮気味に、「何デ、何デデスカ! 」と訊いてきた。


「…何が? 」

「感謝サレテアノ紙貰ッテルノニ、何デセンセーガ頭ヲ下ゲテルンデスカァ!? 」

「あれはそーゆうもんなの。何でか知んねぇけど」


 何時も通りの口調や態度の神楽に、若干ガッカリしてるものの、元気そうな彼女に、「神楽」と、さっきとは違った暗いトーンで呼んだ。

「…何デスカ? 」

「御前は、アンドロイドだ」

「知ッテマスヨ、センセー。其レガ如何カシタノデスカ? 」



『――えー詰りですね、アンドロイドの配給を停止するとともに、現在使われてるアンドロイド全てを回収する方針だと、国会で可決したものです。近日には、回収を行う模様。続きましてのニュースは―』其処で、テレビがプツッと切れた。遥人が消したからである。


「ア…アタシハ、センセート、ズット、居タイデス! 」

「だが、回収は規則となってる。恐ろしいよな? 折角創られたアンドロイドが、まさかの人間の臓器が埋め込まれ、出来損ないとか気持ち悪いとかっていう身勝手な理由で、回収した挙句、打っ壊すんだからな」

「チ…違イマスッ! 私ハ、センセーノ事好キダカラ、ダカラ一緒ニ、居タイ―…」

「拒んだくせにか? 」

「! ……ソ…其レハ、センセーガ、行キ成リ…」

「好いか、神楽。突然だろうが前提だろうが、そんな事関係ねぇ。御前が、俺を拒否った事には、変りねぇんだから」

「…」


「其れに俺は、規則破ってまで、御前を護りたくねぇんだ」


「…!? 」

「俺を自由にさせてくれないか、千鶴」


 神楽の頬に、一筋の涙が、伝った。








 其れから三日後。アンドロイド回収業者の人が、遥人の所へやって来た。


「じゃあ、回収させてもらいやす」

 そう言うと回収業者の久本とかいった男は、神楽の腕を乱暴に掴み、無理矢理トラックの荷台に詰込んだ。そして、トラックは発車する。


 荷台のドアはアルミ製で、両サイドにドアがあるタイプだ。ドアには硝子が張詰められ、中の様子が丸見えだった。

 神楽と目が合う。棄てられたペットの様な、とても胸が痛くなる様な程、泣きそうな顔をしてた。遥人は、耐えられなくなり、思わず目を逸らした。



 段々離れていくトラックを暫く見送り、家の中に戻る。彼女の声で騒がしかった家の中は、火が消えた様に静まり返っていた。

 遥人はソファに腰を下ろすと、テレビを付ける。寂しさを紛らわす為に。だが、何時ものクセで、「神楽、コーヒー」と頼むが、応答はない。彼女は居ないのだから、当り前だが。


「…っ」


 ――もし、一緒に住みたいって頼み込めば、また、千鶴…いや、神楽と一緒に住めるのだろうか?



 遥人は腰を上げると、出掛ける支度を始めた。神楽がまだ、プレス加工されてない事を祈りながら、アンドロイドが集められ処分されるというクリーンセンターへと、車を走らせ向った。





















end?


後書き

元々、此の話は実験動物として命を削られてるマウスが可哀想で、何時か実験動物を使わなくても薬品を作れる様になったり、病原を詳しく勉強出来る時代がくれば好いなぁと思って作ってたら、こうなりました・・(>_<)

何時も以上の駄文かも、此れ…

タイトル名は、医者の遥人とアンドロイドの神楽からです(分ってるわ!そんな事!)

因みに、神楽が具合が悪いと不調を訴えた辺りから、彼女は千鶴だという自覚があります!(ややこしくてすいません…)

其れと!其れと!(え…まだあるの?)悪事を働いてた医療関係者の事ですが、長谷川も其の一人です…(分り辛くて、ホント、御免なさい…)


続き…です↓
















 ガタンゴトンと揺れる車内。此れからどうなるんだろうと呟くアンドロイドや、泣き喚くアンドロイド達の中、神楽はジッと窓際に貼り付いたまま、外の景色を見ていた。



 ――センセー…モウ、会エナイナンテ、ヤダヨ


 其の時、クラクションが鳴った。見覚えのある車が此方に向ってくるではないか。

 トラックを運転する回収業者の人は何だ何だといった感じで車を止め、ドアを乱暴に開け、車から降りた。神楽は其の様子を窺う。見覚えのある車はブレーキを掛けたらしく、キイィィィと耳障りな音を立て車体を止めた。そして、見覚えのある人物が降りてくる。


「…ッ! な…何…で…? 」


 神楽は驚いた。無理も無い。ついさっき自分を捨てた御主人様が、追ってきたのだから。

(私を、連れ戻しに来てくれたのかなぁ)

 そーゆう期待と同時に、全く関係ない理由で追ってきたのかもしれないという考えが交錯した。前者であってほしいという思いだが、期待してもし違った時のショックの打撃は大きい。其れなら、最初っから期待しない方が好い。

 神楽はなるべく遥人に見付らない様、体をしゃがめ、コッソリ外の様子を窺う事に切替えた。


 暫く二人は話合うと、回収業者の人の方が折れたのか、こっちに向ってきた。内側からじゃ開けられないドアがいとも簡単に開き、回収業者の人と目が合う。手招きされた。


「?」

「所有者の許可なく壊す事は犯罪なんで、俺、まだ捕まりたくないんでねぇ。つーわけで、あばよ」


 そう言われ、無理矢理荷台から降ろされると、トラックは発車して行ってしまった。

 唖然と、暫くトラックが向った方向を見詰めてると、腕を掴まれ、乱暴に立上らされた。バッと振返ると、感情の読めない顔で、遥人が此方を見詰めていた。


「…」

 何って言ったら好いか、分らなかった。文句を言いたい筈なのに、言葉が出てこない。


 すると突然、抱締められた。一瞬、何が起こったのか分らなかった。理解するまで時間が掛って、時間差で赤面してしまう。ズルい、と思った。


「……御免。売る様な事して…」

「…本当ニ、反省シテル? 」

「あぁ。やっぱり、御前が居なきゃ、俺の時間は止ったまんまだ」

「クスクス…ハル、ウンン、センセー。本当ニ反省シテルナラ、海外映画ノ様ニ、愛シテルッテ、言ッテ」

「……へっ? 」

「言ッテ! 言ッテッ!! 言ワナインナラ、家出シチャウカラネ」

「わ…分った! 言う! 言いますよ! …………ゴホン。千鶴…いや、神楽。好きだ、愛してる。此れからも、一緒に居てほしい」


「…!」


「…」

「…」

「…プッ」

「…ククッ…」




 其の後、二人は暫くの間笑い合った。

 そして、笑うのを止めると、神楽の「帰リマショウ」って言葉に遥人は頷き、二人は手を繋ぐと、待ち惚けを喰らってる車の所へ歩み寄った。





















end

初出【2011年7月14日】を読み直して……


私にしては難し過ぎるテーマの中、よく、書こうと思ったよ、私(`・ω・´)

それに……回収した方が好かったかな??と思う伏線も残ってる気がするけど、私好みなラストを描いてくれた!!!!

それだけで、またこういった話を描けたらなぁ!って気持ちに駆られたよ!!過去の私、ほんっっっとうに有難うな❗️


此処まで読んでくださった皆さまも、長々とした内容にお付き合いくださり、有難う御座います!!!!m(__)m❤️❤️❤️❤️❤️



この話の続きを書こうと思った事は何度かあるのですが、、

私の好きなラストに持っていける自信がなくて、この形の侭、終わらせます


でも、もし書けるかも⁉️(〃ω〃)と思った時がきたら……

その時は、遥人先生と、千鶴改め神楽さんのやり取りにまた、お付き合いくださったら嬉しいです!!

宜しくお願いします!!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ