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岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
一章 ほのぼのとした日常
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岸サヤカは懐いていないつもりでいる。

私は今サヤカを探している。というのも、ここ最近放課後になると彼女は用事があると言い、どこかへ消えていく。どこへ行ってるの?と聞くと、「秘密。」と言ってスタコラサッサとどこかへ走っていった。

日に日にサヤカの行方が気になり、悪い考えばかりが浮かんでいった。誰かからカツアゲされているとか、私に隠すほど親密な関係の相手が出来たのか。前者なら許せないし然るべき対応はする。だけど、後者の場合・・・私はどうすればいいんだろう。

モヤモヤとする想いで頭が一杯になりつつも、【追いかけないと】という使命感のようなものに背を押され、私はサヤカを探しに校内を走り回った。

しかし、校内のどこにもサヤカの姿はなかった。ならばと外に出て、校舎裏に向かってみた。なんで校舎裏に行こうと思ったのか、理由はシンプル。校舎裏というのはカツアゲスポット、もしくは告白スポットだからだ。この学校の校舎裏は窓から見えず、周囲は木々で囲まれている為、隠れて何かをするというのに適した場所になっている。


校舎裏に行くと、そこには誰もいなかった。サヤカがカツアゲされていない事にホッとしたが、ますます彼女がどこに消えたのか分からなくなってしまった。

サヤカの行方について考え込んでいると、茂みの中からガサゴソと何かが動いた音が聴こえた。


「誰だ!」


突然の物音に、咄嗟に怒号を飛ばしてしまった。すると、茂みからバッと姿を現した人物がいた。その人物は、サヤカであった。


「サヤカ?」


「・・・アキ?」


「サヤカ、そんなとこで何やってんの?」


「え?そ、それは~・・・」


サヤカは何か隠している。言葉にせずとも、彼女の顔がそう言い表していた。すると、茂みの中から猫が飛び出し、私の足元に近づいてきた。


「猫?」


「あー、バレちゃった・・・実はね、その子がここに住んでいるのを最近見つけて、よく遊びに来てるの。」


「なんで秘密に?」


「あんたに言えばみんなに広まりそうだし、私じゃない誰かに懐くかもしれない。私が最初にこの子を見つけたのに、最初に懐くのが私じゃないなんて嫌じゃない。」


そう言ってサヤカは茂みから出て、手を広げて猫を自分に呼ぼうとする。しかし、猫はサヤカの方など一切見ず、私の足に頭をこすりつけながら可愛らしい鳴き声を発した。


サヤカが私に隠れて会っていたのはヤンキーでも恋人でもなく、猫であった。猫・・・猫かー・・・まぁ、猫ならいいか。


「私の考えすぎだったな・・・。」


「え?なにがよ?」


「つまらない事だよ。サヤカ、この猫の名前って何?」


「あ、そういえばまだ付けてなかった。」


座り込んで猫を膝の上に置いて頭を撫でると、猫は私が撫でる手に頭を押し付け、気持ちよさそうな表情を浮かべていた。


「なんかサヤカみたいだね、この子。私の手に頭を押し付けてくるなんて。」


「全然似てないでしょ?私があんたにデレデレするなんて、そんなのあり得ないわよ。」


「え?でもこの前、というか最近も私が撫でてあげたら頭を押し付けて、幸せそうな顔してたじゃん。」


「してない!してないから!」


「も~、素直じゃないな~。この子みたいに素直になってくれたら、もっと撫でてあげるのに。」


膝の上で寝転がる猫の頭やお腹を撫で回し、ふとサヤカの方を見ると、サヤカは歯を噛み締めながら嫉妬の眼差しを向けていた。その眼差しを向けているのが私なのか、この猫なのか分からない。

すると、サヤカは私の前に座り込み、私の膝の上から猫を引き離して自分の膝の上に乗せた。


「あ、ちょっとそんな強引に引き離すなんてさー。」


「あんたの撫で方は雑なのよ。見てなさい、撫でる時はこんな感じで優しく―――」


サヤカが猫を撫でようとした瞬間、猫はサヤカの膝の上から離れ、そしてすぐに私の膝の上に戻ってきた。


「なっ!?」


「おーよしよし。お前は私がいいのか?」


「わ、私が最初に見つけたのに・・・。」


「そう落ち込まないでよサヤカ。頭撫でてあげようか?」


「っ!?私はあんたなんかに懐かないわよ!?絶ッッッ対にね!?」


サヤカは私のおでこにデコピンをし、逃げるようにこの場から走り出していった。


その後10分程猫を撫でた後、校門前に行くとそこでサヤカが壁に寄りかかって私を待っていた。サヤカは私の姿を見るや否や背を向けたが、私が隣に来るまでその場に立ち止まっていた。


「待っててくれたの?」


「別に!ほら、帰るわよ!」

岸サヤカ

・犬か猫かと言われると猫。


黒澤アキ

・犬か猫かと言われると犬。

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