表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
最終章 忘れられない夏休み
79/81

祓い士からの試練

「さて、早速だけど試験を始めさせてもらうよ。」


「試験って・・・一体なんの―――痛っ!?」


風間 晶が私の方に近付いてきたかと思いきや、太ももに短刀を刺してきた。痛みもあるが、それよりも何故短刀を刺してきたのか? という困惑の方が大きかった。


「い、いきなり何すんだ―――痛っ!!?」


私の質問が終わる前に短刀が一気に引き抜き、私の太ももをジッと凝視する。


「・・・・・・・・・・10秒か。他の部位の傷も10秒の間に塞がるのか?」


「知らないよ・・・私だってまだ把握出来ちゃいないんだよ。」


「ふむ。それじゃあ次は身体能力だ。」


そう言うと、風間は私と距離を取りながら縛っていた光の縄を解いた。さっきから何がしたいのか分からんが、とりあえず身動きは取れるようになった。このままサヤカを背負って逃げ出したいが、ここがどこかも分からないし、風間の力が不明なまま下手に動けば、私だけじゃなくサヤカの身さえ危険に晒す事になる。


「逃げようだなんて考えない方がいい。この屋敷には大量の罠が仕掛けてある。屋敷の構造も分からないお前が生きて出られると思うなよ。」


「ちっ・・・やって欲しい事をさっさと言えよ。」 


「これからお前の身体能力及び戦闘センスを試す。条件としては呪いの力の使用は禁止。使った場合はお前の友達は死ぬ。」


「殴ったり蹴ったりしていいって事か?」


「呪いの力さえ使わなければ何でも―――」


「先手必勝だ!!!」


またおかしな術を使われる前に間合いを詰め、顔面に向けて蹴りを放った。当たる寸前の所で避けられてしまったが、一気にこっちのペースに持ち込めた。おまけに避けた瞬間の風間の焦った表情には気持ちが昂った。

反撃の隙を与えないように、蹴り終えた直後にすぐに体勢を整え、パンチをするフリをする誘いと本命を混ぜた連撃を繰り出す。

風間は私のパンチを避けていくが、完全に私のパンチに集中している。それを確認した後、私はパンチの連撃の途中で脛に蹴りを当て、体勢を崩した風間の顔面ど真ん中に向けてパンチを振り上げた。体勢を崩した矢先に繰り出したパンチは流石に避けられまい!


(入った!!!)


「ッ!?」


振り上げたパンチは見事風間の顔面ど真ん中にクリーンヒットし、このまま振り抜こうとした。しかし、不思議な現象が目の前で起きていた。

私のパンチをもろに喰らっている風間と、後ろに下がりながら指輪を構えるもう一人の風間がいた。

その時、私は今更パンチの手応えの無さに違和感を覚えた。確かに私のパンチは風間の顔面にめり込み、人の顔面をこれでもかと拳から感じ取れる。

だが・・・何だろう、上手く言葉に表せない。強いて言うなら、夢の中の出来事みたいだ。夢の中では空を飛べたのに、目が覚めて飛ぼうとしても飛べない。【空想と現実】のような違いだ。

違和感を覚えながらもパンチを振り抜くと、さっきまで殴っていたはずの風間の姿が煙のように掻き消えていった。


(幻!? どうりで手応えが!)


「空間術 奇々怪々。」


私が幻を幻だと理解している間に、風間は術を発動した。周囲の空間に網目の線が入り、空間がバラバラになるや否や、バラバラになった空間のピースは形を成していき、さっきまでとは全く違う空間に作り上がった。

四角状に作られた足場がいくつもあり、下は奈落の底に繋がっているかのように暗闇が広がっている。


「私の術で空間を少々変えさせてもらった。さっきの攻撃・判断能力は実に良かった。ここから更にレベルを上げるぞ。」


風間はコートの中から二枚のお札を取り出し、頭上に放り投げた。二枚のお札が光り輝くと、その光の中から赤と青い鬼が現れた。

赤鬼と青鬼のどちらも2mは優に超えており、体格や威圧感は昔話で聞いていたものよりも凄まじい。


「この空間の中でこの二体の鬼を倒してみろ。今回も呪いの力は使わずにな。それでは・・・行け。」


「「ガゥア!!!」」


二体の鬼はその大柄な見た目とは裏腹に、素早い動きで空間に浮かんでいる足場を移動しながら、私が立っている足場へ近付いてくる。


(速いな。体の動きがアスリートの比じゃない。おまけにあの岩のような筋肉。攻撃を防御しても意味は無いだろう。だがこっちも大分人間離れした力と身体能力を手に入れているんだ。勝負にはなる!)


と言っても、流石に二体一の状況は避けたい。そう思い、私は他の足場へ飛び移り、左から来ている青鬼から遠ざかりながら、右側にいる赤鬼と一対一の状況を作ろうとする。

鬼達は私の思い通りに動いてくれて、青鬼を大分離した状況で赤鬼と同じ足場で対面する事が出来た。

同じ足場に来た途端、赤鬼は自らの剛腕を力任せに振ってきた。その攻撃を身を屈みながら避けつつ、空いたボディにカウンターでパンチを放った。


「グワァ!? ガァァァァ!!!」


「ほっ! おっかねぇ!」


一瞬よろめいたかと思いきや、赤鬼はまた剛腕を振って、私の体を吹き飛ばそうとしてきた。その攻撃を避けて後ろに下がり、青鬼が近くまで来ている事を目にした後に別の足場へと移動した。流石に一撃では仕留められなかったが、こちらの攻撃は効いているようだ。


(このままタイマンし続ければ倒せるかもしれないが、いずれこっちの考えに気付く。それまでに出来るだけ赤い方を弱らせておかないと。)


足場に着地し、鬼達の距離を確認しようと振り返ると、既に赤鬼と青鬼が並んでこっちの足場に飛び込んできていた。


「早すぎだろ!?」


今から他の足場に移動しても状況は変わらない。一瞬だけ風間の方を見ると、あいつは高い位置にある足場から私の事を見下していた。そんな風間の姿に、私は吹っ切れて考える事を放棄してしまった。


「逃げるなんて馬鹿らしい! 戦いは向かってなんぼだよな!!!」


「「ガァァァァァ!!!」」


「がぁぁぁぁぁぁ!!!」


向かってくる鬼達に走っていき、最初に攻撃してきた赤鬼の攻撃を避け、すぐ次に来る青鬼の蹴りを跳んで避け、首を横切るように飛び蹴りを放つ。クリーンヒットした青鬼は大きく上半身が逸れ、追い打ちを掛けるチャンスだった。

しかし、後方にいる赤鬼から殺気を感じ取り、瞬時に屈んで裏拳を避け、飛び上がりながらアッパーを当てて、頭突きも当てる。赤鬼は顔を抑えながら後ろに下がっていき、ほんの少しだけ青鬼との一体一の状況を作り出せた。

見ると、青鬼はまだ朦朧としており、青鬼の後ろに回って頭の角を掴んで顔を上に向かせ、顔面に拳を何度も振り下ろして首の骨を折った。


「まず一体!」 


赤鬼の顔面に頭突きを放ったお陰で右目が潰れて死角になっている方から近付き、赤鬼の肩に飛び乗って片方の角を引っ張り出し、その角で赤鬼の脳天を突き刺した。確実に仕留める為に突き刺した角を叩き、更に深く突き刺す。赤鬼はまるで糸が切れたかのように腕がプラ~ンとなり、ゆっくりと前に倒れていった。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・! おい風間! 二体共倒したぞ! これで満足か!?」


「おおむね満足だ。次が最後だ。」


そう言うと、風間は一枚のお札を放り投げ、お札は人一人を収監出来る檻に変わって私の下に落ちてきた。避けようとしたが間に合わず、私はまんまと檻の中に入れられてしまう。


「お前の実力は把握出来た。次は彼女の番だ。」


風間の指輪が緑色に光ると、私の目の前にサヤカがこの空間に入ってきた。


「なに、この空間・・・なんであんた檻の中にいるのよ?」


「これも試験内容だとよ。全く、あいつは私らに何をッ!? ぐ、グアァァァァ!!!」


「アキ!? 大丈夫なの!?」


な、なんだ!? 急に苦しくなって・・・意識が・・・!


「最終試験だ。呪いの力に溺れる友人を取り戻してみろ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ