決着
今回もアキ視点です。
内容を変えた為、投稿遅れました。
左腕の呪詛の力を引き出そうとして、一瞬アサから意識が逸れてしまい、それが隙を生んでしまった。空間から出てきたパンチが左頬に当たり、そのすぐ後に右の脇腹にも蹴りが放たれた。
「がぁっ!?」
重く伝わる痛みを感じる間もなく、すぐにまた空間からアサの攻撃が始まり、今度は私の後頭部を掴んで地面に叩きつけようとしてくる。地面に叩きつけられる瞬間、咄嗟に右腕を顔の前に置いて地面に叩きつけられるダメージを抑え、後頭部を掴んでいるアサの腕を左腕で掴んだ。
「掴んだ! 引っ張り出してやる!」
掴んだ腕を捻って後頭部から手を離し、引っ張りやすい体勢になって空間からアサを引っ張り出そうとした。
しっかり地面に立って踏ん張り、腰も使って全力でアサの腕を引っ張っていく。
「ぐぬぬぬぬぬ!!!」
最初こそ手応えを感じなかったが、だんだんと空間から腕が出てきて、肩の部分まで見える程引っ張る事が出来た。
このまま顔が出るまで引っ張り、出てきた所に強烈な膝蹴りを喰らわせようとしたが、別の場所の空間から蹴りを放って抵抗してきた。蹴りは足や脇を集中して当ててきて、私の体勢を崩すのが狙いなのだろう。
だが、これまで嫌という程アサの攻撃を喰らってきたので痛みに慣れ、歯を食いしばれば耐えれた。
「いい加減! 観念しやがれってんだ!!!」
グイッと体を捻ると同時に一気に引っ張り、遂にアサの顔を空間から引き出す事に成功した。すかさずアサの顔面に向けて膝蹴りを放ち、痛みを感じている間にアサの髪を掴んで空間に逃げ込まないようにして、また膝蹴りを喰らわせた。
何度も・・・何度も・・・。
「ウォラ!!! オラァ!!! オラァ・・・! ヌアァ・・・!・・・ゥア・・・!」
ここまで何度も全力で膝蹴りをした事は無い。普通の相手だったら一発で気を失わせられるが、今回の相手は普通とは程遠い異質な相手だ。
膝はアサの返り血で赤黒く染め上がり、アサの顔は血と呪詛が混じってグチャグチャに潰れていた。
それを見て、私は初めて恐怖を覚えた。今まで意識を失うまで殴った事はあったが殺す気は無かったし、実際一人も殺した事は無い。
だが今回は違う。殺す気で何度も膝蹴りを放った。最初こそここで仕留めなきゃ、もうチャンスは無いと思っていたから何も感じなかったけど、アサの抵抗が無くなって私も疲れ始めた頃、初めてアサの顔がちゃんと見えた。もはや人の顔とは言えぬまでグチャグチャになったアサの顔を。
「はぁはぁ・・・はぁ・・・ふ、ぅぅ・・・!」
手は震え、息が整えられない。グチャグチャになったアサの顔からネットリと垂れる赤黒い血と何かの小さな塊から目が離せない。アサも私も、完全に戦意喪失してしまった。
「ぐ、ふぅぅぅ・・・はぁぁぁ・・・!」
「・・・・・・・・・ガア!!!」
「なっ!?」
突然アサが目覚め、私の腕を掴んで、今度はこっちが空間の中に引きずり込もうとしてきた。
「は、離しやがれや!?」
「アキ!!!」
すると、私の腰回りに青い光の縄が巻き付き、後ろへ私を引っ張ってくれた。後ろを振り向くと、サヤカが指輪から青い光の縄を出し、私を一生懸命引っ張ってくれていた。
しかし、アサの引っ張る力の方が僅かに上で、徐々に私の体は空間の中に招かれていく。まだ私は呪詛の力を使い慣れていない。このまま空間の中に引きずり込まれれば、脱出するのは絶望的だ。
「いい加減・・・いい加減離せよ! 馬鹿野郎がぁ!!!」
私の怒りが爆発すると、左腕の呪詛が紫に発光しながら蠢き出し、その光が私の腕からアサに流れ込んでいくと、アサの体は爆発したかのように破裂した。
「いっ・・・!?」
「ひぃ!?」
「・・・ははは・・・なんか、あれだな、うん・・・勝ったから良し! よっしゃあ!!!」
結局呪詛の力をどうやって使えたのかは分からずじまいだけど、勝ったので私は雄たけびを上げた。そんな私をサヤカは若干引き気味で見ていた。
「サヤカー! 私、勝ったよー!」
「あー・・・うん、おめでとう・・・?」
「よっしゃ! やっぱ私の方が強かったな!」
全身に浴びたアサの生暖かい返り血の気持ち悪さを身に沁みながら、私は晴れやかな気分でサヤカの方へと帰っていった。
次回からサヤカ視点に戻ります。




