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岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
最終章 忘れられない夏休み
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異次元との戦い

アキ視点に切り替わります。

黄金の大樹の下に辿り着いた私達。見上げても果てが見えぬ大樹の存在感に改めて圧倒された。呪詛が浮かんだ左腕で大樹に触れると、大樹はその身に大きな穴を開き、大樹の底へと続く螺旋状の木の階段が出現した。

中は外側の眩い黄金色とは真逆で、薄暗い。階段の幅も狭く、落下防止の柵は見当たらない。


「どこまで続いてるの?」


「地の果てまでだろ、文字通り。」


「・・・アキ。」


「ん?・・・へぇー。」


後ろを振り向くと、あいつが立っていた。私の左腕と同じような呪詛が全身に浮かぶアサが。


「スベテハ・・・ウミニ・・・カエル・・・。」


目は虚ろで、言動がおかしくなっている。どう見ても正気じゃないな。


「この大樹に操られてる?・・・アキ、急いで下に―――」


「ちょっと待ったサヤカ! 大樹を祓うのは一旦後回しだ。」


「は?・・・あ、あんたまさか・・・!」


「あいつとの決着をつける前に殺されたからね・・・それに自分と同じ容姿の奴が誰かにいいように操られてるのが気に食わねぇ・・・! 先に進む前に、あいつとの決着をつけさせてくれ!」


「・・・はぁ。分かったわよ・・・その代わり、絶対勝ってね。」


「もちろん勝つよ。」


上着を脱ぎ捨て、シャツの袖を肩にまで捲る。呪詛が浮かんでいる左腕を回して状態を確認した・・・うん、変わりなく使えそうだ。


「さて・・・決着つけようか、アサ。」


「スベテ・・・カエル・・・オマエモ・・・。」


「操られてお前も本望じゃ無いだろ。安心しろ、すぐにぶっ殺してやる! 覚悟しろやゴラァァァァァ!!!」


地面を蹴り上げるように駆け出し、その勢いを乗せてアサに殴りかかった。しかし、アサは私のパンチを軽く避ける。だがそれは予想していた。私の初撃を避け、カウンターを放ってくるだろうと。パンチを空振りしても、目だけはアサの姿を離さずに捉えていたから、私にカウンターの裏拳を放とうとしているのが見えている。

後ろに飛び下がるようにしながら体を捻り、回し蹴りをアサの顔面目掛けて放った。この攻撃は予測出来なかったようで、回し蹴りは私の狙い通りにアサの顔面にクリーンヒットした。


(良い手応え! しかもモロに喰らわせた!)


確かな手応えを感じながら、アサの顔面にめり込んだ蹴りを振り抜こうとした矢先、突然アサの姿が消えた。


「なっ!?」


驚いて一瞬気が緩んでしまったが、素早く体勢を整えて待ち構えた。四方八方探してみたが、どこにもアサの姿は無い。逃げた・・・という線は無いだろう。

おそらく、あの呪詛の力で空間に一時的に隠れたんだ。私が開いた空間と同じなのかは知らないけど、いつでも姿を消して突然現れるのは厄介だ。


「サヤカ! あいつがどこから来るか探れるか!」


「だから私は指輪の力の使い方が分からないんだって! それに戦いはあんたの得意分野でしょ!?」


「あー、それもそっか・・・そんじゃ、勘でいくか。」


と言っても、今回の相手は今まで戦ってきたそこらのチンピラとは格が違う。今までの常識を捨てていかなきゃ、まともに戦えない。


(どっから来る? 後ろか、上か、それとも正面か?)


考えうる襲いかかってくる場所を予測しながら、その場所に素早く一撃を放てるように構えを取る。姿、もしくは気配さえ感じ取れれば、私の体は勝手に動いて確実に当てる。そんな自分の野性を信じ、五感を研ぎ澄ます。


(・・・来る!)


アサの気配よりも先に殺気を感じ取った。しかし不思議な事に、感じ取った殺気は正面でも、背後でも、真上でも無く、私自身からだ・・・いや違う! 


「真下!?」


視線を真下に向けた瞬間、アサの足裏が眼前にまで迫ってきていた。咄嗟に顔を逸らして避けたが、今度は真後ろから殺気を感じ取った。依然として目の前にはアサが蹴り上げた直後の姿があるというのに。


「がっ!?」


後頭部に金属バット・・・いや、ハンマーで殴られたような痛みと衝撃が走った。するとすぐに今度は右頬に同じような痛みと衝撃が走り、そしてまたすぐに腹部に同じような痛みと衝撃が。


(一体何がどうなって・・・なっ!?)


状況を把握しようとその場から離れた時、さっきまで私がいたそこには異様な光景があった。そこには、何も無い空間から腕や足が生えていた。肌に浮かんでいる呪詛を見るに、主はアサだろう。

さっき体験したあの攻撃の数々は、アサが別空間から腕と足だけをこっちに出して攻撃してきたものだった。別の空間に入れる事は分かっていたが、まさか体の一部だけを好きな場所にだせるなんて。


「なら、こっちも!・・・あれ?」


アサのように別空間に入ろうとしたが、そもそもさっき空間の入り口を作れたのもマグレな訳で、まだ自分の思い通りにはいかない。

私の左腕に浮かんだ呪詛のお陰でアサと同じ力を使えるはずなのだが、あっちと違って私は空間の入り口さえも開けない・・・つまり、圧倒的に不利な状況だ。


「やっば、勝てっかな・・・ぶふぉあ!?」


そうこうしている内に、また別空間からのアサの攻撃が始まり、今度は腹部を抉るように殴ってきた。


(マズ・・・結構良いの喰らった・・・! 私も別空間に行けるようにならなきゃ、手も足も出せずに負けちまう・・・!)


「アキ!!!」


「っ!?・・・くそっ!」


(そうだ、サヤカが見てるんだ! このままボコボコにされる訳にはいかねぇ! 意地でもこの左腕の力を引き出してやる!!!)

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