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岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
最終章 忘れられない夏休み
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最後の希望

この真っ白な空間に来てから一体どれくらいの時間が流れたんだろう。1日・・・1週間・・・もしかしたら、1分も経っていないかもしれない。もう時間の感覚までおかしくなってる。それに、もう立ち上がる気力さえ残っていない。

それもこれも、全部アキの所為だ・・・なんて、廃人紛いになった今でも思ってしまっている。結局、私が悪いのに。

思えば全部そうだった。あの聖恋島に行こうと言ったのも私だし、アキに友達が出来なかったのも私が束縛した所為。心を許せる相手がアキしかいないのに、アキに対する好意が恋と自覚した高校からは、アキにこの気持ちが悟られぬようにキツく当たってしまった。そしてキツい言葉を吐いた後に、アキが私から離れてしまうと思って勝手に怖くなって、またアキに縋りついた。

自分が寂しくならないように孤独の穴をアキで埋めて、それが溢れ出そうになると自分から穴を掘って、新しく出来た孤独の穴をまたアキで埋める・・・自分勝手だ。


「アキ・・・アキ・・・アキ・・・アキ・・・」


それでも今はこの穴を埋め尽くしたい。穴が開いたままじゃ、私は死んでるも同然・・・でも、アキの名前を呼び続けてもアキは現れないし、穴は塞がらない。それどころか、穴はもっと深くなっていき、私の体温や感情、それらが穴の底へと吸い込まれていく。

最後に見たアキの姿・・・頭から血を流したアキの姿が頭から離れない。あの時伸ばしていた手の意味は、私を助けようとしてくれたのか、それとも助けて欲しかったのか・・・こんな二択が思い浮かぶ自分が嫌になる。


(助けて欲しかったに決まっている! あんなに頭を叩き付けられたら痛いに決まっている!! 助けが欲しかったのはいつだってアキだった!!!) 


私が私の頭の中で叫んでいる。分かってる・・・そんな事、分かっていた・・・だからもう、私を責めないで・・・。


(全部あんたの所為だ! アキが死んだのも! アキに友達が出来なかったのも! アキが辛い目に遭うのはいつもお前の所為だ!!!)


やめて・・・やめてよ・・・私を苦しませないでよ・・・。


(お前なんか!!! 死んでしまえ!!!)


「やめてぇぇぇぇぇ!!!」


「サヤカちゃん!」


「いや! いやいやいやいやぁぁぁぁ!!! 私を責めないでよぉぉぉ!!!」


「落ち着いて!・・・落ち着け!!!」


「っ!?・・・ルー、さん?」


「・・・自分を責め過ぎないで。君が壊れてしまったら、私はアキちゃんに殺される。」


「でも・・・でもでも、アキは私の所為で死んだんだよ!? 私がいたから! 私が傍にいたから―――」


「アキちゃんはまだ死んでいない・・・と思いたい。」


「・・・死んで、ない?」


アキは死んでいない・・・その言葉が私を落ち着かせる嘘だったとしても、今の私が欲しかった言葉だ。


「確証は無い。でも、生きていればまだ希望はある。」


そう言ってルーさんは自身が着けていた指輪を外し、私の右手中指に着けてきた。


「サヤカちゃん。アキちゃんを助けたい?」


「助けたいです!・・・でも、どうすれば・・・。」


「君の、アキちゃんに対する想いが必要だ。」


「私のアキに対する想い・・・。」


「祓い士は自身の内に秘めた想いを解き放つ者。その想いを糧にして、指輪は想いを力に変えてくれる!」


すると突然、空間全体が激しく揺れ始めた。この空間を作り出したルーさんから指輪が離れてしまった所為だろう。


「結界が崩れる。そうなれば、あの島に私達は戻されてしまう・・・君の体は指輪が守ってくれる。」


「君はって・・・それじゃあルーさんは―――」


「時間が無いから一度しか言わないよ! いいかいサヤカちゃん、君はどこかにいるアキちゃんを見つけるんだ! そしたら二人でこの厄災の元凶を絶ってくれ! 君達二人の想いなら、きっと祓える!」


「ルーさん!」


「きっと大丈夫、君達なら・・・じゃあね、楽し―――」








一瞬だった・・・一瞬の間に、私は聖恋島に戻っていた。そして・・・ルーさんは消えてしまった。


「ルーさん・・・くっ!」

  

今は喪失感に浸る余裕は無い。ルーさんが最期に私に託してくれた事をやらないと!


「・・・島が、変わってる・・・。」


改めて島の方へ向くと、そこはもう私達が足を踏み入れた時のような姿とは全く違う姿へと変わっていた。

島の生い茂っていた木々や島を囲っていた海の水は全て枯れ果て、島の中央部分には巨大な黄金の大樹が空を貫いている。その大樹からは絶えず黄金の粒子が雪のようにシンシンと振り続けており、その粒子を浴びた鳥達が地面へと墜ちていく。


「あんなの・・・あんな物、存在しちゃいけない!」


その時、私の中指に着けていた指輪が青く光った。その光は一筋の光となってどこかを指し示していた。

きっとこの光の先にアキがいる。何故かそう断言出来てしまった。


「アキ、今助けに行くから!」

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