頼もしい助っ人
最終章です。
【最終章】 サヤカとアキは夏休みを使って聖恋島と呼ばれる人魚の伝説がある島へ来ていた。その島にはアキと容姿が酷似したアサが住んでおり、この島には人魚の祝福と呪いがある事を二人に打ち明けた。
サヤカとアキはアサの案内の下、人魚の祝福と呪いについて調べていくが、それはアサの罠であった。
アサは全身白塗りの不気味な手下を操ってサヤカとアキの二人を捕まえ、アサにとってのサヤカを復活させる為の生贄にしようと企んでいた。
この島に辿り着いたルー・ルシアンと共に、サヤカは島の中に捕らえられているアキを探しに再び島の中に潜り込み、三人でこの島からの脱出を試みようとするが・・・
「いやっ!!!離してよ!!!」
「「・・・。」」
白塗りの二人に捕まった私は、島の奥深くまで連れて来られていた。さっきから逃げようともがいてるけど、まるで石のようにびくともしない。ならばと肩や腕を噛んでみたけど、二人共声を上げる事すらなく、私に手を出そうともしてこなかった。
私は一体どこに連れて行かれるんだろう? それに、アキは無事なんだろうか? 私を捕まえているこの二人と違って、あっちの白塗りの人はアキを容赦なく長い棒で殴り付けていた。今頃島の中のどこかに捕まっているんだろうか・・・捕まっているだけならまだ安心できるけど、そこで更に暴行を加えられているのかもしれない。
とにかく今はこいつらから逃げる事に専念して、逃げていく途中でアキを探そう。
「・・・なに、あれ・・・?」
進んでいく先に十字架が立てられていた。真っ暗闇の中でハッキリと見える程に真っ白な十字架、大きさは人一人を拘束するのに十分な程の大きさだ。
まさか、私をあの十字架に貼り付けようとしているの? だとしたら逃げるチャンスは今しかない・・・でも、どうやって・・・。
「「ベ!ベベベベベ!!!」」
「な、なに!?」
突然彼らが奇声を上げながら激しく痙攣し始めた。気味の悪い行動だけど、痙攣して力が緩んでいる今なら逃げられる!
私は二人の拘束を振り解き、後ろに振り向いてそのまま真っ直ぐ走り出した。暗闇で足元が見えない所為で、何度かつまづいてしまったけど、それでも走る事をやめなかった。
「はぁはぁはぁ・・・!!!」
さっきからずっと走り続けていても暗い景色は何一つ変わらなかった。私は本当に真っ直ぐ走っているんだろうか? そう思ってしまう程、島の中は暗かった。
これじゃあアキを見つけるどころか、この島の中から外に出る事すら出来ない。
「どうすれば・・・あれ?」
遠くからこっちに向かって何かの光が近付いて来てるのを目にした。懐中電灯の明かり・・・ではない。もっと明るくて、とっても安心できる光がこっちに来てる。あの光の先に彼らがいるかもしれないというリスクはあるけど、このまま暗闇の中を彷徨っていても無駄だ。私は藁にも縋る思いで、その光に走っていく。
光の下へ辿り着くと、そこには誰もおらず、両手で包み込める程度の大きさの緑色の球体が浮かんでいただけだった。
「緑の光の玉?」
その光の玉に手を伸ばし、指先が光の玉に触れると、どこからか声が聞こえてきた。
『サヤカちゃん、聞こえる?』
「・・・ルーさん?」
その声はルーさんだった。どうして私がここにいるのかを分かったのかは知らないけど、この危機的状況では心強い助っ人だ。
『よかった無事だったんだね。』
「はいおかげ様で。でも、アキが!」
『アキちゃんも探してるけど、さっき急にアキちゃんの気配が消えたんだ。とにかく今は君を外に連れ出す。今から光の玉を動かすから、サヤカちゃんは追いかけてきて。』
光の玉は私から離れていき、私はそれを追いかけた。しばらく追いかけ続けていると、光の玉は消えて無くなり、眩い光が前方に見えてきた。外だ。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・やっと・・・出れた・・・!」
時間的には1時間も経っていないはずなのに、まるで1年振りに外に出れたかのような感覚だ。眩しく光る太陽を見上げた後、海の方へ視線を向けると、そこには一隻の小さな船が泊まっていて、船の傍にはルーさんが立っていた。
「ルーさん!」
安堵からか、私は涙を流しながらルーさんに駆け寄った。そんな私をルーさんは手を広げて待ち構え、私はルーさんに抱き着いた。
「ぅぅ・・・!」
「よしよし。怖かったよね?」
「ぐすっ・・・はい・・・そ、そうだ! アキが! まだ島の中にはアキがいるはずなんです!」
「分かってる。でも今は状況を説明する。すぐに終わるから、アキちゃんを探すのは待っててほしい。」
そう言ってルーさんは私を離すと、右手中指に着けていた指輪を島の方へ向けた。すると指輪に嵌められていた緑の宝玉が光り、島を覆う光のバリアが張られてた。
「ひとまずこれで奴らは島の外に出てこない。さぁ、君には話しとかないとね。この島の状況、そして街の状況の事・・・単刀直入に言うけど、君達はやってくれたよ! おかげでとんでもない事が起こってる。」




