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岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
聖恋島
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黄金の果実

長い・・・ほんとに長い時間の末、聖恋島に辿り着いた私達。名前があるので何か特徴がある島なんだろうと思っていたけど、何の変哲もない無人島だ。一つ違うのがあるとすれば、私達が泊まる家がある事だけだ。それ以外は本当に何も特徴の無い。

正直、拍子抜けだった。名前もそうだが、あの老人から貰った本に書かれていた不思議な伝承や絵を見たから、勝手に期待していたが・・・。


「なんか、普通の島・・・だね。」


「う、ん・・・うぅ・・・。」


「サヤカ大丈夫?辛いなら、やっぱり街に戻る?」


「・・・行きでこれなら、戻りは死ぬわ・・・。」


「あー・・・。」


「早く休みたい・・・おぶってー・・・。」


「はいはい。それじゃあ、ここまで案内ありがとうございます。」


ここまで案内してくれた老人に挨拶を交わし、船が街に戻っていくのを見送った後、私はサヤカをおぶって、家に向かった。

私達が泊まる家は一階建ての小さな家。家の造りは木造で、屋根にある煙突を見るに、中には暖炉があるのだろう。夏の今は使う事が無さそうだが、暖炉がある家ってのは結構ワクワクするな。

扉を開け、家の中に入ると、想像通りの暖炉やベッドがあり、キッチンには奇妙な箱型の機械が置いてあった。部屋の中は広すぎず狭すぎず、二人で住む分には十分と言える広さだ。匂いも木の良い香りで、人工的な匂いが全くしない。


「ここで一ヶ月過ごすのか。」


「うぅ・・・ベ、ベッド・・・。」


「あーごめん!すぐ運ぶから!」


サヤカをベッドに運んだ後、私は船から砂浜に置きっぱなしにしていた荷物を取りに戻っていった。荷物と言っても、私とサヤカの着替えやサヤカが使うドライヤーとかが入っているだけだ。

砂浜に着き、荷物を背負って家に戻ろうとした時、ふと島の中が気になった。

この島は森のように生い茂った木々を囲むように砂浜があり、太陽に照らされて明るい砂浜とは裏腹に、島の中は暗闇で満ち満ちていた。

ルーさんに対処してもらったから、もう私はあの暗闇の世界に引きずり込まれる事は無くなったけど、やっぱり暗闇は怖いものだ。


「・・・ふ、馬鹿馬鹿しい。私は子供かっての。」


アァ・・・


「っ!?」


なんだ?今、あの中から声が聞こえたような・・・女の声?この島には、私とサヤカ以外の人間はいないはず・・・だとしたら、一体・・・。


「・・・誰かいるのか?」


荷物を置き、私は島の中から聞こえてきた声の主を探す事にした。怖いが、これから一ヶ月もここに住む事になるんだ、この島の危険性を知っておいた方がいい。もし何かあるなら、すぐに迎えの連絡を入れて、到着するまで家の中に隠れておこう。


島の中に入ると、中は暗闇に包まれていたが、どこからか差し込んでいる陽の光のお陰でなんとか前が見える状態だ。それでも、ほんの少し先までしか見えないが。

入り口を間違えない為に真っ直ぐ歩いているが、正直真っ直ぐ歩いているかどうか、もう分からなくなってきた。ライトを持ってくれば良かったが、しかしそんな事を考えた所でもう遅い。

しばらく進んでいて気付いた事があるが、島の中で聴こえてきた音が私の足音と風で動く木の葉の音しか聴こえない事。鳥の鳴き声も、虫の羽音が一切聴こえてこない。


「まったく、気味が悪いよ・・・。」


そう思いながら先へ進んでいた時、次の一歩を踏み出した足が下に落ちていった。そしてそれに続くように私の体は下に落ちていき、急斜面の地面を転がっていった。


「痛っつ・・・穴に、落ちたのか・・・?」


肘や膝から感じる痛みを感じながら立ち上がろうとした時、自分の視界が良好になっていた事に気付いた。さっきまで暗闇だったはずなのに、今は目の前に見えている地面がハッキリとし過ぎている程まで見えている。

ゆっくりと視界を前に移していくと、そこには金色に光る黄金の果実を実らせた小さな木が生えていた。


「これ・・・あの本に描かれていた、あれか?」


本には色が付けられていなかったが、形は酷似している。となれば、あの本に記された内容が本当の事だという事か。


「にしても・・・綺麗な果実だな・・・。」


木に実っていた金色に光る果実は、見れば見る程目を奪われ、私の手がその果実に伸びていく。


「あぁ・・・。」


「その果実に触れるな。」


あと少し、という所で私の腕は誰かに掴まれた。視線を果実から私の手を掴んでいる者に移すと、そこには・・・私?


「え・・・あ・・・。」


「・・・どういう事だ?」


「私・・・が、いる?」


「なんで、僕と同じ顔をしているんだ・・・。」


果実の光に照らされたその人物の姿は、同一人物と思ってしまう程、私に似ていた。少し違う所があるとすれば、髪が真っ白に染まっている所だ。あとは本当に私と全く一緒。


「お前、誰なんだ・・・。」


「・・・アキ。君こそ、一体―――」


「私もだよ・・・私も、アキ・・・。」


「・・・僕と、同じ名前・・・。」


名前も、容姿も、声も同じ・・・この人は、何者なんだ?

岸サヤカ

・車や飛行機では全く酔わないが、船だけは駄目。


黒澤アキ

・ルーによって暗闇の世界の事について記憶を消されているが、恐れは未だに根付いている。


アキ

・黒澤アキと瓜二つの女性。黒澤アキと違うのは、白髪で、自分の事を僕という所だけ。

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