現実逃避
今回は短めです
ルーさんに教えられながら、見事転移術を成功できた私。街に戻れた事に喜んでいたのも矢先、サヤカがある家族を見て驚いており、そして私もその家族の姿を見て固まった。
「なんで・・・なんで、お父さんとお母さんが生きてるんだ・・・?」
他人の空似なんかじゃない。あの人達は紛れもなく、小さい頃に既に亡くなったはずの私の両親だ。どうしてこっちにいるんだ・・・。
いや、どうして生き返っているのかだなんて、そんな事はどうでもいい。今すぐ会わないと。会って、生前言えなかった事を言わないと!
「待った!アキちゃん!」
私が両親の下に走ろうとした瞬間、ルーさんに腕を掴まれてしまった。
「君とサヤカちゃんの反応で何となく察したよ。アキちゃん、あの家族に会うのはやめておいた方がいい。」
「やめた方がいいって・・・でも、あの人達は・・・私の両親には、言わなきゃいけない事が―――」
「言えなかった事があるのね。分かるよ、私も親しい人物に言うべき事を言えなかった事が何度もあるから。でもね?今の状況で、あの家族に接触するのは危険だ。」
「あの家族あの家族って!あれは私の両親ですよ!」
まるで否定されているような気がして、思わずルーさんの胸ぐらを掴んでしまった。ルーさんは申し訳なさそうな表情で私から目を離さず、それが私を哀れんでいるように思えて、ますます私の中で怒りが沸き上がっていった。
「・・・落ち着いて、アキ。」
ルーさんを一発殴り飛ばそうかと考えていた時、サヤカが私に触れてきた。そしてサヤカまでも、私の事を哀れんだ表情で見つめてくる。
何で二人共そんな顔をするんだ・・・あの時の【あいつら】みたいな哀れむ表情で、私を見ないでくれ・・・!
「見るなよ・・・そんな目で私を見るな!!!」
胸ぐらを掴んでいたルーさんを押し倒し、私は二人を置いて走り去った。
「アキ!!!」
後ろからサヤカの声が聞こえてきたが、私は止まる事は無かった。ただあの場から逃げたくて、あの哀れみから目に入れたくなくて、私はあの時と同じように突き放してしまったんだ。
「くそ・・・くそ・・・何でだよ!!!」
感情が上手くコントロール出来ず、私は涙を流しながら夕陽の色に染まった空に叫んだ。もう両親と再会する事なんて、頭の中から離れていた。
今はただ、私の事を哀れむ人がいない場所に逃げたい。
どこか・・・どこかに・・・。
小ネタは今回から少しだけありません。
次回から新章、及びアキ目線からサヤカ目線へと変わります。
追伸、1日お休みします。




