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岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
二章 暗闇からの招き手
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藍丹山 五

時刻は0時。朝まで起きていられる自信が無い私達は、3時間置きに起きてる人と寝る人に分かれた。先に私が3時間寝ていた私が起きると、サヤカは持ってきていた本を私の傍で読んでいた。


「・・・おはよう。」


「おはよう。ねぇ、ほんとに3時間で大丈夫?」


「大丈夫だよ。それで、何か変わった事はあった?」


「ううん。風の音一つも無かったわ。」


「じゃあ安心して眠れるね。」


「うん・・・それじゃあ、おやすみ。」


寝袋に入ったサヤカが眠ったのを確認した私は、静かにテントの外へ出ていった。あの文字が書かれていた木に近付くと、木の皮に刻まれていた文字は、まるで傷が治るかのように細くなり始めていた。

聞いていた話と違う。このまま細くなり続ければ三日と言わず二日の途中で文字が消えてしまうじゃないか。写真だからルーさんも判断しづらかったのかな?


「ルーさん・・・。」


携帯を見てみたが、ルーさんからの連絡は一通も来ていない。催促の電話を掛けようかな・・・いや、やめよう。今はあの人も集中して解決策を探しているだろうし、そこに催促を促してしまえば、焦らせて逆に時間が掛かってしまうかもしれない。とにかく今はルーさんを信じて待とう。


「―――けて」


「え?」


どこからか声がハッキリと聞こえた。小さかったが、確かに私は聞いた。人の声だ。それも女性だろうか?

おそらく、声の主はこの場所の外、暗闇が広がる山の中だ。サヤカは私が寝ていた3時間の間、風の音すら無かったと言っていた。これまでだって音どころか、生き物の気配すら感じなかった。それなのに、今になって人の声、しかも気配まで感じている。

どうする・・・十中八九、人ではない何かだと思うけど、もし仮に私達のように狭間の世界に閉じ込められている人だったら、見捨てる訳にはいかない。


「・・・探すだけ、探すだけやってみよう。」


携帯のライトを使って外を照らしながら声の主を探していく。もちろん結界の有効範囲から外には出ずに。

時計回りに外の暗闇を照らしながら探し歩いていると、また暗闇の中から声が聞こえてきた。


「――けて。」


さっきの声の主と違う、男の声だ。しかも、今ライトで照らしている場所から聞こえてきた。


「―すけて。」


だんだんと何と言っているのかが分かるようになってきた。という事は、声の主はこっちに近付いてきているという事。


「たすけて。」


たすけて・・・助けてと言っているのか?


「たすけて。」

「たすけて。」

「たすけて。」


いつの間にか男の声だけでなく、さっきも聞いた女の声、それにもう一人の女の声まで聞こえてきた。まだ姿は見えないが、声がハッキリと聞き取れてきているから、もう結構近くまで来ている。

どうする?声を掛けるべきか?でも、もし人じゃない何かだったら危険だ。とにかく今はサヤカを起こしてこよう。何かあった時にサヤカが寝たままで逃げるのが遅れてしまったら大変だ。

そう思い、私が暗闇から背を向けた瞬間。


「「「ねぇ、たすけて?」」」


私の背中、ピッタリとくっついているかのように声が聞こえてきた。それと同時に凍えるような寒気まで走り、吐く息が冬の夜のようにハッキリと見える。

私の後ろにいるであろう彼らは、私達と同じ人間じゃない。多分、もう死んでしまっている人間だ。


「「「ねぇ、たすけて?ねぇ、たすけて?ねぇ、たすけて?」」」


逃げないと、今すぐに。でも、私の体は凍ったようにこの場所から一歩も動く事が出来ない。声も出す事も。

すると、私の体が自分の意思とは関係なく後ろへゆっくりと振り返っていく。決して自分で動かしている訳じゃない。まるで誰かに体を掴まれて、無理矢理体を動かされているようだ。目もさっきから瞬き一つ出来ない、でも不思議と目に痛みは無かった。

抵抗出来ぬまま、私の体は振り返り続けていき、視界の端で誰かが暗闇の中に立っているのが見えている。

駄目だ、これ以上動いてしまえば完全に姿を見てしまう。彼らの姿を見てしまえば、私は暗闇の中に引きずり込まれてしまう予感がした。


「「「ねぇ、たすけて?ねぇ、たすけて?ねぇ、たすけて?」」」




「アキ!!!」


「ッ!?ぐぁ!」


サヤカの声が聞こえた瞬間、私の体は動けるようになり、私はすぐにテントの方へ走った。しかし、10メートルも走った辺りで私の体は地面に倒れ込んでいった。力が入らない・・・息をするのも難しい・・・。


「アキ!!!アキ!!!」


サヤカが泣きながら私の体を必死に揺すっている。なんで泣いてるの?大丈夫だよ、今は動けないし、息をするのも難しいけど、きっと大丈夫・・・すぐに・・・また・・・

岸サヤカ

・霊感が無い為、幽霊を見る事も感じる事も無い。その為、幼い頃にアキが誰もいない場所で誰かと話していた時は、酷く怖い思いをした。


kろsわアき

・qr:wqr:wqr:w

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