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岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
二章 暗闇からの招き手
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藍丹山 四

あれから更に2時間が経った。夕陽は沈み、山の中は暗闇に染まっている。私達がいるこの場所だけは月の明かりを遮る物が無い為、暗闇に怯える心配はない。

だけど、それがかえって外の暗闇の恐ろしさが増し、暗闇から何かが来るのでは?という妄想が勝手に頭の中で掻き立てられる。一刻も早くここから元の世界に戻りたいけど、未だに外に出る方法も無く、まだこの場所に留まるしかない。

良い事があるとすれば、私達がいるこの場所を守ってくれている結界がまだ有効な事と、精神的に弱っていたサヤカがマシになってきた事だ。今はテントの中で持ってきていた物を整理しながら、これからの予定を考えてくれている。

頼みの綱であるルーさんからの連絡はまだ無い。携帯の充電はまだ余力はあるし、携帯充電器も満タンであるから三日は大丈夫だと思う。


「三日・・・それまでにここから出る方法を考えないと・・・。」


良くも悪くも、あと三日だ。あと三日の間は私達の安全は約束されている。三日経って、結界の効力が消えてしまえば、どうなるか分からない。分からないが、きっとろくでもない事が起こるに違いない。


「アキ。テントに入ってきて。」


サヤカがテントの中から私を呼んできた。テントの中に入ると、床にはサヤカが作ってきていた弁当と、カップに入ったお茶が用意されていた。


「こういう状況で不安になってたけど、こういう状況だからこそ、やっぱり食べないとね。せっかく私が作ったんだから、ありがたく食べなさいよ?」


「ありがとう、サヤカ。そうだよね、今はまだ安全なんだから、気を張り過ぎるのも駄目だよね。」


正直、お腹は空いていた。こういう状況になって、呑気にご飯なんて食べてられないと、勝手に自分を追い詰めていた。

だけどこうやってサヤカに言われて、少し楽になった。


「それじゃあ、いただきます!」


弁当の蓋を開けると、焼いた塩鮭・唐揚げ・きんぴらごぼう・ゴマが乗った白米がデカイ弁当箱に詰められていた。


「あんたの好きな物しか入れてないんだから、残さないでね。」


「ありがたい!いやー、こういう状況じゃなかったら泣いて喜んだのになー!」


「あら?別に泣いてもいいのよ?」


「うえーん、やったやったー。」


「もっと本気で。」


「ありがどぉぉぉぉ!ザヤガぁぁぁぁ!」


「うるさい!泣くな!」


「えー・・・理不尽・・・。」


「ふふ・・・ほら!馬鹿やってないで食べましょ。」


良かった、サヤカが笑ってくれた。ノリも良いし、ようやく元気を取り戻したんだな。これで心置きなくサヤカの弁当を楽しめる。


さぁて、それじゃあ食べていこうか。まずは、唐揚げを・・・おぉー!次はご飯、そして鮭・・・おぉー!!きんぴら挟んでまた唐揚げ!・・・おぉー!!!


「・・・あんたさ、凄いお腹空いてたのかもしれないけどさ、もう少し落ち着いて食べなさいよ?」


「これ!これ美味いよ!サヤカ!」


あまりの美味しさに感想も言わずに口に放り込み続けてしまっていた。最初に食べた唐揚げの美味しさにぶん殴られてから、狂ったように食いまくっていたな。


「お弁当だから冷めてるけど、作りたてはもっと美味しいわよ。」


なんだって・・・今でもこんなに美味しいのに、これ以上があるのか!?


「それじゃあさ!また作ってよ!同じの!」


「はいはい。ここを無事に出れたらね?」


俄然やる気が出てきた。絶対ここからサヤカと一緒に逃げ出してやる!





「ふぅ・・・ごちそうさまでした!」


「はい、お粗末様。」


美味かった・・・それしか言葉が浮かばない。狭間の世界っていう不可思議な現象が起きる場所にいるというのに、今は幸せな気分で満ち溢れている。


「それじゃあ、デザートね。」


「デザートもあるの!?」


「あんたテンションおかしくなってるわよ。デザートって言っても、桃とみかんとパイナップルをタッパーに入れただけのものだけどね。」


そう言ってサヤカは取り出したタッパーの蓋を開けると、サヤカの言った通り果物が沢山入っていた。サヤカはタッパーに入れただけだと言うが、果物が食べられるのはありがたい。気持ちがリフレッシュするし、口の中をサッパリさせる事が出来る。


「食べていい?」


「どうぞ。」


「へへ、それじゃあパイナップル・・・うわぉ、切ってないパイナップルだ!」


「あんたはそっちの方がいいでしょ?私は桃食べよっと。」


一口カットじゃない丸形のパイナップル。なんかテンション上がるな。流石はサヤカ、私を良く知ってるよ。


「それで、何か有益な事が分かった?」


「ん?ん~・・・どうだろうね?」


「どうだろうねって・・・。」


「私が有益だと思っていても、実際は無意味な可能性もあるし、ここから外には出れないから、外の状況も掴めないしね。」


「それでも何かあるなら言ってみなさい。この場で有益かどうか分かる人なんていないんだから。」


「そうだね・・・それじゃあ、状況を改めて説明するよ。私達は元いた世界と向こう側の世界と言われる場所の狭間の世界にいる。ここは結界に守られているけど、結界の外は術の効果が無いから無闇に出れない。電波は通じているけど、今のところルーさん以外に繋がらない。そして、結界の効果があるのは今日を入れて三日・・・三日の間にここから元の場所に戻らないと、かなりヤバい事になると思う。」


「・・・改めて、不思議な感じよ。こういうのって、映画や小説の中だけで、フィクションだと思ってたから。」


「私も。私は二度目だけど、未だに何が起こるか分かったものじゃない。とにかく、今はルーさんの連絡を待ちながら、私達は私達の身の安全を守っていこう。」


私達の頼みはルーさんだけ。しかし、もしルーさんが三日の間に解決策を出せなかったら、いよいよ自分達だけでこの場を切り抜けなければならない。

絶対ここから出てみせる。ルーさんも、ルーさんの所に預けた花も、目の前にいるサヤカとも、まだやりたい事や話したい事があるんだ。

だから絶対に出てみせる、サヤカと二人で!

岸サヤカ

・ゲームをやった事が少ないが、本気でプレイする。アキと対戦ゲームをやった際、サヤカが勝つまで勝負は10時間を超えた。


黒澤アキ

・ゲームをあまりやらないが、やればすぐに上手くなる。その為すぐに飽きてしまう。

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