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岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
二章 暗闇からの招き手
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流れ星

晩御飯を食べていると、サヤカからメールが届いた。メールの内容は『裏庭に来なさい。』との事。


「デジャヴかな・・・。」


この誘われ方、前にもあったような気がする。しかし今回は一体何の用だろう?部屋じゃなくて外、しかも夜に呼び出すなんて。


「ま、とりあえず行くか。留守番頼むぞー。」


残ったご飯をかっ込み、テーブルに置いていた花に留守番を頼んで家から出た。外に出ると、ひたすら暑かった朝とは大違いの涼しさが身を包み心地よい。夜風の心地よさを感じながらサヤカの家の裏庭に向かうと、そこにはベッドに横になっているサヤカがいた。


「・・・なにやってんの?」


「あら?来たのね。」


「そら呼ばれたからね。で、なんで外にベッドが?」


「倉庫を整理してたら、前に使ってたベッドがあってね。邪魔だから外に出したんだけど、しまうスペースが無くなっちゃったの。それでまた物を出してスペースを確保するより、せっかくなら外で使おうかなーって。」


「へぇ。私にも寝させてよ。」


「いいわよ。」


「やった!それじゃ失礼して。」


サヤカが横に寄ってくれて、一人分のスペースが空いた、そこへ横になり、隣にいるサヤカの顔を見つめる。

なんか不思議な感じだ。外に出しているベッドに二人で横になって、お互いの目と目を見つめ合う・・・まるで映画のワンシーンみたい。


「・・・いつまで見てんのよ。」


「ん~、いつまでも。」


「馬鹿・・・!見て欲しいのはこっちよ!」


「うげっ!?」


顔を掴まれて無理矢理空を見上げさせられた。急に頭を動かされた所為で首がちょっと痛い。


「痛っ・・・わぉ。」


首の痛みで細めていた目を開けていくと、視界一杯に夜空に浮かぶ星々が映った。


「綺麗だね。凄いや。」


「今日はよく晴れてたから、夜空に浮かぶ星も綺麗に見えるわ。月も満月だしね。」


「ほんとだ。」


思えば高校生になってから、夜空を見上げるなんて事しなくなった気がする。昔はよくサヤカと一緒に流れ星を見ようとして、その時は地面に横になって夜空を見上げていたっけな。


「久しぶりだね。こんな風に、二人で夜空見上げるなんてさ。」


「そうね。あの時はベッドなんて無くて、地面に寝転がってたけどね。」


「そうそう。そんで先にサヤカが寝ちゃって、私が家に運んだっけか。」


「だって、あんたが何も喋ってくれなかったし。」


「それじゃあ今日は色々喋ったあげるよ。えーと・・・。」


せっかく星を見ながらなんだから、星についての話をしようと思ったんだけど・・・どうしよう、何も分かんないや。

唯一知っているとすれば、夏の大三角形くらいだが、これで何とかなるか?


「あの星と、あの星と、あの星。三つ繋げて、夏の大三角形。」


「え?あっちとあっちを繋げての夏の大三角形でしょ?」


「いやいや、あれとあれで三角形だから。」


「あんたが言ってるのは別の星よ。それじゃあ大三角形じゃなくて、ただの三角形よ。そんなの探せばいくらでもあるわ。」


「それじゃあ、あれとあれで水瓶座?」


「いや、確かあれとあっちよ。」


お互い星を指差しながら、正解かどうかも分からずに星を繋げていく。携帯で調べればすぐ分かる事だけど、こっちの方が私達らしい。こんな風にくだらない話で盛り上がって、たまに私が怒られて、そしてまた別の話で盛り上がる。楽しくて、嬉しくて、幸せな時間。


「私ら、星について何も知らないんだね。」


「そうね。あんた、星について勉強して宇宙飛行士にでもなれば?それで、私に星の欠片を毎月プレゼントするのよ。」


「私の学力じゃ、何千年経っても無理だよ。でも、もし宇宙に行くとしたら、サヤカと一緒に行きたいな。」


「・・・そうね。私がいなきゃ、あんたなんてすぐ死んじゃいそうだし。」


「そうそう。私の事、責任もって見守っててよ?」


「私はあんたの母親じゃないわよ。」


「ママ。」


「やめて?本当に。同年代からママって言われたら結構ゾッとするわよ?」


「そんな寂しい事言わないでよ、ママ。」


「だからやめなさい、ってあーもう!くっついてくるな!落ちるでしょ!」


抱き着く度に離されてしまい、その度に何故か意地になってしまってまた抱き着きに行ってしまう。私がサヤカの事が好きなのもあるけど、サヤカに抱き着いたら色んな不安を忘れる事が出来るというのもある。

そんな風に私達がじゃれ合っていると、夜空に一筋の光が横切った。視界の端で見えた為、定かではないが、あれは・・・。


「「流れ星だ。」」


口を揃えて私達が呟くと、また流れ星が流れた。私は心の中で流れ星に願った。


(サヤカとずっと一緒にいられるように。サヤカとずっと一緒にいられるように。サヤカと―――)


肝心の三度目の所で流れ星は消えてしまい、そこから流れ星が落ちる事は無かった。


「三回・・・願えなかったな。」


流れ星に三回願えば、願いが叶うという話を信じ切っている訳ではない。おみくじと同じだ。大吉だろうが凶だろうが、書かれてある通りに人生が進むわけじゃない。結局肝心なのは、自分から動く事。だからそういった物は、あくまでも後押しをする為の物だと考えている。


「サヤカは三回願えた?」


「・・・ううん。願ってなんかない。」


「サヤカって流れ星に願わないタイプなの?」


「そうじゃないけど・・・私の願いは、もう叶ってるから。だから必要ないのよ。」


そう言ってサヤカは私に抱き着いてきた。いや、抱き着くというよりも、私をベッドから押し出そうとしている!


「サヤカ?あの、これ以上やられると、私落ちちゃうんですが。」


「さっきの仕返しよ。今度はあんたが崖際の気持ちになる番よ!」


「いや本当に勘弁!あ、落ちる!?落ちるって!」


「ほらほら!落ちちゃいなさいな!うふふふ!」


「ほんとに落ちちゃうってば!あははは!」


流れ星に三度願えば、その人物の願いは叶う。それが本当なら、私の願いは一生叶わないだろう。

だって、私の願いはサヤカとずっと一緒にいる事。他の誰もいない世界で、私とサヤカだけが歳も取らず、病気で死ぬ事も無く、ずっと幸せに過ごす。こんな無茶苦茶な願いは絶対に叶わない。

でも、だからこそ今この瞬間が幸せに思えるんだ。いつか終わりが来るという事を心のどこかで分かっているから。だからこそ、今を大切に楽しめるんだ。

岸サヤカ

・枕が無ければ眠れない。


黒澤アキ

・基本どこでも眠れる。最悪、椅子に座りながらでも寝れる。

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