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岸サヤカはツンデレのつもりでいる  作者: 夢乃間
二章 暗闇からの招き手
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多々良之枝 三

とりあえずここでこの話は終わり、次話からいつも通りのほのぼのに戻ります。

【昔、まだこの街が木々に囲まれた小さな村だった頃。村は良くも悪くも穏やかな暮らしをしていた。住人達の人数は少なく、村で育った若者のほとんどは村には無かった魅力溢れた都に興味を抱き、村に住もうとする者などおらず、年齢層も年々高くなっていく。そんな若者が少ない村でも、良い所がある。

一つは作物が他の村よりも豊作であり、二つ目は争いが無い、そして三つ目は山の神に見守られているところだ。山の神がいる山は村を見下ろしており、その山が様々な災害から村を守っていた。


しかしある時、日本に過去最大の災害が訪れた。都の建物は風で吹き飛び、氾濫した水が建造物や人を巻き込んで流れ、災害が去った後、無事だった建物や人の数は多くはなかった。

そんな災害は、村にも訪れようとしていた。村の人達は黒く染まる空を見上げ異変を感じ、村から逃げようと支度を始めた。

ところが、村の周囲には安全な場所など存在しない事を支度を終えたタイミングで村人達は気付き、村人達は絶望し、ゴロゴロと唸り声を上げる黒い空を呆然と見上げた。


「あれを見ろぉ!!!」


一人の村人が山を指差して叫んだ。その叫び声に村人達は山の方へ振り向き、そこで信じられない者を見た。

村人達の視線の先、山の頂上には巨大な鳥が鎮座していた。


「タタラ様じゃ・・・。」


村の中で村長を担うカンダが呟いた。初めて山の神の姿を見たカンダはその場に膝をつき、タタラに向けて頭を地面につけた。そんなカンダを見て、村人達も続けてタタラに頭を下げた。村人達全員がタタラに頭を下げる異様な光景となったが、誰一人として、タタラが自分達を守る為に動いてくれると思ってはいない。

では何故このような事をするのか。それは初めて見るタタラの姿が、あまりにも壮大で、美しい姿であったからだ。

巨大な体は白い毛に覆われ、縦長い顔の中央に縦に大きな眼があり、とても現世の生き物とは思えぬ姿であるが、不思議と恐ろしさや不気味さを感じない。

ただただ、ひたすらに神々しいとしか思えなかった。


ダッガァァァァァ!!!


空から身を粉々にしてしまう程の轟音が鳴り響いた。村人達が顔を上げ、空を見上げると、黒い空には巨大な蛇が舞っていた。

その蛇の容姿は普通の蛇のとは違い、頭には二つの長い角があり、小さくも手足があり、鋭く尖った歯の隙間から、見た事も無い程の業火が絶えず漏れ出している。


「あれじゃ・・・あれが黒い空の正体!厄災の姿じゃ!!我々人間には敵わない!!!」


現れた厄災にカンダは恐れ、村人達は泣き叫び、子を持つ村人は泣きながら自らの子を必死に抱きしめた。


絶望に陥る中、村人達の耳・・・いや、頭の中で声が聞こえた。


『目を閉じ、しばし待て。』


タタラの声であった。村人達は自分達の命をタタラに託し、目を閉じてタタラに祈り続けた。

激しく鳴り響く轟音、頭上から感じる溶ける程の熱、雨と言うにはあまりにも大きく赤い水を身に落とされる中でも、村人達は目を開けずに祈った。


三日が経った頃。音も熱さも無くなった事に気付いた村人達はゆっくりと目を開けた。視界一杯が眩い光に覆われ、その光に苦しみながら慣れていくと、そこには緑に包まれた崩壊した村があった。続いて空を見上げると、黒い空は消え去り、青い空には眩い光を放つ太陽が村人達を照らしていた。

三日も祈り続けて消耗していた村人達は自分達が生き残れた事に歓喜する事も出来ず、ただ呆然と緑に覆われた、かつて自分達が住んでいた村に足を進める。


「・・・いっ!?」


緑に包まれた村を当てもなく彷徨っている村人達の中、一人の少年が巨大な何かにぶつかった。その少年がぶつかった何かに目を向けると、そこには自分達を守ってくれた、山の神タタラが見下ろしていた。


『私は眠る。その間にまた危機が迫った時、これに祈れ。』


タタラは少年に伝えると、巨大なクチバシを開けて人に似た腕を出し、持っていた枝を少年に授けた。少年が枝を受け取ると、タタラの姿は幻であったかのように、少年には見えなくなった。


その後、村ではタタラから授かった枝【多々良之枝】を祀り、日々の平和とタタラに対する感謝の意を込めた祈りを続けた。村に寄ってくる厄災が現れようとする時、枝にある金色の葉が一枚落ちそれがタタラの姿となって、村から厄災を払い除けた。】




「ていう感じかな?」


「「・・・。」」


私達は唖然としていた。語られた内容はもちろんだが、その内容を淡々と進めていったルーさんの軽さに驚いた。

正直、ルーさんが語った話は信じ難い。この街でそんな話を聞いた事も無いし、ここまで大事な事を後世に残さないはずがない。


「あの・・・それって本当の話ですか?」


私が言う前に、サヤカが私の代わりにルーさんに言ってくれた。するとルーさんはニッコリと笑い、枝を木箱に収めた。


「もしこの話が本当なら、なんでその事が書かれた本やら紙が無いのか。どうして誰も知らないのか・・・それはね、村から人がいなくなったからだよ。」


「人が?」


「話の中で言ったけど、元々村には人が少なかったんだ。年を重ねる度に村の人は死んでいき、最後に残ったのはタタラに託された少年・・・まぁ、その時にはもう少年じゃなくて老人だったけど。そうして、最後の村人も死んで、誰もこの多々良之枝を祀らなくなったんだ。」


「誰もいなくなった・・・それじゃあ、どうしてルーさんは知っているんですか?」


「あー・・・言うけどさ、信じてくれる?」


「「うん。」」


「・・・私の先祖だからよ。タタラから枝を授けられた少年のね。」

岸サヤカ

・いつかアキを連れて風景が綺麗な外国に旅行したい。


黒澤アキ

・英語が話せない為、日本から出たくない。


ルー・ルシアン

・時折知り合いから船を借り、未開の地へ旅をする時がある。


中途半端な終わりに見えますが、これで多々良之枝のお話は終わりです。

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