岸サヤカは探偵のつもりでいる。 五
二日目、時刻は丁度12時。サヤカは先に限界を迎え、今は私の布団で寝ている。そんなサヤカの寝顔を横目で見つつ、私は壁に貼っていた紙を剥がしていた。
結論を言ってしまえば、私達は結局犯人が誰だったのか分からなかった。決して諦めた訳ではない。
あの後、私とサヤカは協力しながら一人に絞り込んだ。私達が犯人と断定した人物はカズコ。彼女に決めた理由は事件現場に駆けつけてきた順番と自分達の憶測からである。
私達は自分達の推理に自身を持ち、答え合わせをする為に小説のページをめくった。
「あれ?」
ページをめくると主人公が犯人の名前を言い放つ場面がくる・・・そう思っていた。しかし実際は何も書かれていない。白紙のページが最後まで続いている。
「書いてない・・・。」
「はぁ!?それ不良品じゃないの!?」
「いや、え~?なんでだ?」
私は携帯からこの小説について調べていき、私達と同じように最後が白紙のままだという事に納得していない人達が多数いる事が分かった。
「これ、私達だけじゃないみたいだね。」
「ちょっと納得いかないってー!」
「あえて白紙にしているって考えている人もいるみたいだね。にしてもこれは・・・。」
「あーなんかこの二日間が馬鹿らしくなってきた!もう寝るわおやすみ。」
そう言ってサヤカは私の布団に飛び込み、そのまま眠りについてしまった。もうルールもクソも無いのだろう。実際私も同じ気持ちだ。答えの無い問題だと知らずに私達は寝ずに考え続けていた。
「・・・あー、なんかモヤモヤとするなー。」
疲れて怒る気力すら湧かない。壁に貼っていた紙を剥がして、私も寝ないと。幸いまだ一日休みがあるし、明日はこの二日間のお詫びにサヤカが遊びに行きたい場所に付き合おう。
紙を剥がし終え、一つの大きな塊に丸めてゴミ箱に投げ入れる。さて、片付けも終わったし、私も寝ようかな・・・あれ?そういえば私どこで寝ればいいんだ?
私の布団にはサヤカが寝ている。床で寝てもいいけど、それだと体を痛めてしまう。という事はつまりだ。サヤカの隣で寝ていいんじゃないのだろうか。
「・・・うん、別に下心とか無いし、普通に寝るだけだから。」
自分に言い聞かせながら、早速サヤカの隣で横になった。いつもよりも近くで見れるサヤカの顔や感じる吐息・・・さっきまであった眠気が吹っ飛んでしまったよ。
「・・・う~。」
サヤカが寝言を漏らしながらこっちに近づいてきた。私は思わず後ろに下がろうとしてしまうが、私が少しでも後ろにのけぞれば床に落ちてしまう程、私は勝手に最初から追い込まれていた。
「お、落ちる・・・。」
どうする?このままじゃいずれサヤカに落とされる。それを回避するにはサヤカの方へ寄るしかない。けど、それはサヤカと密着するという事。お風呂でもそうだったが、私は自分を制御する事が下手になってきている。
「ん~・・・アキ・・・。」
あーあ、そんな甘い声で私の名を呼んじゃ駄目だよサヤカ。こっちは手を出さないように必死に自分を抑えつけているのに、そんな事されたら暴走しちゃうよ。
「サ、サヤカ・・・。」
駄目だ私・・・堪えろ私・・・!寝ている間に何かするだなんてそんな最低な事はよしてくれ。そんな風に自分を必死に抑えつけていると、寝ぼけたサヤカが私の顔を胸に押し当ててきた。
「~~~ッ!?」
まずい、サヤカの体温や感触が伝わり過ぎている!こ、このままじゃ・・・
「・・・ん~・・・あれ・・・?」
気付くと、私は一人で布団に横になっていた。どうやら私はあの後、強過ぎる刺激のお陰で気絶してしまったようだ。
布団から起き上がり、机の上に置いていた携帯を見てみると、サヤカから一件のメールが来ていた。
『先に帰ってるよ。明日は私の家に来て。無駄になった二日間を取り返そう。』
岸サヤカ
・エビフライは尻尾を残す
黒澤アキ
・エビフライの尻尾まで食べきる
探偵パートはこれで終わります。




