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袖沼雨空──1
ずっと、お話を書くのが好きだった。
ずっと、映画が好きだった。
高校生の頃から、同じ映画部の友人、双葉ヒカリと一緒に映画撮影に勤しんでいた。
わたしが脚本を書き、ヒカリが監督を担当する。
ヒカリは人一倍活発な女の子で、撮影中はいつも皆を引っ張っていた。
彼女はよく、『絶対皆でプロになろう』とか、『皆となら傑作が撮れる』とか、そんな恥ずかしい台詞を恥ずかしげもなく言っていた。
……かくいうわたしも、内心では同じことを思っていたのだけれど。
完成した映画は『傑作』とは言い難かったが、妹やその友達はそれをとても気に入ってくれていたようで、わたしはとても嬉しかった。
わたしたち二人は大学進学後も映画を撮り続けた。
三回生になり、就職活動の時期が訪れるまでは。