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家族~5人と1匹のワンちゃん~

作者: 野良犬の王

家族を大切にしてください。

私の家族は父と母、祖父、そして兄と弟の私で構成されていた。


家族5人仲睦まじく生活を送っていた。

そんなある日、肌色の小さい生き物がやってきた。


犬だ。


当時私は幼稚園児、「ワンちゃん!ワンちゃん!」とはしゃいでいたのを私自身覚えている。


そのワンちゃんは、家族の中で1番小さかった私よりも小さかった。


小さいワンちゃんは父の知人から譲り受けたものだった。


「おとうさん! この子のなまえはー?」


そう言って私は父に問いかけた。


「まだないよ。一緒に考えよう」


父の返答はこのようなものだった気がする。


そこから、名前決めが始まった。

安直にポチやタロウなどが思いついた。しかし、タロウは既に私の名前についていたため却下された。

ポチはポチでそんな感じがしなかったから却下。名前は数日は決まらなかった。


そんな時だった。犬が寝ていた時に母が


「ふかふかだね〜」


と言った。それに続き兄が


「まるまってる。」


これが"キッカケ”だった。


「ふかふかでまんまる...「ふかまる」」


そう誰かが言った気がする。

こうして犬の名前は「ふかまる」になった。


この瞬間、家族は5人と1匹に生まれ変わった。


そこから、幸せな日々が続いた。

祖父もふかまるを気に入り、ふかまるも祖父を気に入り、少し私は嫉妬していたと思う。


当時は家族ではなく、ペットとして見ていたため、「なんだよコイツ」的に思っていたかもしれない。


でも、そんな心を呼んだかのようにふかまるはやってきて、私の顔をペロんと舐めてきた。最初は少し嫌だったけど、段々と慣れてきてすごく可愛く思った。


そこからだ。


私がこの子を家族として迎え入れたのは。


私と兄は小学校、中学校と。父と母、祖父も順調に生活を送っていた。


幸せな日々、ずっと続くだろうと思っていた。



私が中学1年生の時、祖父は倒れた。



病気を患っていた。



当時ニュースとかも全く見なかったし、知識もなかったから病気と言われても治るだろうと思っていた。



しかし、祖父は入退院を繰り返し中学2年生の少し寒くなってきた時期、祖父は亡くなった。



悲しかった。初めて家族の死を体験した。

後悔が沢山あった...

私は生粋のおじいちゃん子だったため、ものすごく落ち込んだ。

それでも、葬儀はスムーズに進んでいき、あっという間に骨となり、おじいちゃんという存在は墓におさまった。



祖父の身辺整理も片付いたところで家がスッキリした。どことなく寂しく感じた。


ふかまるも大好きな家族が1人居なくなったからか、妙に落ち込んでいるように見えた。



しかし、私は1週間程で立ち直れた。

でも、母は違かった。いつも泣いていた。「何もしてやれなかった」そう嘆いていた。



父は祖父の息子だからか強かった。

私達を養うために直ぐに仕事に復帰した。

それでも、自分にとっての父という存在が亡くなったからいつも以上に疲れて見えた。



そんな時父と母を元気づけたのがふかまるだった。



ふかまるは、慰めるように近くに寄っていったり、触っていいよと言わんばかりにゴロゴロしたり、とても癒された。



1ヶ月もすれば皆元気になった。



そこから、また幸せな日々が続いた。


私は高校生になり、兄も高校卒業間近というところまで成長した。





それは突然だった。





ふかまるが体調を崩してしまった。

今までも吐いてしまったりとたまにあったが、今回ばかりは見て分かるくらいに様子がおかしかった。


ずっと震えている。何分かおきに胃液が出てくるといったものだった。


急いで病院に連れて行った。



病気だった。体の中に大きな気泡のような物できて、息がしずらくなるというものだった。

それでも治療すれば何とかなるかもしれない。

父と母はお金を出し、ふかまるが治るならと手術を行った。



当時は私が高校3年生、兄は浪人生だった。



手術は成功した。しかし、完治ではなかった。少し不安が残った。


手術後、ふかまるは余命1年ほどと言われた。

しかし、そんなこと知らんと言わんばかりにふかまるは1年、2年と年を取っていた。

病院の先生も家族もみんなびっくりしていた。


私は大学生となり、兄も一浪後沖縄の大学に進学した。



ふかまるはほんとに病気なのかってくらい元気だった。たまに体調を崩し入院することもあったが、直ぐに帰ってきて元気な姿を見せてくれた。



私も家族も当たり前の日々がずっと続くと思っていた。


2022年

10月22日、ふかまるはまた、体調を崩してしまった。

病院に連れていったところ「入院しよう」となった。



正直、私は安心していた。病院に任せればまた元気になって帰ってくるって。


そう思いながらふかまるを抱き上げ撫でて可愛がった。




10月23日、面会ができるということだった。

しかし、私は前日のアルバイトで疲れて眠っていた。

代わりに父と母は会いに行っていた。動画を撮ってきていて、弱々しくながらふかまるは立って2人を出迎えていた。可愛かった。




10月24日、午前7時半。この日は大学があるから朝から起きようとゆっくり布団を剥いだ時だった。



バタン!



部屋のドアが強く開かれた。



そこには電話しているのか、スマホを持った母だった..........泣いていた。



「ふかが!ふかちゃんが!亡くなったって...」



飛び起きた。



そこからはあまりにも突然で現実を受け止めることが出来なかった。

そして同時に後悔が訪れた。

「なんで面会に行かなかった」「なんでもっと構ってやれなかった」「なんで、なんで......」



こうして私が最後にふかまるを撫でたのは2日前が最後となってしまった。



そこからは母も私も、ものすごく泣いた。

それでもふかまるに会いに行かなければならないと喝をいれ、病院に行った。



当然私は大学の講義を休んだ。



病院につき、先生が出迎えてくれた。

案内してくれた先にいたのは綺麗な姿で横たわる「ふかまる」。


亡くなっていた......。

夢なんかじゃなく、現実だった。

涙が止まらなかった。

泣いたらふかまるが悲しくなると思って我慢しても溢れ出して止まらなかった。


ふかまるは16歳だった......犬の人生にしたら大往生だろう。


ゆっくりと亡骸を抱えて、先生にお礼を言い、家に帰った。



そこからは、しばらく空気が沈んでいたと思う。

実際この小説という日記を書いている今も悲しくて涙が出ている。



10月24日。午後6時。

父は仕事から帰ってきた。

「よく頑張ったなぁ」と褒めていた。

辛かった。

この夜は1番一緒にいることが多かった母がふかまると寝た。



10月25日。

この日私は普通に大学に行った。父も母も仕事でふかまるは家に1人だった。

兄は先程書いた通り沖縄にいるから1番辛いと思う。兄が帰って来れるのは来月だったからだ。


私はこの日は四限まで授業だった。しかし、あまりにも心配で一限を受けて家に帰った。


家に着くと、「あぁ、そっか」と思った。


いつもはふかまるが迎えに来るからだった。


辛くなり、ふかまるが眠るところに行くと暗い部屋の中にいた。

本当にただ眠っているだけのようだった。


もしかしたら起きるんじゃないか、そんな期待もした。


母が帰ってくるまで4時間。ずっと一緒にいた。この日は私はずっと泣いていた。


ふかまるに感謝を述べ続けた。

「ありがとう...ありがとう...幸せをくれて」

そう繰返した。


10月26日、午後3時。

ふかまるを埋めた。

本当は火葬がいいのだが、私たちにそんな勇気はなかった。

幸い庭が広かったため、地深く穴を掘った。


ボロボロ泣いた。穴のそこにゆっくり下ろすと同時に土を被せるのが嫌になった。

それでも堪えながら丁寧に埋葬した。

買ってきた綺麗な花を添えて「ふかまるありがとう」とお別れをした。


最後はバイバイではなく「おやすみ」そう言って「ふかまる」との16年の生活は幕を閉じた。



ふかまるには本当に感謝している。辛い時やしんどい時、あの子がいたからこそ、この家族はずっと幸せで暮らしてこれた。

ありがとうを何度言っても足りない。

大好きを何度言っても足りない。



今後この子との生活以上の幸せはほとんどないだろう。

それだけ私たち家族にとっては一生の宝物で1人の家族だった。


まだ、3日だけど少し楽になったような気がする。

ふかまるは会えているだろうかおじいちゃんに。そして私自身も会ったことの無いおばあちゃん。そっちで仲良くしてるといいな。



私達はふかまるの幸せを一生願い続けます...



10月26日午後18時38分。執筆終了。


作者から

このお話は実話です。

私が今回この一話完結小説を書いた理由としては、もし、家族に犬や猫がいる方他の動物がいる方は大切にしてあげてください。そして幸せを、いっぱい感じてください。後悔がないようにというものです。

拙い文章ですが、読んでくださりありがとうございました。


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