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2話

 お久しぶりです、雷の化石です。

 また、ぼちぼち更新再開していこうと思っているので、気長にお付き合い下さい。

「ここは…?」


 俺は光が収まると、辺りを見渡した。周囲は路地裏のようで薄暗い通路の左右は家の外壁であろうゴツゴツとした石壁で囲まれている。

 俺はとりあえず、明るくなっている方へ向かった。


「おぉ〜!」


 路地裏を出た先は大きな通りとなっていた。馬車や人、更にはみたことのない生物に車を引かせた不思議な乗り物や獣人と思わしき大きな耳の生えた特殊な存在さえもが忙しなく行き交っている。

 これぞまさに異世界!

 そんなふうに感動していると、少し離れた人混みの方から聞き覚えのある声が響いてきた。


「あぁ〜!!いた〜!」


 走ってきたのは空色の様な色合いの髪をした少女

―――そう、例のウザ女神ことシアンである。


「おぉ、ウザ女神!確認だがここって異世界んだよな?」

「そうよ、異世界よ。てかウザ女神って何よ、私れっきとした神様なんですけど!…それに、女神って呼んでくれてもいいけど女神って言うと周りが驚いちゃうからシアンでいいわよ」

「そんな事よりまずはギルドだ。なぁシアン、ギルドはどこにあるんだ?」

「そんなこと!?…まあいいわ」


 俺がそう尋ねると、シアンは腰に手を当て得意げな顔をした。

 あぁ、なんか嫌な予感が…


「しょうがないわねぇ〜、教えてあげるわよ。…こっちよ!」


 シアンは意気揚々と先導し始めた。その後暫くは足取り軽く歩いていたのだが、やがてその歩みは亀よりも遅くなった。

 しかし、未だギルドらしき建物は見当たらない。


「おい、まだ着かないのか?」

「一番最初の所逆だったかも…」

「何やってるんだよ!急いで戻るぞ!」


 空を見ればもすでに太陽は天頂を過ぎ、傾き始めている。

 俺たちは急いできた道を戻り、周囲の人に道を聞きながらようやくギルドにたどり着いた。


「おぉ〜!!これがギルドか…」


ギルドは二階建てのレンガで出来た建物で、酒場が併設されているためか少しアルコールの匂いが漂ってくる。

 とは言っても、まだ昼を少し過ぎたくらいのため飲み客が少ないのか騒ぎ声などは聞こえてこない。


「ねぇ、タツヤさっさと入っちゃいましょ」

「あ、うん」


 シアンの声でハッとした俺は、気の抜けた返事をしながらシアンの後を追って期待を胸にギルドに入っていった。

 中に入ると正面には受付となるカウンターがあり、そこには3人の受付嬢が冒険者と仕事のやり取りをしていた。その左の壁にはコルクボードのようなものがあり、そこには依頼が書かれた紙が複数貼り出されていた。

 カウンターの右には素材の買取窓口と酒場があり、その前には順番待ち兼酒場用のテーブルと椅子が置かれている。しかしそこには昼間から酒を飲んでいる数人の飲んだくれと、それを眺める酒場の暇そうな顔をした店主がいるだけで賑わっているようには見えない。

 だが、夜ならばきっと活気があるのだろう。また夜にここにくるのも面白いかもな。


「なぁシアン、やっぱり異世界だし冒険者カードとかってあるのか?」

「そりゃあ、あるに決まってるじゃない」


 シアンがさも当然と言った顔をしながらそう答えた。


「『決まってるじゃない』って俺にとっては常識じゃねぇんだよ!」

「そんなの知るわけないでしょ!」

「そうだよなぁ…なんせ、この街の道すら覚えてねぇ〜んだからなぁ!」

「なによ!私がいなかったら一人で何も出来なかったくせに!」

「一人だったら街の人に道聞いてお前の三倍早く着いてるわ!」

「ぅ…」

「というかな…もうすでにお前を選んだことを後悔し始めているんだよ…」

「う…う…うわーんタツヤが酷いこと言ったー」

「はぁ…ほら冒険者カード作りに行くぞ」


 俺は涙目のシアンをせっついて受付に向かった。

……というか、面白いものを見るような目でこちらを見てくる飲んだくれと酒場の主人の目線が少し痛い。

 とりあえず、受付に行かねば。


「すみませーん」

「はい、こちらの受付へどうぞ」


 受付でそう言ってきたのは、暖色系の色を基調としたギルドの制服に身を包み、黒縁のメガネをかけた受付嬢だった。そして、特に目を引くのは白髪の頭についている2つの猫耳だ。

 これぞまさに異世界ファンタジー!キッチリとした印象と猫耳のギャップがたまらん!

 だが、今はそんなことより冒険者登録の方が先だ。


「本日は……ご依頼ですか?」

「いえ、冒険者カードを作りたいのですけどここで合ってますか?」

「そうでしたか、失礼致しました。場所はこちらであっていますよ。では、こちらの紙に必要事項をご記入下さい。代筆は必要ですか?」

「大丈夫です。名前は六道達也で…出身地は日本…年齢18歳で大丈夫かな?」


 一瞬、日本と書くのはまずいかと思ったが別に犯罪になるわけでも無いし、何か言われたら名前がまだ知られていない小国ですとでも言って誤魔化そう。

 しかし、『ご依頼ですか』か…。まぁ、シアンはともかく俺はヒョロイし冒険者には見えないか。

 うーん、悪気は無いとはいえなんかなぁ…。

 そんな事を考えつつ俺は書類を書き上げ、受付嬢に手渡した。


「よし、書けた。お願いします」

「はい、確かに。そちらの女性の方も書き終わりましたか?」

「終わったわよ」


 そう言ってシアンも受付に紙を手渡した。


「シアン様と、ロクドウ タツヤ様ですね。…はい、問題ありません。では、冒険者カードの発行を致しますので少々お待ちください。」


 そう言って受付嬢は書類を手にカウンターの奥へ消えていった。


「なぁ、シアン。この街のクエストって難しいのか?」

「いーえ、簡単ものが多いはずよ。だって、ここは初心者向けのクエストが多いもの」

「ふーん、なんで初心者向けのが多いんだ?」

「この街はね、魔王城から最も遠い街なの。

だから魔物もあまり強くないし、あまり強い人もいないから警戒する必要がないのよ」

「なるほどな」


 そんな話をしていると受付嬢が戻ってきた。


「お待たせしました」

「あっ、はい」

「こちらが冒険者カードとなります。偽造防止措置がしてありますので、もし紛失した場合は再発行の手続きに加えて追加料金が必要となりますのでご注意ください。」

「「分かりました」」


 渡された冒険者カードは、金属製のプレートに防腐処理と鍍金がされた光沢のあるもので、そこにはそれぞれの名前が刻まれている。

 パッとみではいくらでも複製できそうだが、きっと魔法か何かで対策されているのだろう。


「冒険者についての説明は必要ですか?」

「じゃあ、お願いします」

「分かりました。

ではまず、依頼についてご説明いたします。

 依頼には危険度があり、FからSに分類されています。どの依頼を受けるかは自己責任なのでご自身の実力をよく考慮してお選び下さい。お二人は新人ですので1番下のFか一つ上のDランクの依頼を受ける事をお勧めします。また、依頼を失敗した場合は違約金が発生致しますのでご注意下さい。

 依頼についての説明は以上ですが、依頼についてのご質問はございますか?」


 依頼の受注に関しては問題ないかな。後は報酬の受け取り方くらいか。


「報酬受け取りはここで大丈夫ですか?」

「基本的にはここで承ります。ですが、依頼の内容とは別に売りたい素材などがありましたら隣の買取窓口へお持ち込み下さい。」

「分かりました。ありがとうございます」

「他にご質問はございませんか?」


 後は特に問題ないな。何かあったらまた聞けば良いし。


「大丈夫です」

「私も大丈夫よ」


「では、次のパーティーとクランについてのご説明にうつります。

 基本的に1人での達成が厳しい依頼は他の冒険者の方とパーティーを組んでいただくことになります。お二人の場合はあらかじめパーティー登録をしておく事をおすすめします。

 また、パーティーの最大人数は6名なのですがそれでも対応しきれないような高ランクの依頼の場合はクランに所属していただき、クラン単位で依頼に取り組んでいただきます。クランとはパーティー間や7名以上で組んでいただく場合の冒険者のコミニュティのようなもので、こちらは依頼を受ける前にあらかじめギルドへ申請を出していただく決まりとなっております。

 パーティーとクランについて何か質問はございますか?」

「大丈夫です」

「分かりました。では、説明は以上となります。これから依頼を受けるようでしたらカウンター横のボードからご希望の依頼をこちらの受付までお持ちください。」

「分かりました」


 俺たちは受付嬢にお礼を言い、隣の依頼が張り出されているボードに向かった。


「シアン、どのクエスト受ける?」


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