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第一話④
闘技場の関係者以外立ち入り禁止のエリア。その廊下を歩く少年が一人いた。先ほど闘技場の前で、電気を発した少年だ。少年はやがて広い場所に出た。辺りには、檻に閉じ込められた無数の魔物がいて、少年を睨んだ。闘技用の魔物なのだろう。
少年は、きょろきょろと辺りを見回す。何かを探しているようだった。
「ここでもないか」
残念そうにつぶやいたそのとき、少年の前方から二人の騎士が走って来る。少年は、小さくため息を吐いた。
「しつこい連中だ」
「大人しくしろ!」
と、二人のうちの一人が、槍を少年に向ける。すると少年の周囲で、紫色の電気が弾けた。騎士は驚く。
「こいつ、クリマを使っていないのか? やはり本当に精霊なんじゃ」
「俺は雷の精霊ヴォルト。邪魔をするなら容赦はしない」
ヴォルトは拳を構えた。