番外編、すずお君の日常
僕はある白魔女様の使い魔でふ。
白魔女様は魔法も使うけど。お薬作りで生計とやらを立てているらしいでふね。
僕は普段、モルモットと言う生き物の姿で過ごしていまふでふ。ああ、人の姿ならスムーズに喋れるのに。そう思いながらため息をつきまひた。
白魔女様もとい、ご主人のサンショー様は今日もお薬作りに勤しんでいまふね。何やら、大っきい鍋を棒でかき回しながらにやにやしていまふが。はっきり言ってこわ……げふげふ。わかったのか、睨まれまひた。
「……何かいったかしら。すずお?」
『な、何でもないでふ!』
「そう。ならいいわ」
サンショー様はまたお鍋をかき回しまひた。や、やはり流石は魔女でふね。僕の考えていることがわかるとは。冷や汗をかきそうになりまひた。そんなこんなで僕はサンショー様を黙って見つめるのでふ。
そうしてサンショー様はお薬ができたようで踊っていまふね。僕は旦那さんのソルトさんを探しまひた。
……あ、家の隅っこにいまふ。椅子に座っていまふけど。何やら無気力な状態でふね。どうひたんでしょう。
「……サンショー。今回は何の薬を作ったんだい?」
「ふふふ。もちろん、若返る薬よ!」
「若返るね。それは誰に依頼をされたのか訊いてもいいかな?」
「……確か。ブランカ様。お師匠様ね」
「ブランカ様がね。ていうか。若返る必要あるのかな。あの人」
僕もそれには激しく同意でふ!ソルトさん、ナイスツッコミでふね!サンショー様はちょっとつまらなそうな顔をしまひた。
「……たぶん。お師匠様はグリーンさんが目当てね。彼にはレミリアちゃんがいるのに」
「いや。レミリアちゃんはその。好きな人がいるらしいから。グリーンさんもさすがに手は出さないよ」
「ならいいんだけど。ていうか。何でレミリアちゃんの事、そんなに詳しいのよ」
「……いや。ちょっと。すずおに教えてもらったんだよ」
「……へえ。すずおにねえ」
僕は鳥肌ならぬモル肌が立ちまひた。毛が逆立ってしまいまふ。に、逃げないと!
僕はそぉっとその場を離れまふ。抜き足差し足忍び足と。ドアの辺りまで来ると念力でちょっとだけ開けまひた。よし。開きまひたよ!
そのまま、スタコラサッサと家から逃げたのでひた。
モルモットの姿で出せる最大の速度で逃げまふ。ぜいぜい。そ、そろそろまけまひたか。後ろを振り返り確認しまひた。あ、サンショー様やソルトさんは追いかけてきていないでふね。ほっと胸を撫で下ろしまひた。よしっ。人型になるでふよ!
……あ。ちょっと待つでふ。服がないのでひた。僕って抜けてまふね。仕方ない。モルモットの姿のままでいまひょうか。僕はテクテクと歩くのでひた。
あれからどれ位の時間が経ったのかな。気がついたらもう夕方になってまひた。グーとお腹が鳴りまふ。ああ、何かを食べないとお腹と背中がくっつきそうでふね。仕方ない。僕はそこらに生えているタンポポなどを食べてみまひた。
……うん。まずまずでふね。もぐもぐと口を動かしまひた。満腹になるまで食べると眠たくなってきまひたね。
うん。休みまふ。おやすみなさいでふね。
気がついたらもう夜中になってまひた。あれ。ここはどこでふか?!僕はパニックになりまひた。トコトコ歩きながら辺りを見渡しまふ。全くわからないでふね。真っ暗だし。それでもあてどもなく歩きまひた。しばらく経つと遠くから誰かの声が聞こえまふ。
「……すずお!!」
『……あ。この声はクレアさんでふ!!』
僕はモルモット特有の仲間に呼びかける際の声を出しまひた。するとチラチラと火影が見えまふ。
「あ。やはり。ここにいたんだな!」
『……クレアさん。わざわざ、探しに来てくれたんでふか?』
「当たり前だ。それよりも。サンショー様やソルトさんが心配していたぞ!」
僕はその言葉を聞いてしゅんとなりまひた。要はいつの間にか家を抜け出してしまっんでふね。ならサンショー様達が心配するのも無理はないでふ。
「さ。帰るぞ!」
『わかりまひた。行きまふ』
「とりあえずは。私が抱えよう。疲れただろう」
クレアさんは近づくと松明を地面に差しまふ。そうした上で僕を抱きかかえてくれまひた。あ、クレアさんから良い匂いがしまふ。それに温かいし柔らかい。昔にお母さんに寄り添っていたのを思い出しまふね。クレアさんは優しく僕の頭を撫でまふ。
「……こんな遠くまで来るとはな。なかなかに頑張ったな。すずお」
僕はそんな言葉を聞きながらまたも来る睡魔に従ったのでひた。
その後、クレアさんとブランカさんが僕をサンショー様の元に送ってくれまひた。ちなみに転移魔法で一瞬でひたが。サンショー様やソルトさんは泣きながらも僕を出迎えてくれまひた。
こうして僕のぷち家出は幕を閉じたのでふ。




