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運命の猫

作者: 睡眠羊子

大学3年生。

季節は夏。

台風が来る前の日だった。

大学に行く途中に人集りがあり、

見に行くとそこにはダンボールに入れ捨てられた2匹の猫がいた。

まだ体が小さい。

生まれてまもない。

目ヤニまみれの顔で必死に生きたいと鳴いている。

集まったひとたちは

「誰か拾うでしょう。」

「誰かいるでしょ?オレら関係ない。可哀想だけど仕方なくない?」

勝手なことばかり言う。

あぁ、お前たちは私と同じだね。

必要とされてないんだね。

でも、私はお前たちを必要とするよ。

ダンボールを持ち上げ泣きながら大学に着いた。

もちろん猫を連れて授業は出席することは出来ず、

家には犬がいて、猫をすぐに迎える準備が出来ていない。

猫屋敷の友人が快くしばらく預かってくれて

猫用のケージ、移動用ケージ、子猫用のフード、トイレ、猫砂を準備した。

近所の病院へ連れて行きワクチン接種と治療をした。

目ヤニだらけの目が少しずつ回復して可愛らしい目が開いた。

黒猫のメスにはいちこ、白黒ハチワレのオスにはニコと仮の名前を付け、飼い主を募集した。

最終的にメスの黒猫はもらわれていったが、オスのハチワレは残されたので、名前を改めてジャンと名付け飼うことにした。

犬と暮らしているせいか穏やかな性格に育ち一度も怒ったことがない。

鼠取りに3回捕まりそのたびに洗われ、頭はあんまり良くないのかなと思った。

よく吐いて、夜に走り回り、抱っこが好き。

それは17歳になる今も変わらない。

腎臓病だけど、元気に相変わらず走り回り、甘えるし、よく食べる。

おじいちゃんだけどずっと子供のまま。

名前を呼ぶと返事をする。

ダメなことは叱ればすぐ分かる。

長いこと一緒にいたからたくさん学んだんだろう。

自分を猫とは思っていないらしく、

庭で雪遊びをする犬たちに混ざろうと雪に一歩足を踏み込んだら冷たくて驚いてすぐ帰ってきた。

きっと雪はふわふわのあったかいものに見えたのかもしれない。

羨ましそうに犬たちが遊んでいる様子を見ているのが面白い。

気が向くとうちの犬たちを捕まえて体を舐めている。

世話してあげているつもりなのは分かるが犬が臭くなってしまう。

体はガリガリで毛並みも悪くなってしまったけど、変わらず穏やかに過ごせている。


あの時出会わなかったらどんな未来になっていたのだろう。


立派な猫又になってくれよ。

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