城太郎
こんばんは
この鷹なのか鷲なのか不明だけど、何時もなら無表情で前だけ見て飛んでいるのだけど、今は何故か後方から追ってくる黒のドラゴンをチラチラと見て気にし、かれこれもう二時間は経過したろうか。
「コイツはヤーのドラゴンの事が気になっているようだ。なにかあるのか?ディアよ。」
「昔っから仲が悪いんです。ただ、それだけ。」
クスリと意地悪く微笑んだあと『もっと飛ばしてドラゴンを置いて行くんだ。サンダーバード!』と発した瞬間、羽の先端から青い閃光が煌めくと体中に雷光を纏った。
次の瞬間!バサリと羽を扇げば『アル様は私の前に来ましょね』と声が置いて行くのか?と思ったほどに、ドムッ!とディアの体にメリ込んだ気がした。
それほどの衝撃と加速なんだと思う。
「さぁ!館まで一直線だ。」
『グガァァァ』とサンダーバードなる怪鳥が声を荒らげると同時に再び重い風がノシ掛かり、加速がどんどんとアップしていった。
「き。気持ち悪い……。と、とりあえず俺の第二の家の作成だ。ヤーとディアはサンダーバードとドラゴンを使って木材運びをする。スーとサナは場所決めとレンガ造りと大地をならす作業で、エンはこのまま俺の膝枕に。」
「えー。面倒だなぁ」
そう言うのはヤー。
周囲も嫌だとは言わないものの、さて作ろうかという雰囲気では無いのは確かであった。
「家なら、サナの魔獣を呼ぼうぜ。」
それは本当かい?
レンガ作りしなくて良いのかい?と興味を持った俺は
「ならサナよ。魔獣を呼び出し家を作るのだ」
偉そうな事を言っているが、エンが引いた小さなハンカチの上に寝転がりエンの膝の上に頭を乗せ、ぐでぇーという状態なのだけど少し興味があった。
今さらながら、デカカッタナ領主が昔の魔王だったこと、エンが人間と魔人との国境を繋げたことの真実味がディアの鳥の魔獣やヤーのドラゴンを見たことで増したんだと思うのだ。
サナは『あまり呼びたく無いんだけどなぁ』と言うと、ヤーみたいな笛を取り出して吹いてみせた。
が?
「特に……何もないな。」
期待していた地鳴りや、鈍重な鳴き声を期待していたのだけど全くと言っていいほどに何も聞こえて来ない。聞こえるのは、いつもの木々が風になびく音と『パブゥ。待つのだパブゥよ』と父上が走り回っていそうな声が聞こえたその時!?
「パブゥよ。アレはなんだ!?」
一際大声で叫ぶ父上の声は、よく聞こえた。
それもそうだ。
俺の家の敷地内に入ってから【主様、なにか?】と言ったのち、【そちらへ参ります】と脳内で伝わって来てたからな。
「って。アレは、天空城の城太郎ではないか。あまり見ないから、どこに散歩しているのかと思ったが元気そうでなによりだ。」
ウチの親は、少し逝かれていやがるようだ。
空に浮いた城に対し城太郎などと
「おーい。城太郎。降りといでぇ」
手をふるサナを横目に
「(え?マジかー。)」
多分、天空城を見た俺は十中八九と目が点になるだろうが、父上の逝っている発言もあったがサナの言葉に合わせてウイィーンという機械音が大きく、そして近くに来ているのが分かるのだ。
「相変わらず。汚いな。」
ヤーの酷い言い方は無視にして、この城太郎という天空城の四方には黒の巨大な羽が付いていた。この羽はイキイキとして羽ばたく事は無く、ただ城の周囲に付いているだけであった。
「凄い。凄いぞ!ヤーのドラゴンより凄いぞ!!」
「そうです。どんな生物より城太郎君は凄いんですよ。なんせ太陽をエネルギーを糧とし、永久的に浮き自我を持った堕天使ですから!」
『そうか』と言ったけど、全然意味は理解はしていない。
あと、城太郎という名も突っ込まないでおこうと心に決めた俺だった。
コレから、この城太郎の城に乗って各地のギルドでお金を稼いで……と考えていた時だ。
「あー。すまんが巨大な城太郎君の影となってしまうから、早急に城太郎君はどこか遠くに飛ばしてくれないか?できれば遠い太陽の近くへ。それならば、誰にも迷惑は掛からないからな。
もちろん夜は大歓迎だぞ。」
そう言うと
「ぴゃんぴゃん!」
パブゥが、父上の腕をふりほどき飛び出して来たのさ。
【ナニカ。発見しました。敵意を感じます】
ん?
そんな感じでパブゥから伝わる信号を読み取ると、確かにレーダー内に見慣れない"赤の点"が点滅していた。
【攻撃しても良いでしょうか?】
「(じゃ。)」
と発した瞬間
「ぐはぁ!何故だぁ。」
目の前に突如としてブッ倒れる怪しいヤツは誰だろう?そんな目で見ていた時『影使いのレアトロ!』と言ったのはスーだった。
「久しぶりだなぁ魔勇者よ。」
"ぐはぁ"と倒れた者は、黒の炎を纏いユラユラと揺らめいていた。そんな姿を目の当たりにした俺はボソッと『影使いって、ぶっちゃけ忍者みたいだな』と言ったその時!
「成る程。貴様が転生者か」
と、同時に俺のスキル忍者が発動したんだ。
そして……
「拝啓。
ここの暮らしは良いです。朝になれば朝食を運んでくれ、介助をしてくれます。それは昼と夜もそうです。尿意や便意も恥ずかしながら文句を言わず、終始笑顔で支援をしてくれます。
私は衣類は既に剥がされ、今は簡単な布でくるまれているだけ。コレは私の体を洗うのに適しているからだと、介護をされてから1週間が経過した頃にようやく気付いた事に感謝と御詫びがあります。
ありがとうございます。こんな言葉では伝わりキレない程に……程に。私は今まで何をヤッて来たのでしょうか?私という命を手助けしてくれるメイドさん達に申し訳がありません。
現に私の胸の上に"キューちゃん"という、見たことの無い小さき珍獣が置かれる度、私の心にはかつて無いほどに温もりを感じるのです。
そう。私、元気なればデカカッタナ家に尽くしたいと思います。サヨウナラ。」
『ぐぬぬぅ!』と手紙を握りしめ、床へ叩き落としたセバルト王子は何に怒り何を思うのだろうか。
また、会いましょう




