王子
おはよう
『チッ。面白く無い!』とドアを叩き壊すかのように開けて入り、勢いよくソファに座った。
目の前には、サザエビが率いる勇者メンバーを見据えていた。
ここは、闘技場近くにある貴族の別荘。聖騎士魔法学校の敷地内には、過去の御先祖様が使ったであろう貴族の屋敷が多数存在している。
「なぜブレーキをしなかった!?そうすれば後ろには行かなかったはずだぞ。」
そっち?というのは、アルの隠蔽のお陰である。もう既にオートバイの大群に体当たりされたのなんて覚えてないのだから。
「あの3人が放った召喚は、とても巨大で"まるで大きな川"という名の生き物が突っ込んで来たんですよ?質量じゃ、圧倒的に負けてますよ。
普通なら、あの車を出現させただけでココの奴等は驚いて足がすくむってのによ……とんだ誤算だぜ。」
もうすぐでデカカッタナ家を無きものへとし、怒り狂う領主を手玉に取り、なんとかサンシャイン家の縁談の話を無効に発展できる算段だったんだ。
あの、欲しいスキルであった"神の目"を奪えぬのなら手中にと思っていたのに。
今の現状がコレか
セバルト王子の緻密な企ては無惨にも散ってしまったが、再びどうしても欲しいスキルなために簡単には諦めきれない。
だから、ブツブツと独語を言って考えている途中だった時、"アル言葉"が聞こえて来たんだ。
アル言葉とは?
「俺のキャンプ用の四駆をオープンカーにトランスフォームをしたというのに、何も驚かない奴は初めてだな。ま、"日本とか"なら特に驚かないだろうけど、キャンプマニアなら絶対の支持を得ていたぜ。」
ハッとして発言したヤツの目を見た
「なっ?なんだよ。俺はお前の事を全然好きじゃねえぞ。」
そんな言葉を聞いても特に反応しない。
何故ならば、今まさに!"なんてこった"という風に『フハハハハ……』と笑い出していたのだ。それは、勝利を確定したかのように。
「デカカッタナ家には転生者がいる!王に騙し、王に宣戦布告を企むヤツが存在するぞ。ああ、絶対に存在しているぞぉ。お前達は勝手に王都に戻っておけ。私は先に父と会わねばならぬ事が出来た!!」
そう言ってからパチンと指を鳴らすと、王子の影から出て来たのは黒の炎のマントを羽織ったナニカだった。
「レアトロ直ぐに飛ぶぞ。父上に会わねばならん。私が父上と話している最中、お前はデカカッタナ本家に行き徹底的に調べろ。
コレを渡しておく。コレを見せれば侵入可能だ!どんな些細で怪しい奴等だろうが、全てを暴き出せぇ。」
「御意」
黒の炎を揺らせながら、御意と発言した奴は炎が消えるが如く消えた。
王子は『また会おう』そう言うと部屋から出て行こうとした時、サザエビが気付く
「セバルト王子!今回は負けてしまったが、今一度命令を聞く。だから早く!この奴隷の指輪を外すことを忘れないでくれ……コレは、スキルか!?」
「ああ、ああ。わかったわかった。
私の作戦の道筋を邪魔をしなければ、いつでも"命令"をする。……だからっ!!命令をするまでは大人しく縮こまっていろよ。」
王子が乗ろうとしている"モノ"は、生物のようで生物では無い。かといって形だけなら魔物のような形相で、手足には付けられた車輪が4つあった。
サザエビは見た瞬間に"スキル"と発言したのには理由があった。
生物は、他の生物が近付くと目線を移すがコレは違う。
コレは、主人が言った命を聞き入れ実行するだけの者。ヤツは、王都の方向しか向いて無いのだ。
ただ、それ一択。
『行け』そう言うと空間が揺らいだ?いや、大きな炎が揺らいで消えたのだ。
「ただいま帰りました。」
「ああ。晩御飯は、冷えた湯通し野菜だから。あとは自分で勝手に用意できますよね?」
何時もと違うメイド達の反応に驚きを隠せない。一応、下の者という立場だというメイドから"そんな言葉"を掛けられた時『なんだとぉ!?』と声を荒らげるも
「あ、殿下。こんばんは。私達は別に奴隷ではありません。王の好みで選ばれたメイドですから、主人は王だけなのです。あと、私は今日の仕事は終わりですので。」
さっさと立ち去るメイドを後ろから見て、自分がナニカをしたのだろうか?とフと窓の外を見て考えた時!!?
「だっ!?誰だコレはぁ!」
誰って?金剛たけしです。
いや、中身はセバルト王子本人ですけど。
窓に移る見たことの無い顔。
「コレは!私の顔がぁ……何故こんなにも老けているんだ。」
見れば見るほどに……セバルト王子の心は描き乱れた。
しかし、だと言うのに!?周りの反応は今一"変"という一文字では表せない感じであった。
そう!先のメイドが、"この顔を見て殿下と言った事"だ
その時
「(我は父上に会ってよいのだろうか?他人扱いされぬとよいが。いや、今行かねば立ち止まっていても私の立場が悪化するだけに見える。ならば、このような顔だったとしても会いに行かねばなぬ!)」
『どけ!』と、兵士だろうがメイドだろうがお構い無しに、廊下で行き交う人達を押し退ける。それは、未だ自身の顔が赤の他人の顔となってしまったが故。
普通なら、こんな赤の他人が居れば即座に捕まり拷問などが始まるのは確定的である。
だからセバルト王子は、何時もと同じような動きで立ち振舞いのだった。
「父上!父上、入りますぞ」
「なんだ?騒々しいぞ。……ぬ?お前、スキルを使用しているぞ。反応がある。」
大きな扉をくぐり抜けた先に父という王がいるのだけど、未だ入室の許可は頂いて無い為ドア前で返答し合っていた。
「スキルなんて使っていません!」
「いや。使っている……が、攻撃のスキルでは無さそうだ。殺意は感じられん。一体なんのスキルを使っている?」
なにやら、王がいる所はスキルを使用しているかどうかが判明する場所となっていた。
「もしや!?この顔が!」
「成る程。ナニカ喰らったのか……お前はその位置のままだ。ドアを開けよ!」
大きなドアはドアボーイによって、ギィと開けられた。
「……特に。何も感じないが?」
セバルト王子はドアの先に座る王を見て一度目を合わし、直ぐに目線をずらす。
そんな息子の変化を見逃さない王は、少し心配となったのだろう。椅子から立ち上がると
「カズアキ様、お待ち下さい。」
「なんだ?殺意を感じないぞ」
「このスキルは恐らく、認識阻害の類いかと」
「どういうワケだ。ナビゲーター?」
「セバルト王子に認識阻害が掛けられていますが……特に阻害は無いのを見ると、セバルト王子をよく知らない人が見ると、よく知る者へと変化するようです。
現に私の目からは、何故か神の顔が消えたり戻ったりしてますから……。」
ナビゲーターという人物からは、テレビの電波障害のような点滅と亀裂が入り見えているのだった。
「神か。という事は、誰からか神の施しを受けた者が存在しているということか。セバルトよ、今日は大事を取って休むがよい。
明日の朝からじっくりとお前の話を聞くから、話をまとめておくがよい。」
「は。はい!ありがとうございます」
王子は自分の成したい事が!王に伝わった事が何よりも嬉しいと感じた様だ。返事をすると共に笑みを出していた。
ところかわり
「アル様。今日は私達です。」
「いや。ヒカルからは既に依頼達成をしているのだろ?だったら必要無いだろ。」
ヒカルと別れて世間一般の宿へ戻ったアル達は、異常に疲れてベッドに倒れ込んだアルに対し、2人のメイドがしゃしゃり出た。
「ダメです。依頼は達成しましたが、お金は未だ頂いてませんから。」
そう言うのは、肌がヤーよりのディア
「……わかった。しかし、今日は本当に疲れたから添い寝だけだからな。」
そうやって俺の1日は終わった。
「なあ?ちょっと考えたのだけど、シャル兄の異形もいいけど王子に勝ったのは父上に伝えないといけないコトだと俺は思う。だから、あの大きな鳥を出してくれ。」
「ちょっと待ってくれ。」
そう言うのはヤー
「私も笛を持っているのは知ってはいるだろうから言うが、私はドラゴンが来ます。」
ヤーは終始ニヤリとしていた。
「じゃ、ドラゴンで」
「クハハハハハハハ。フハハハハ……やはり男はドラゴンだろうなぁ!」
未だ『フハハ』と笑っているヤーを置き、俺は外に出た。直ぐに空から舞い降りた鳥の背に乗って
「待てくれぇ!」
「おー。大きなドラゴンだなぁ格好良いぃ」
ドラゴンと並列して家に帰る事にした。
また会いましょう。
21日は休みます。




