何度目かの"ヘーン"
こんばんは
「オッス!スー」
ヤーでは無いスーを見ていると何故か元気が湧いてくる。
そんな元気そうな俺を見据え、ベッドの上で起き上がって挨拶してくる姿をじっくり見てから『早くしてくださいね』と、特に無反応でクルッとターンして何かいそいそと準備をしだした。
「スーちゃんよぉ?私の大剣の準備とかさぁ、いつもしないのに何を焦っているのかにゃあ?」
スーはピクッとした反応をみせると
「ああっ!俺の大剣を倒して踏みつけるなぁ!」
パンッと壁に立て掛けてあった大剣を床に叩きのめした。それを横目に見ながら俺は着替えていると同時に、エンが朝の軽食の準備を済ませる。
「そうだな。今日は誰か1人をシャル兄のところへ行き、対戦の日時等を聞いてくるように。あと、アノ姉上が言っていた事が起きていそうだ。それを……」
チラリと周囲を見渡し、二度見したあと三度見をする。
「どうした?ディアにサナ」
その2人のみソッポ向いていた。
「えっ?……ああ。」
そう言ったのはサナ。
サナは、"フッ。気付いてくれよ"的な感じで一瞬下向きとなり再度俺の目を見たんだ。
「ぶっちゃけ。アル様と街をウロウロしたいです。」
「そうか。わかっ……」
「私も!!」
俺の『分かった』と言いきる前に、超喰いぎみでディアも乗り出した。
「では、ヤーがシャル兄の所へ行ってくれ。」
後方でディアとサナが『ワーイ』とハジケている時、俺は即決でスーを見ながら言った。
するとどうだろう。いつもなら、嫌々ながらも"へーい"と言ったりして引き受けてくれるというのに今日のヤーは違った。
「別に嫌とかじゃないですがね。スーを見ながら私に決めるの、やめてもらえませんかね?それと……」
『今夜、じっくりと泣かしてやる』と耳元で囁きスーはドアを蹴って出て行った。
スーが俺を泣かす?
うーん。と考えても頭に浮かばない。どうやって泣かしに来るんだろうか?
そうか!誰かに聞くか。
「なぁエン。質問するぞ。」
「ダメです。」
「なぜだ?」
「答えを知っているからこそ、言葉で伝えることが出来ないからです。愛や嫉妬は言葉では伝わることが難しいように、感情で伝えたいといつヤーの気持ちを考えてください。そして、受け止めるのが主人の今の役目です。というか、そういうギルドの依頼なので。」
前半はウンウンと頷いていたのだけど、後半の9割を越えた辺りから『オイオイ。ちょっと待て』と俺は戸惑いながら聞いた時
「待ちなさい!」
「待ちません。アレは別に極秘では無かったハズです。
私達は入れ代わりでアル様の相手をするように指名依頼がありました。依頼したのはアル様のフィアンセであるヒカル穣様です。
アル様が全く女性に興味ありませんでしたので、心配したんでしょうね。……因みにヤーの次は私となりなす。」
スーの呼び掛けを即座に蹴るエンも驚きだけど……。
あの時のことか!?恥ずかしさとヒカル穣の甘い匂いに理性を失いことが、何処と無く雰囲気で怖くなった俺はスー達を残して去ったことがあった。アレか!?
「すまん。全然、女なんかヘーンって思ってた……」
「なにっ!?女なんかぁあああ!!!?」
あ。
「亜空間発動!」
ふー……ヤバい。エンが怒った。どうしよう
「落ち着け俺。とりあえず亜空間に入れたし、パブゥ達の荷物チェックでもするか。……」
そうやって俺の亜空間内にある小学校の時計が2時間を通過した時『仕方ないか』と諦めて再び戻ることを決意したのだ。
ぶっちゃけ、2時間経過したら収まっているものだと思っていたからな。
しかし
「その発言は頂けません!よし、今晩はヤーですが私も交ざりますから覚悟してくださいね。ヤーを支援したいと思いますので。」
タイミング的に怒り狂ったエンの発狂直後に出て来た感MAXという感じであった。
当然俺は"エッ?"となるも補正である商人が話しかけて来たことで"ああ。ソレ、早く言ってほしかった"と心の中で棒読みをした。
商人曰く
〈亜空間は時間が外の世界と繋がっていません。なので亜空間を使えるということは、他者より短命となります。しかぁし!スキルレベルが"極"ですので、聖獣並みに長生きします。因みにですが、聖獣の平均年齢は三千歳からとなっております。〉
「よし。皆でギルドへ行き、金を稼ごうか」
俺は色々と切り替え、今を生きることに専念した。
ギルドへ行く道中へは、さすが馬車を使えないため徒歩で行かねばならない。途中、武器の出店があって『これは良いわ』と手に取っていたのを見た俺は『俺は先に行くぞ』と言い急かした。
俺は見た、短く太い棒に多数の鞭がついていて先端にはトゲがついていた。あと数秒俺の掛け声が遅れれば『お客さん、良い目をお持ちだ』と言った店主にエンは絶対皆に5個購入していたに違いない。
そう思ったら、尚更に足が速くなった。
目の前にはもう、ギルドである。看板には光のギルドと書いてあった。
「ではスーとエン。簡単なクエストを見つけてくれないか?私は外で待っているから。」
「ああ。大丈夫ですよ。アル様の分まで用意しましたから。」
そう言ったのはサナで、ホレという感じで出て来たのはギルドカードであった。
「いや、俺はギルドへ入ってないが?」
「偽造です。」
「バレるだろ!?」
「大貴族で密偵やってたし絶対バレません。」
「そう言って、バレるんだ。」
「私達はバレたこと無いですから。デカカッタナ家は、知らないだろうけど結構大きい貴族ですよ。」
俺の手にはキラリと光るギルドカードがある。
これは!このキラキラ感は……
「いいな。これは」
ニヘヘンとなった俺の顔を確認すると『行きましょう』と手を差しのべるサナと手を繋ぐのだった。
また、会いましょう。
今晩の0時以降は投稿しません。普通に寝ます




