帰ってきてよ
こんにちは。
昨日もしやと思い調べたのですが、ハイパーゼットンって本当にいるのですね。まあ、洗剤みたいなウルトラアルファなんていないだろうけど。
そうして朝を迎えると、いつもと同じでスーが僕の頭の中に異世界文字を流し込んで読み聞かせが始まる。
産まれた時から少し変わったのは、僕はもう片言だけど話せるし読み書きだって出来るようになって来ている。
「(もうイイだろう……フフフ今晩が楽しみだぜ。)」
僕が悪い笑みを心の中で思っていると、スーの指が離れてトンッと肩を叩く。
「あの。そいうのが希望でしたら、年相応として添い寝しますが?」
あ。そうだった。
スーの指から伝わるということは、僕の思いも伝わるのを忘れていた。直ぐに『違う。これは、お前達には関係の無いことだ』とフンス!と荒い鼻息を吐き出し言ってやった。
「(夜。早く来ないかなぁ)」
普通に筒抜けと理解していても頭の中で描いてしまう。
こんなにもテンションが爆上がりなのは、なんと言っても異世界語が理解できるからだ。
あの時、僕は産まれたあの日の夜に見張りの目を盗んで一度"スキル創造"を使ってみようとした。
だけど、いっさい発動すらしなかったのだ。
ほんと。なんだコレ?……と思い『爺!お前。お前ぇ』と怒ったもんさ。
だけど、この世の成り立ちや魔法・スキルと異世界語を学ぶことで理解をした。その為の"早く夜が来ないかなぁ"なんだよ。
そうだ!目を盗んでヤりたいのだ。
護衛するヤツラも俺の部屋の外だし、隣接する部屋に他の2人が寝ているとは言えココは僕の部屋なのだ。
もう僕は1人で寝ているから、何でも大丈夫なのだ。
まあ、最近そうなったんだけど。
「あまり集中していませんよね。では、少し早いですが昼食にしましょうか。」
スーはそう言うと席を立ちエンを呼ぶ。いつも通りのパターンでエンが昼食を持って来て、僕の部屋で食べるのが基本だ。
因みに僕の両親と食べているのは、もうすぐ成人か聖騎士魔法学校に入る予定の兄様や姉様の人達に限る。
「では、昼を食べ終えたら昼寝をしても良いか?」
「それは夜更かしの為ですか?」
早い!スーはいつも早い御返事である。
だが。な
「そうだ。いけないか?」
へへへ。そんな感じになる僕の心。
「夜更かしすると、身長が伸びず背が小さ過ぎて御披露目の際に女ドワーフと間違えられても知りませんよ。」
くっ!
「……好き嫌い無く食べる!コレこそお前が言った成長するすべでは無かったか?」
スーは優しく息を吐いて
「子供とは。そういう者なのです。」
棒読みで、心ココにあらずなトーンだった。
「アル様。この魚食わないんだったら俺が食べるけどイイよな?」
そう言うのはヤー。
ヤーの行動は、別に珍しくは無い。僕が話ができると分かってからというもの、仕事面では上下関係は存在しているが同じ机で同じ食事、更にはだいたいがスーが一口先に食べて『毒は無いようです』と言うのだ。
こう毎日とそういう光景を眺めていると"上下関係ってなんだろう?"と考えてしまう。
因みにヤーも毒味をするのだが、食べすぎるので今はエンかスーである。
僕は無言で魚の皿を近付かせて拒否のアピールをとることでヤーもしつこく来ないというのは理解している。
そんな時、ドアが鳴らされた。
「おい。俺だ。」
声でわかる。これは、僕の兄さんである四男カラン・フォン・デカカッタナである。
兄さんは『入るぜ』と言うと、昼食中にもかかわらず入って来た。
「なあアル?ちょっとさ、スーかエンを貸してくれよ」
「……え?なにかイベントでもするのですか?」
「まあ、そんな感じだ」
一応、屋敷のルールでは目上の命令というか指示は聞くものだからか僕はスーに目線を送ると"イイですよ"と小さく頷いたのを確認したので『じゃ。スー、行っといで。』と声を掛けて見送った。
昼食を終えてからは、エンの読み聞かせと実際に筆を持って書く練習をしたけどスーは帰って来ず、夕食が来ても湯浴みの時間になっても帰って来なかった。
「エン?スーはどこ?」
「スーの生命反応は有りますので大丈夫ですよ。位置は、カラン様の部屋ですね。」
「帰って……来るの?」
いつも側にいるスーなのに、少しの時間いないだけで僕は心配になってきた。だけど、僕の心配とは裏腹にエンは落ち着いていてヤーもため息は付くけど、どことなく落ち着いているというか呆れている様子だ。
だけど、ココで切り出したのはエンだった。
「では、カラン様の母であるサラ様に直接私が言いますね。」
そう言うと『ヤー。アル様の護衛はまかせたわ』とヤーに伝えると少し急ぎ足で部屋から出て行った。
しばらくして
「……はぁ。ただいま戻りました。」
「ああ。会いたかった。トラックにひかれたのかと思ったぞ。」
ん?……となりつつも『体が汗だくじゃないか。早く汗を流して休んで!』と嬉しさのあまり笑顔で言うとスーはほくそ笑むような表情をとった。
「アル様の指示なのだから、当然アル様も一緒に入るのですよね?」
僕は見逃さない。
スーは、小さな笑みから大きな笑みへと変化していたからいつも通りで元気に『当然だろ』と言ったのだ。
湯浴みに行く道中、スーがボソッと『一応クリアはしたけど、もう一度クリアかクリーンの上位を掛けてくれない?エン』という言葉をかけていた。
そして、夜がきた。
深読みをして、○イゼットンにしようかと思いましたけど、ハ○ニューガンダ○がいるからハイパーにしたのに。
まあ、キングはいないようだから大丈夫だろうと思ってます。