捜索 その2
こんばんは
これは言うべきだろうか?
そう考え込んでしまうのは、スーがシュコッ!シュコッ!と小さな短剣を研ぎ、『ヤル時はヤルしかないな』と言って短剣の先端の輝きが僕の目をかすめ取ったからだ。
僕は食べ終えた食器を下に置き
「なぁ。スー。別にあの犬は救いに行かなくて良いぞ」
「ほぅ。あの顔つきで犬ですか?さぞ絶滅の危機でしょうなぁ……ならば!早く助けに行かないと。」
まぁ、まぁな。
あの顔つきで犬だから、親に泣きついて頼み込んだからな。
「いやいや。聞けスーよ。あのな、アレは僕の捜索スキルなのだ。だから、捜索の解除ボタンを押せば勝手に消える仕組みだ……僕はスキル創造だから知ってるだろ?」
な?そうだろ?とスーを促した。
「あっ。そうでしたね。気付きませんでした。でしたら解除お願いします。」
スキルの概念は皆知っているし、スーも当然知っている。だから、今スーが"気付きませんでした"という言葉で理解するべきだったんだと僕は改めて知ることになったんだ……僕の隠蔽スキルに。
「ああ。アル様の食器を片付けますので、タオルを渡しますので汗を拭いに行ってきて下さい。」
そう言いその場を離れてから3秒後
「エン。ギルドは3階で奥に続く建物がギルマスの住んでいる場所だ。私は、子供というキーを持ちいえばヤハリ……」
「そうですね。子供は大切ですから、出入口から最も離れた場所ではないかと。」
「ヤハリそうか。」
「(ああ……隠蔽な。)」
2つの鼻の穴から抜ける大量の息は、今の僕の重い心と同等と同じ重さだろうか。
それほど、ドッと疲れた感じを思いおこさせる。
「……(まあ、もしも僕が本当にスキル解除をして消えてしまったら?……それはそれで一大事なことが起こるやもしれない。)」
そう思ったら
「ああ。エン・スー・ヤーお休み。」
渾身の満面の笑みをもって、僕は3人に伝えに行った。
そして僕は目を閉じ、レーダーに集中する。
もうスーとエンは何処かに行ってしまった。なぜなら、隣にヤーが『アル様、もうちょっと詰めて下さい』と来たからな。
そうして間も無く、レーダー先に点滅しているアイコンが急に此方に接近してきた時、僕はフいに気付いたのだ。
「(アレ?ガチの捜索であるならば、テントの外に置いている僕の靴を探せ!と命令すれば帰って来るのではないだろうか?例えガチ隠蔽でスー達に知るよしも無い捜索だったとしても)」
そんな発見をしたとしても、耳を澄ませばチリンチリンと首に付けている鈴が聞こえた時『(次から、そうしよう)』と僕は心に決めたのだ。
そして朝
んー!と伸びをすると、かすかに僕の腰の上に感触があり見ればスキル捜索がいた。
「(よし。)消そう。」
「アル様ダメ!こんな小動物を消すなんて……そんな残虐に育てた覚えはありませんよ!」
そう言うのはエン。
朝早くから朝食を用意しているメイドさん達は、当然僕より早くに起きるのが仕事である。したがって
「いや……」
この時!僕の中で葛藤が渦巻く。
マジで"コレはスキルだから!"と叫びたいけど、ガチ隠蔽でリセットになってしまう。だけど、僕から見てコノ見た目パグだけど、パグから出されているアイコンには『御命令をどうぞ』と文字が浮き出ているのだ。
そんな奴に、"おお。カワイイなぁ"とはならないのだ。
だけど、エンの反応から推察するに……
「違うよ。オールストーンの町から僕達が消えなければ、町をあげて捜索でもされたら面倒だしね。」
僕は……大好きなエンに向かって、拳を強く握りながら嘘を言ってしまったことに後悔をする。
エンには嘘を言いたく無い!かと言って、スーなら良いという訳では無い。いつも優しいエンだけは……
「さすがアル様。ですが、私達の愚行は見習わないでくださいね。大丈夫。何かを有れば、私達には絶対のコネクションが付いていますから。」
そして、僕達は旅立つのだ。
そう。聖騎士魔法学校がある、サンシャイン領の大都市シャインに僕達はゆく。
「アル様。このブーちゃん、ご飯は食べないのですが?」
「ああ。僕がもう食べさしたから。」
また嘘を
「ブーちゃんとは?」
「カワイイ鈴が付いた首輪があるのに、名前が無いのは生き物としてどうかと思って。」
へー。スキルがねぇ
「!?……なんだ?何を見ているヤーとスー」
何故かヤーとスーが僕を真剣な顔で見ていた。
しばらく見ているとヤーがモジモジしながら申し訳ない感じで
「この犬の所有権はアル様ですけど、名前を付けたいので早朝からエルフ式三番勝負の末エンが勝者となったので……」
ようやくすると、皆さん"名前が付けたい"そうだ。
だけど、所有権が自身の主なため自由に名前を付ける諸行などメイドはできないらしい。
「いや。別に。名前はどうでも良いけど」
僕の素の本心が転がり出た時、3人のエルフから再び叱られるのだった。
また、会いましょう




