ドロップするまで
こんばんは
ということで、僕は再び出して貰ったソファにズシッと座りステータスを確認している真っ最中だ。
「(えーと。怪獣はと、あったあった。ポチッとな)」
そうやって、無事人間に戻ることが出来て一安心となった。これでまた、いつも通りに美味しいティーを飲めるってもんだ。
というか、あの頃の僕の夢っていったいナンだったんだろうかと思い考え直させる程に、スー達の目線が痛々しく感じる。
いや!待て。僕は彼等の主人なのだ。
ダンジョンに来た理由を今こそ果たそうではないか!
ふうっ……と一息付いて
「待たしたな。では、行くか。」
「そうですね。帰ったら……イイですか?」
僕は『もちろん』と伝えてボス部屋へと入るのだった。
「そうそう。ここのボスですが、グリーンスライムで大きさは約30センチ程です。非常に素早く動き、正面から体当たりをされるとアバラ骨が折れる危険性があるので避けるように。」
エンが次々と先の事を言ってくれ、スーやヤーも無言で頷いていた。
「それと。ホラッ!ここのフィールドは無数の縦穴が有るように、ランダムで出て来ますので気を付けて下さい。」
普段の僕だったら、悲壮な顔をして驚くのだけど思いの外頭の中にあったのは"怪獣"というスキルの横にあった"絶対無敵防御"が脳裏に焼き付いていた。
「(昔は異世界文字が読めなくて怪獣とかのスキルが理解できなかったというのもあったけど、いざ理解したら絶対無敵防御の効果ってどんなだっけ?)」
心ここに有らず。
そんな感じで考え込んでいたからか『アル様!今戦闘中です!』というスーの声を聞いて、ハッとスーの顔を見ようとした時!偶然にナニカが目に映る。
なんだアレ?そう感じた時だ。
迫ってくる初めての見る半透明の黄緑が向かって来たのだ。
「(ヤバイ!僕は何をすれば!?)」
「ラァッ!」
ヤーは飛んで来た黄緑色のスライムを大剣で真っ二つにしようとしたが、少しずれてしまう。そのため、大剣はガアン!とスライムらしからぬ弾け音がしたのを切っ掛けに僕は……
「アル様。剣の稽古と一緒です。貴方は、モンスターの攻撃が怖くて身をすくみ目を閉じようとしますが、私達はアル様のメイド。
私達が本気で貴方様を守りますから……私達を見失う事は止めて下さい。私達を見て、学んで。」
『そして、今こそ勇気を出しなさい!』とスーは僕の顔を見て言ったと同時にエンが『来るわ!』と発せれた。
僕は
スーは信頼出来るメイドだ!スーの顔や姿なら、たとえモンスターの巣窟だらうが見れるハズだ。
コォーン
そして、絶対無敵防御が発動した。
音だけなら、とても硬い物質にナニカが当たった音である。更に言えば切羽詰まった時なのに、なんとも気が抜けた音だろうか。
『なんだ?』ヤーがポロッと言葉が出ると、スライムは弾かれて弧を描き地へと落ちて行く。
「ヤー。追撃!」
「あ。オウ!」
僕もそうだけど、呆気にとられていたがエンが、ハッと気付いたところでボスはヤーにより両断される。
かくして僕達は、見事ボスの部屋をクリアしたのだ。
「ふぅ。疲れたな。さぁ!宿に帰ろか」
「いえ。帰りません。」
「なぜだい?」
「勇者とはしつこい生物なので。プライドが変に高いんですよ。……ね?エン」
「ええ。それに彼は言っていたわ。神からスキルを貰ったと……という事は、あの見慣れない"召喚スキル"って事かしら?」
スライムを倒したというのに、魔法陣に乗らずそのまま立って話し込んでいる3人。
フと、少し変な感じが頭をよぎる。
いくら年齢を重ねているとは言え、"ハイパーキングゼットン"もそうだけど未だ説明すらしてない"絶対無敵防御"も一切聞いて来ない3人の従順度が半端なく高い感じがするのだ。
僕が1人悩んで3人を見ると
「ああ。今回はドロップが無かったので、一旦アッチに戻りましょう。」
は?
「それは一体どういう事だ?」
指差す方は、僕達が入って来た扉である。
「あの魔法陣を踏むと外の出入口へ飛んでしまうので。2回目以降は、スライムを倒したら二階層のウルフへと行ける様に成りますね。」
つまり?
「つまり、私達は大量にボスのドロップを必要としてます。一階層から五階層は、ドロップが出来るのはボスだけなのでボスの扉から人気が居なくなればリセットとなるシステムなのです。」
ほー
「だから、ベッドがあるのですよ?昼夜問わず、アル様の動体視力を鍛えれるし勇気なんて無くても、慣れさえすればどうということはない。それに、当たっても痛いし私達は必死に守ろうと努力するだけですから……私達も主人を痛め付ける趣味はありませんので。」
「……。」
『さっ!アル様行きましょうか。』と僕の目の前にヤーが立ちふさがり、両脇にエンとスーがガッチリ捕まえられ僕は宙に浮かされ連れて行かれるのだった。
また、会いましょう。




