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第3話 状況確認

生まれてから半年の月日が流れた。

できることも少しずつ増えていき、ハイハイができるようになった俺は、家の中を所狭しと動き回った。

少しでも体力と筋力を鍛えていくのはもちろんだが、まずは前世との差異を確認するために書庫へ移動する。

浮遊魔法で端っこから本を取り出してはペラペラとめくっていく。

半年の間で制御は完璧である。

歴史、魔法の知識、戦術書、宗教、伝承から父の隠している春画まで全てに目を通す。

うん。特に変わっているところはないな。

何回目かの人生の時はなんの因果かわからないが伝承のいくつかが変わっていて、伝承から生み出される精霊が敵に回ったせいで、魔王にいいように翻弄された。

伝承なんてものは人の噂や流行で簡単に変わってしまうものもある。

今回はそんなことはなさそうだ。

だが安心はしていられない。状況は常に変わるものだし、新しい情報が入ってきたらその都度確認が必要だ。

俺はまだ離乳食なので前世とたいした違いはないが、日々の変化を確認するには両親やメイドの食べている食料や調理法を見ているとわかることもある。

領土の豊かさや技術の革新など書物にはなっていない最近の状況などの確認も怠らない。

今回の周回には今のところ問題なさそうだ。


「プラタス、ここで何をしてるんだ?」


ロディが書棚を横目に俺に近づいてくる。ドアが少し開いていたからアレが気になって見に来たのだろう。


「だぁだぁ」


俺は赤ちゃんらしく両手を広げて父に抱き上げてもらう。


「お前がこの部屋に入っても何も面白いものはないだろう。向こうに行こうな」


そう言って書庫から俺を連れ出す。


「しかし、誰が書庫の扉を開けっ放しにしていたのだ。プラタスが自分で開けられるわけわないし。書庫なぞ今は誰も使わないだろうに」


ロディはそわそわしながら子供部屋へと向かっていく。


「キャッキャッ!」


俺も書庫の確認は終わったし異論もないので無邪気に振る舞う。

玩具の置いてある部屋に連れて来られるとロディは俺のことをカーペットの上におろしてボールを転がしてくる。


「ほらプラタス、ボールをキャッチだ」


きっと俺と遊んでくれているのだろう。


「だぁ!」


俺はうまいこと赤ん坊を演じるようにボールを逸らしてみる。ロディはボールを拾いに行ってくれてまたコロコロと転がしてくる。


「キャッキャキャッキャ!」


俺は楽しそうに振る舞う。


「ここで遊んでいるんだぞ」


ロディはそう言うとそそくさと部屋を出て行く。きっと書庫のアレをもう少し見えにくいところに隠しに行ったのだろう。

ロディが部屋から出ていくと、俺は筋力を強化するためになんとか立ち上がろうとする。

この体形では頭が大きくバランスが悪いためなかなか立ち上がることができないが、体幹を鍛えることで立ち上がれるようになる。

立ち上がれるのと立ち上がれないのではトレーニングの効率が全く変わるからな。俺はだいぶ早いうちから体感トレーニングを行っていて、最近立ち上がる練習をするようになった。

まだ見られるわけには行かないが、まぁ見つかってもなんとかごまかせるだろう。


俺は重心をなるべく胸の上辺りに調節し立ち上がって体を動かす。筋力はないし、関節も生まれてから使っていないため動きがぎこちないが、徐々に体の稼働領域を増やしていく。

これからは生活や戦闘に必要な筋肉を優先的に鍛えて3歳から始まる英才教育にむけて準備を進めていく。

もちろん両親との平和で幸せな時間もたっぷりととらなければならない。俺が家族との時間を過ごせるのは8歳までしかないのだから。

この周回において何に怯えることなくただただ幸せに身を委ねられる数少ない時間。

俺はそんな幸せな時間を噛みしめつつも状況把握と体力づくりに精を出すのであった。

まだまだ駆け出しですが、この作品を見つけていただいてありがとうございます。


これからも書いて行きたいと思いますので、よろしければブックマーク、下の☆で応援をよろしくお願いします。

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