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女神様とわたしどっちが大切なの?

昨日、日間ランキングに載ってました!ありがとうございます!

 街を出て、北西に向かう。天気は良好だけど、少し日が傾いてる。まあ大丈夫でしょう。

 街の外周を半周し、北西に向かうと気持ちのいい風が吹いてきた。わたしのツインテールと、エルザさんの白銀の綺麗な髪がなびく。


「あの、どうしてエルザさんは………」


「……無理して敬称をつけたり丁寧な言葉を使わなくてもいいですよ。ユイはそのような喋り方よりも、もっと似合っている振る舞いがあるはずです。」


「おっ、エルザわかってるねぇ。そうそう、これがわたし本来の姿!じゃ以後はこれでよろしく。」


「ええ、ぜひよろしくお願いします。」


(うーん……改めて……わたしよりも背が高くて綺麗な人だ。多分大人だよね………ただしアレの大きさは僅差ながらにわたしが勝っている……!ふふ……年齢とアレは全く比例しないからね………)


「どうしました?ジロジロと私の胸部を見て………」


「あ、………あ!そうだ!ねえ、なんでエルザはわたしに着いてきてくれたの?だって初対面だし、現状ではでかい口叩いてるだけの子供だよわたし?なんで………」



「理由……ですか。それは私にもハッキリとはわかりません。しかし………きっとそれが女神様のご意思なのでしょう。そうであるなら私は逆らうことは出来ません。」


「ふーん………エルザは教会の人なの?なにかの宗教を信仰してるの……あ、ごめんなんでもない!気にしないで!」


(この話題はやめておこう……宗教の話は色々アレだし………)


「……?宗教……確かに、そのような考え方もありますね。私は女神様を信仰してますし、教会にもよく行きます。ただそれは、すこし縁があって教会の仕事を手伝うことが多いためであり、私自身はシスターや聖職者でありません。」


 チラッとエルザの顔を見ると、優しい顔をしている。女神様ってのがこの世界においてどんな存在かは知らないけど、きっと大切なものなんだろうなぁ。


「……………ところでさ」


「はい」


「エルザってわたしのことどう思ってる?………その、惚れちゃったり………とかさ……」


「……」


(うお……すごい無感情……)


「ユイに惚れる……つまり、ユイに対して恋愛的な感情を抱く……そのような事は全くありません。しかしそれはユイに問題がある訳ではなく、私自身………私がこの身を捧げるのは女神様のみ……そう決めています。故に他の人間に対してそのような感情を抱くことはないでしょう。」

 

「ふーん………」

 

(なんか………そう言われると………)


 わたしはレズじゃないし、百合ハーレム作りたいなんてことも思ってない。でも………なんか………今のわたしの力を持ってしても、全然わたしに興味が無い……そう断言されると、なんか逆に燃えてくる。

 こうなったら意地でもエルザをおとしてやりたい。あなたはわたしを好きになる………それが運命(さだめ)だといつか思い知らせてやる!


「ユイは誰かを好きなのですか?」


「へっ!?」


 予想してなかった質問が来て、すごい間抜けな声が出てしまった。


「……いえ、こんなことをきくのはよくないですね。あくまでも私はユイの付き添い。これが終わればその後は互いに別の道を歩む訳ですから、意味もなく相手のプライベートに踏み込むような質問は良くなかったですね。」


「あぁ………」


(なんと真面目な人………わたしとは540°くらい真逆な人だ………)


 なんとなく気まづくなり、そのままお互いに無言になる。そして無言のまま、ひたすら歩く。



「森………見えてきた!」


 30分くらい歩くと、確かに森があった。そして、森の入口になる場所に兵士みたいな感じの男の人が座っていた。


「こんにちわ〜」


 わたしが挨拶しつつ近くに行くと、兵士みたいな人は立ち上がり槍を手に持って言う。


「ここから先は危険なため、民間人の立ち入りは禁止だ。早急に立ち去るように。」


「いえ……私達は依頼を受けた者です。この先に居座る蟷螂龍の討伐………」


「おっと……では、依頼を受けているという証拠になるものを見せてもらいたい。」


「はーい。これです、これ。」


 エルザが持ってきてくれていた依頼書を受け取り、兵士みたいな人に渡す。それを見た兵士みたいな人はすぐに頷き、返してくれた。


「確かに依頼を受けているようだ。………しかし、冒険者登録でいきなりこの依頼とは………本当に平気なのか?見たところ、防具も身につけずに武器もよくわからない棒……さらに道具も何も持っていないようだが。」


(この反応が普通………か)


「平気ですよ、平気!まっ、ぱぱっと倒してきちゃいますんで待っててくださいよ!カマキリだかドラゴンだか知らないけど、わたしの敵ではない!」

 

「………いざとなれば私が守るので、ご安心を。」


「そ、そうか………。蟷螂龍はこの奥を真っ直ぐ行った所に居座っているはずだ。近くに行くとすぐに襲ってくる可能性もあるから気をつけるように。」


「りょうかい!」


 さ、森の奥にいくよ!


 ―――――――――――――――


 森を奥に進むと、少しずつ暗くなってきた。木々が深い。


「あ、そうだ。ねえエルザ」


「はい、なんでしょうか?」


「魔法のエレメントってさ、火と氷以外に何があるの?わたし知らなくてさ。」


 すると、エルザは足を止めて言う。


「そのようなことすら知らずに、自らの戦闘力や魔法に自信を持っていたのですか………?悪いことは言いません。今からでも引き返すべきです。私がいるとはいえ、最悪の事態というのもないとはいえないのですから。」


(……………ミスった)


「い、いやいや!平気だってば!まじで、信じられないくらいわたし強いから!でも魔法の知識はなくてさー。だから教えてよ。」


「…………炎、氷、風、雷、地の5つのエレメントが存在し、大抵の人間はその中から2つか3つのエレメントの魔法を使います。全てを網羅するのはかなりの魔力が必要な上、要する知識も多くなってしまいます。……そして、その5つとは別に、光と闇………2つのエレメントもあるのですが、これは非常に特殊で、使える人はほとんど居ないのです。」


「どうして?」


「5つのエレメントが知識と努力で習得できるのに対し、光と闇だけは持って生まれた力でしかなく、後天的な習得は不可能とされています。非常に強力な力であるため、後天的に植え付ける実験をしているという話もありますが、現実てきではないですね。」


「はえ〜……」

 

(じゃあここでわたしが光と闇の魔法使ったら……!)


 いいね、是非やってみよう。


「………ユイ。お喋りはここまでです。」

 

「おっと………」

 

 急にガチトーンになったエルザの指さす方には、真っ赤な木の実が出来ているたくさんの木……と、なにかでかい生き物がいる。


(蟷螂龍……一体どんな姿……………!!)


 ヤバい………思ってたのと違う。


 カマキリ×ドラゴンなんて、絶対間抜けな姿だと思ってた。キメラの失敗作みたいな感じ。適当な場所に鎌が着いたドラゴンか、龍の翼の生えたカマキリだと思ってた。


 でも違う。あそこにいる大きいモンスターは、そんなアホな姿じゃない。身体のベースは西洋の伝説なんかに描かれる、正しく『ドラゴン』って感じで、体の色はカマキリカラーの薄い緑。で、確かに鎌はついてるけど、無理やりくっつけたような感じじゃなくて、前足がそのまま鎌になっている。なにより、その鎌がどう見ても金属製にしか見えないような光りかたをしている。こわっ。


(………いやよく見たら普通にかっこ悪いなこれ………鎌の威圧感に騙された。)


 だいたい、前足鎌になってたら歩きにくいでしょ。一応2足でも歩けそうだけど。そしてそもそもカマキリ要素がほぼない。鎌が着いた龍じゃん。シザードラゴンとかでいいじゃん。何故にカマキリ。


「さあユイ。私はここから見ていますので、すきなタイミングで行ってくださいね。ここからもう少し近づけば、すぐに気が付かれるはずです。」


「おっけぃ………それじゃ見ててね!わたしがどれだけ強くて可愛いかを!」


 それだけをエルザに言い残し、わたしは蟷螂龍に向かって一気にはしる。念の為、背中に背負っていたバットも手に持っておく。


(わたしの異世界でもまともな初めての戦闘………!さあいよいよわたしの強さを世界に示す時が来たよ!)

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