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狂気の凶器

(何する気……)


 ここにいる人はみんなもうとっくに気がついてるよ。爆弾使って脱獄してきた青髪テロリスト少女と、いきなり空から降ってきた赤髪二刀流の女の子……この2人はヤバいっててこと、みんな気がついてる。なんなら、特にルナは悪い意味で有名だったんだから、その名前と顔で気がつく人も少なくない。


「あ? 見せてみろよ、お前たちのヤバさってやつ……」


 イブはいつもの調子で、全くビビらずむしろ挑発。表情も余裕そうな顔。まあ、そりゃあなにかされても対応できるだけの力はわたし達にあるけど……。


 なんて思ってると、ルナが動いた。でも、それは


「貴様ら愚民に見せるはこれで十分……!」


 あまりにも予想外。それはわたしにとってだけじゃなくて、イブもそうだったみたいで剣を手にして固まっている。


「っ……ル……ナ……なんで……アタ……シ……何…考えてる……」


「な……えっ……は?」


 ルナはなんの躊躇いもなく、左手に持った日本刀のような剣で隣にいたアルマの腕を切りつけた。流石に切り落とすとかそういうことはないけど、それでも傷は深い。切りつけられた場所は肩の付近。服は破れてかなりの血が出てる。今すぐ治療すれば後遺症もなく治るとは思うけど、そういう問題じゃない。そんなことは今はどうでもいい……!!


「なにしてんの!? アルマはルナの仲間なんでしょ!? なんでいきなり……」


 アルマは斬られたところを押さえてうずくまっている。


「くっくっく……やはり貴様は甘い……何もわかっていない。もとより我はこんな爆破しか脳のない女など仲間と思ってなどいない。更生したフリをしてつけ込み、1度は囚われそして脱獄……騒ぎを起こし我の為の舞台を整える……それが済めば最早用無し。むしろ足枷……不要な荷物……この場で殺してしまおうが一切の問題は無い……!」


 そして、あろう事かうずくまってるアルマを蹴り飛ばした。結構な距離転がったアルマは苦しそうに声にならないような声(?)でその場から動かない。


(………あの顔……自分以外の他人をなんとも思ってないような顔……これに関してはアルマが言ってたこと嘘じゃない……ルナは……人を痛めつけたり殺すことだけが目的で生きてる……その果てに自分が死んでも構わない……そんな狂った覚悟だ。)


「おい、脳筋クソ女。ボクは今驚いてるぜ。」


 ただならぬ、狂った気配は醸し出すルナにビビらずに、イブは3歩くらい前に出て、ルナと向き合う。


「くっくっく……この程度の裏切りで驚くとは……貴様も随分甘い世界で生きてきたようだな。」


「あ? ちげーよ、何勘違いしてんだアホ。ボクが驚いてんのはな、ガキレベルとはいえお前がそんなふうに一応策略的に考えて、他人を裏切る……そんなこと考える頭があった事だよ。強い言葉を吐き散らかして剣を振るしか出来ない失敗作の人間だと思ってたかさら、少しだけ見直したぜ?」


「ちょ、イブ……!!」


(なんで無意味な挑発しちゃうかなぁ…!?)


 どうせ戦う羽目にはなるだうけど、せめて少しでも有利になるようにさ……もう少しなんかあるでしょ! あーもう…なんでいつでも喧嘩腰……。


「……言うことはそれだけか?」


  予想通り、ルナはイブの方だけをがっちりと見据えて、すぐにでも動けるように武器を構えている。


「……もう何もねーよ。おまえみたいなゴミにかける言葉なんてな。むしろおまえこそだろ。()()……きいてやろうか?」


「くっくっく……死ぬのは貴様だ……!」


 その言葉を言い終わると、ルナはいきなり動きだしイブに向かってきた。でもイブもそれは予想通りだったみたいで、すぐに横に動いて距離をとる。


「ユイ!! ボケっとするな!! いつこいつが周りの人間を襲うかわかんねーだろ!? とっとと逃がせこの馬鹿な野次馬ども!!」


「あったしかに…!」


 人質とか取られたら面倒くさすぎる。……と思ったら、皆様もそれはすぐに察したみたいで正しく『蜘蛛の子散らすように』って感じで去っていった。残ったのはお城の兵士らしき人達だけ。みんな物分りよくてGood……。


「イブ! みんな逃げてくれ……えっ」


「クソっ!!」


 振り返ると、イブとルナの距離はそこそこ離れていた……けど、イブはなにか焦っている。なにを……と思った矢先、その意味がわかった。


(マズイ!)


 ルナはどう見てもアルマに向かっている。しかも2本の刃をすぐにでも振り下ろせるようにして。どうして今そんなことするのか全く分からないけど、トドメを刺すき……


(わたしも間に合わない……!)


 少し距離があるから走ってもおいつけるわけないし、魔法も今からじゃ届かない。そして、ルナがうずくまっているアルマに刃を






(あぶな……)


 ほんとにもう刹那。次の瞬間にはルナの振るった刃は今度こそ、アルマの命を狩り取ろうとしていた。それはもう為す術なく直撃……と思った。でも、現実は違った。ルナの振るった刃とアルマの間に割って入ってきた剣が、ルナの2つの刃を受け止めた。もちろん、その剣を握るのは……


「……とんだ気まぐれ脳筋女だな。ボクを殺す気でいたくせに、気が変わったからだかなんだか知らねーけどいきなり仲間にトドメとか…大層ご立派なご身分なんだろうな……そんな横暴が許されるなんて……な!」


「イブ!!」


 イブは言葉の最後に力を込め、受け止めた刃を払い除けた。


「あはは……まさか……てめーが助けてくれる……」


「喋んな! 黙ってそこで転がってろ……」


 辛うじて声を発したアルマを威圧してすぐに黙らせるイブ。なんかちょっとかっこいい……


「勇者……あくまでも我の邪魔をするか……ふん、好きにするがいい。どうせ貴様では我を止めることなどできん。やはり貴様は我が……!」


「死ね!! お前はボクがぶっ殺してやる!! 悪人だとしても、犯罪者だとしても、救いようのない頭の狂ったクソ野郎だとしてもな……!! 自分を信じて戦ってくれた仲間を裏切って、殺すとか……そんな奴が生きてていい訳ねーだろ! 」


(かっこいい……けど、殺しちゃダメだからね……!)


 たしかに絶対許せないタイプのクズだけど、なんか知らないけどルナも必要らしいから……殺さないでね!!



少し更新遅くなるかもです

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