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相容れない存在

(何が起こってるのかな……)


 別に、ソフィアさんにわたしを止める権限なんてないし、わたしがほんとに中に入りたければ入ってもいいんだけど、そうは言ってもやっぱり入りにくい。


「そもそも、ソフィアさんはどうしてここに?」


 ギルドの入口付近に立って、何してたんだろ?そもそも、この人の冒険者でもないし。


「私だって、ギルドに用事があることもあるのよ……エルザと一緒に来たのだけど、()()()()()()()()()()()()()()()が運悪くいたみたいなのよ。」


「……カレン?」


 わたしがその名前を出すと、ソフィアさんは口元に手を当てて驚いた顔で言う。


「知ってるの? ユイちゃんもあの人と知り合いなのかしら?」


「まあ、一応……はい。」


「ふーん……」


 腕を組んで、微妙に納得してない感じで腕を組んで頷いてる。髪の色はさておいても、この人はよく分からないんだよねぇ……。


「ユイちゃんはあの人ともエルザとも知り合いなのね……それなら、むしろ中に入ってもらった方が……」


「あ、そうなんですか? よくわからない……」


 と言いつつ、気になるから躊躇わずにギルドの中へ向かう。ソフィアさんは着いてこないで、そんなわたしを見つめていた。


 ――――――――――――――――――


「あ、ユイさん……来ちゃいましたか。」


 中に入ると、カウンターじゃないところ……出入口のすぐ近くにいつもの受付の人がいた。珍しく普段と違う服装……私服なのかな? 緩めの格好。


「…………なんか、よくわからないけど良くない状態ってことはわかった。」


 店内の奥を見ると、真っ先に目に付いたのは何か言いあってる様な感じのエルザとカレン。エルザは立ち上がって、珍しく割と感情的になってるように見える。その反面、カレンは椅子に座ってなにか飲みながら余裕そうにしている。それと……そんなふたりの間にいるのはリズ。なんの集いだこれ……。


(まだ気が付かれてないし遠くから眺めよ…)


 ちょっと隠れるように、でも声は聞こえるような位置に行って、耳をすませる。どういう訳か、他のお客さんが全然いないから姿を見られたら誤魔化せない。


「……ですから、何度も言っている通りです。あなたがこれ以上なにもしないなら私も関わりません……と。しかし、どうしてもそれは理解して貰えない……といった様子。」


「ふふ……それは寧ろワタシのセリフよ……。貴女のしていることは互いの主張を聞き入れるフリをして自らの望む結末に導こうとしているだけ……()()には通じてもワタシにはそんな手法通じないのよ………ふふふ……。」


(信者って……別にエルザは教会の人じゃ)


「さっきからそうやってことある事にオーリン教を……何も知らずに邪魔しているだけのあなたが何を…!」


「ワタシは見てみたい……正義という硬く、脆い仮面の下に何を隠しているのか……その偽りを脱ぎ去ったとき、貴女はどんな世界に立つのか……」


(………意味わからん)


 全く相変わらず。特にカレン。こんなところに何しに来たの。今変に動かれると不安で仕方ない。どうせほっとけばいずれ完全体になれるなら大人しくしてて欲しい。


 と、ずっと黙ってたリズも口を開く。


「いつまで続けるつもりよ!? いい大人がギルドでいつまでも訳わかんない口論して…他のお客さん迷惑がって帰っちゃたのよ! あたしだって用があってきたのにあんた達のせいでどうにもならないし……てか! ユイ! あんたもいるんなら隠れてないで出てきなさいよ!」


 リズは突然わたしが隠れてる方を指さしてきた。


「バレてたか!!」


 しょうがないからすぐに立ち上がり、リズたちの方に向かう。


「当たり前よ! あんたのそのピンクの髪、一瞬でも視界の隅に入ったら嫌でもわかるわ……あんたこの2人の知り合いなんでしょ? なら言ってよ、馬鹿なことしてないで帰って欲しいって。偶然居ただけの、()()()()()()()()()あたしが言うよりいいでしょ。」


 リズは面倒くさげに、テーブルに手を着いて言う。まあ、たしかにリズがこの場を収める義理も何も無いけど……


(なんで嘘つくんだろ……)


 知ってるのに。エルザとリズは怪盗やってたよね。そこの関係性が全く理解できない。とはいえ、それをここで言うほどわたしも空気読めなくない。


「エルザ……どうしたの? 喧嘩? 珍しいね。」


「ユイ……変なところを見られてしまいましたね……しかし、これは私と彼女の問題……ユイを巻き込むつもりはありません。」


 エルザはわたしのほうを見ることもしないで、立ったまま言う。対して、カレンを座ったまま何かを飲んで、それからわたしの方を見て言う。


「正義も悪も、光も闇も時代と場所で移ろうものよ……ワタシはどちらにも傾くことなく、混沌の最中に身を置く中立……ふふ……だというのに、大衆を陽動する正義の旗の元に寄せられ、正義の仮面を被った純白の彼女……ふふ、ユイ。眼前に迫った完璧な新世界の創世に彼女はいらないのよ。」


「あ〜……ライズヴェルの言葉で喋って欲しいかな。」


「……あんた、なかなか言い返しするわね。」


 そんなことで褒められてもなーんにも嬉しくないけど、リズはちょっと普段と違う目をしてわたしを見てる。やめて、そんなところを尊敬しないで。


「で、結局何を争ってたわけ?」


 カレンにきいたらいつまで経ってもわからないから、エルザにきく。


「彼女が言うには、フィリア様やオーリン教はこの世界には不要……との事。しかしその理由を聞いたところで先程ユイに言ったような理解のできない言葉を並べるだけ……それだけならばたんなる戯言と、私も気にもとめません。しかし……」


「この人……カレンが言うにはあと何日かしたら、手始めに……ってのがどう言う意味かは知らないけど、オーリン教に対して何かしら仕掛けるつもりらしいわよ。それが嫌なら今すぐオーリン教も教会も、フィリアって人も表から消して、なかったことにしろって。」


「なっ……カレン、そんな事……」


(それは……わたしのいた世界で言えば脅迫……ってかテロの予告的なやつ! 結果何もしなくても罪になるよそれ! でも、カレンならほんとに何かするかもしれないし……)


 これ、わたしがここで何か言ってどうにかできるの?

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