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作戦は行き当たりばったりで

「最終的な目的は、当然カレンを止めること。で、そのためにはみんなが……主にわたしとイブとメルリア姫とスティアとルナが手を取り合う必要があるわけでしょ? で、わたしとイブとメルリア姫とスティアは多分何とかなるよ、わたしが間に入れば余裕。ていうかメルリア姫ら向こうから協力の申し出あったしね。」


「それはボクもなんとなくそう思ったな。でも問題はあの脳筋クソ女だろ? あいつと仲良くとか、その方法お前のその残念な頭で思いつくのかよ?」


「それなら平気! ほら、ルナと一緒にいた爆弾魔法の女の子いたでしょ? あの子さ、じつはわたしと仲良くて……」


 すると、イブは立ち上がって鼻で笑って言う。


「ふん……どうせそいつの話だと思ったぜ。でも残念だったな。お前がいなかった数日の間にあいつ自首してたぜ。だから今頃城の牢屋だろうし面会もできねーよ。」


「マジ!?」


(思った以上に心入れ替えようとしてるじゃん……)


 それはいいことだけど、いいんだけどさ……もう少しあとでも良かったじゃん。頼ろうとしてた人がいなくなったとなると、わたしにできることは。


「よし!」


「その顔、もう策無しって所か?」


 呆れたような顔でわたしを睨むイブ。失望の表情を隠す気もない。


「無いね〜どうしよ?」


「知るか、クソが。お前が考えろ。じゃ、ボクは帰るぞ。なんか思いつたら言え。……あんまり時間かかるようだったら、ボクはボクのやり方で勝手にやらせてもらうからな。」


「あっ……それは危険な匂い……」


(イブの好きにやったら仲良くなるどころかもう二度とと協力出来なくなりそう……)


 もう用はないって感じで、イブは家から出ていった。1人になって、ベッドに座って考える。


(……詰んだな)


 アルマがいたとしてもどうにかなるか微妙だったのに、いないとなるともう無理だ。カレンに勝つ方法はない。最早ここまで。


「……ってそんなわけない!」


 諦めないよ。ていうか諦めた所でどうにもならないし。やるしかないんだよ。世界のほとんどの人は知らなくても、わたし達しか知らなくても、知ってしまって関わっちゃった以上やるしかない。


「寧ろ……誰も知らないところで世界を救うために戦うとかめっちゃ興奮するし……」


 授業中の妄想ランキングトップ3に入るね。侵入してきたテロリストと並ぶ。


「……ギルド行こっと」


 もしかしたら誰かいて何か起きるかもしれない。もうそれくらいしかできることないし。


 ―――――――――――――――


「いらっしゃいませ〜こんにちは〜」


(またいる……)


 ギルドに行くと、カウンターにはいつもの人。店内は普通に混んでて、知ってる人はいなそう。


「今日は依頼ですか? そういえばユイさん、結局依頼あんまり受けてなくてお金も払えてないですよね? まだ平気ですけど、このままだと……」


 あくまでも笑顔で、でもゆっくりと逃げ場のないような言い方をしてくる。わかってる、分かってるけどさ……!


「……うーん……武器は一応持ってきたけど……」


 背中には一応例の金属バットを背負ってきた。わたしだけの特別な武器。


「あ、そういえば……ユイさん」


「ん、なんですか?」


「前から思っててなかなか聞けなかったんですけど……どうしてユイさんって防具着てないんですか? 他の人は薄い厚いの差はあれど、近距離で戦う人はみんな身につけてますけど。」


(たしかに)


 改めて店内を見ると、みんな硬そうなもの着てる。……あれ? この話って前も誰かとしたっけ?


「待ってください、別にわたしだけに限った話ではない気が……エルザやリズは一応着てるけど、イブとかマリアとかは普通の服じゃないですか。」


 すると、受付の人は少し面倒くさそうに言う。


「ん〜……イブさんはそういう常識で測れない所もありますし、マリアさんはあれでいいんです。マリアさんの持っている日傘は魔法を使う触媒になって、遠距離から戦うんですよ。なのでいざと言う時にすぐに動けるようにあえて軽い服……と、お嬢様っぽさを出すためらしいですね。」


(あとの理由は置いておいて……遠距離だからこその軽装なんだ……どうせ攻撃は受けない前提だから、かわすことに特化……だとしたらあのヒラヒラフリフリ邪魔でしょ……)


「で、ユイさんはなぜ?」


 身を乗り出してきいてくる……めっちゃ興味あるんだ。


「理由……単純。マリアと似てる。攻撃を全部かわすためです。わたし力もないし動くのも遅いから、重い防具なんてつけたらとても動けないですよ。だから、いっその事軽い普通の服にして、全部避ければいいんですよ。ホントに危ない時は武器で防ぐこともできるし……」


 3秒で思いついた適当な理由。でも、受付の人は納得してる。


「なるほど……ユイさんはなにかと自分の強さに自信ありますしね〜。と、そんなユイさんに実は依頼が来ています。あの狂獣ペガサスを倒した……なんちゃらマスターのユイさん宛です。」


「エレメントマスターです。」


「あーはい。」


 露骨に面倒くさそう……これ変に言いすぎるとギルドマスターみたいな扱いされそうだしやめとこ。


(ていうか依頼受けてる暇ないんだけど……)


 「でもこれ、なんか変なんですよね。依頼主の名前も書いてないし、かと言ってどこかしらの団体からの依頼でもないですし、倒して欲しいモンスターも、集めて欲しいものも書いてない……『特定の場所に来て欲しい』ってだけなんです。こんな依頼普通なら通さないですし、しかもユイさんを指名してる……ちょっと怪しいですよね。どうしましょう?」


(……まさか)


 寧ろナイスタイミングだったかも。この依頼は多分……


 「わたし受けますよ、それ。……場所はどこですか?」






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