プラス山積み
(……)
目を開けると、家のベッド。いつの間に……そして、だれかがわたしを覗き込んでいる。スティアやアルマ……じゃない。この顔と、赤髪サイドテールは……
「リズ……」
「あ、起きたわね。……『なんでリズがここにいるの』って顔ね……ま、それもそうよね。」
リズはいつも通りの服装で、武器までちゃんと持ってる。
「うん……ていうか何もわからない……何が起きた……」
「……自覚ないのかしら。あんたまた面倒なことになってるわよ。数日姿見ないと思ったら……なにバカなことしてるのよ。」
「は? 何のはな……いて……!」
「いったぁ!? ……なんでいきなり起き上がるのよ!」
飛び起きたら椅子に座って覗き込んでたリズと頭ぶつけた。そのまままたベッドに倒れ込み、リズにきく。
「わたし……なにしたの?」
「あんた、あそこの山……霊峰ベルズバインとかいう凄い山で倒れてたらしいわよ。あたしもあの山のことはよく知らないけど……ゴッドランクの冒険者以外は立ち入り禁止……なんであんなところいたのよ。しかも、発見したのがギルドの職員とお城の兵士……わかるでしょ? かなり最悪よ。とりあえず目が覚めるまでは家で寝かせとけ……ってことで、偶然あんたが連れ帰って来られた時にギルドにいたあたしに任されたのよ。……ってことで、さっさとギルドに行きなさいよ。」
喋り方と裏腹に、リズは少し笑ってる。うわ最低……人の不幸を喜んでるよこの子。
「あ〜……つまり……その……ギルドに行ったら……まあ、そういうこと?」
「でしょうね。じゃ、あたしは帰るわよ。……逃げないでちゃんと行きなさいよね。」
それだけ言うと、リズは立ち上がり、椅子は元あった場所に戻して帰って行った。
「くっ……もうダメだ……」
終わりだよ終わり。この物語はここまでです。ただでさえ借金あったり、髪の色クレイジー(ピンク)だし、魔法使えるのに知識ないとか怪しまれたり、色々無理やりな部分あるのに、さらにやらかしたよ。(ギルドとか国がそれを把握してる上でのことかは知らないけど、)神が住まう山……要するに、禁足地に入ったのがバレたってことでしょ? 禁足地だよ、禁足地。わかる? 実は日本にも沢山あるんだよ。決戦の場所ではないよ。
(ナナミさんよ……その場に倒しておくんじゃなくてワープくらいさせてくださいよ……)
「…………行くかぁ」
ここで逃げたらもっとやばいもんね、行くしかない。謝ったら許してくれるかもしれないしね!
――――――――――――――
「ユイさんって常識ないですよね」
「ごめんなさい……」
ギルド。わたしの顔を見るやいなや、受付にいつもいる人は挨拶がわりと言わんばかりにそんなことを言ってきた。
「いや、私に謝っても意味無い……というか、別に誰に謝るって話でもないんですけど……。ま、とりあえず暇人……じゃなくてギルドマスターが呼んでるので、奥の部屋へ入ってくださいね〜。」
「ギルドマスターへの態度、いよいよ隠さなくなってきましたね。」
「事実ですので。」
(この人、結構キツいとこあるよね……)
奥の部屋に行くと、テーブル1つと椅子が2つ。奥の方の椅子にはギルドマスターが座ってた。
「やあ……来たね。俺は14分前からここにいたよ。」
「……はぁ?」
(めんどくせぇ人……)
「ま、なんでもいいさ。とりあえずそこに座ってくれよ。話はそれからだ。」
「はい」
わたしが丸い椅子に座ると、ギルドマスターはテーブルに手を付き、少し強めに言う。
「さあ、聞かせてもらおう……君はあの山で何をしていた……というか、どうしてあんな場所に行けた?あそこはこの街からかなり遠い上に、ゲートによる転移もギルドと城の一部の人間しか許可していない……4日ほど君は姿を消していたらしいが、4日程度でたどり着ける距離でもない。」
(数日いなかったのは別案件なんだけど……それを説明するのは余計混乱するし、言いたくないな……)
わたしが言い訳を考えてると、ギルドマスターは追撃してくる。
「君が何を言おうが、どんな理由をつけようが……起こってしまった事実は変わらないんだよ。さあ……素直に言うといいさ。」
(微妙なキメ顔ムカつくなぁ……)
「えっとですね……そ、そう! 実はわたしもわからないんです! 気がついたらあの山にいて、で、さ迷ってたら倒れちゃって……そこを偶然発見して貰えたみたいで! いや〜世の中不思議なこと」
「俺を甘く見ないでくれよ……部下や職員に舐められようが、これでもギルドマスター……相応の力はある。君が今嘘をついていることくらいすぐにわかるぜ……。」
「くっ……! ただのスカした雰囲気イケメンでは無いということか……!」
「ふっ……そんなこと言われ慣れてるからなんということはないさ。」
(いやそれは普通にかわいそうだ……)
「もういいだろう……話してくれ。きみはあの地で何をして、何を見た? ……ここだけの話、今話して貰えないと俺としても困ることがある。」
いきなり、わりと深刻そうにそんなことをいうギルドマスターを見ると、興味を引かれる。
「何がですか……」
「もし君がここで話さないと、次はオーリン教会のフィリアとエルザが君と話したいと言っていたのさ。『私たちになら話してくれるかもしれない』と。たしかに、きみはあの2人と仲はいい……しかし、前にも話した通り……だ、それに……」
「……エルザって、あくまでも個人的にフィリアさんを手伝ってるだけで、オーリン教の人じゃないはず……ですよね。なのになんで……」
(スティアが見せてくれた『可能性の未来』の件とか怪盗のこととか……エルザはわけわかんない。妙な過去もありそうだし……。でも、オーリン教自体はそこまで怪しくないと思ってきた……1番の疑問点だった、スティアの関する矛盾は解決したし……ギルド側が警戒しすぎな気もする。)
「そう、だから話して欲しいわけさ。いいだろう……俺にだけ、こっそりと……さ?」
(きも……)
ギルドマスター、いちいちポーズみたいなのとるしなんなんだこの人は。おもしろギルマス?
「はなす……わかりました。はなしますけど、絶対秘密にしてください。それだけは約束して欲しい……あ、あと……笑わずに聞いて欲しいです。」
「ああ、もちろんさ。俺が冒険者の話を聞いて笑うことなんてありえない……どうしてか? それは俺がギルドマ」




