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いざ実食

お久しぶりです……

(……?)


「あら……どうかした?」


 不思議な肉を前に首をかしげ、固まるわたしをみてカレンは相変わらずの微笑で語りかけてくる。


「あ、いや……」


「珍しいもの前にすれば誰だってこうなるものかしらね……ふふ……」


(ていうか……)


 なんだろ? なんでかな? 一連の流れでこのお店に来たはずなのに、なんかこういうやり取りもめっちゃ久しぶりな感じがする。具体的に言うと3ヶ月くらい何もしてなかった感覚があるね、不思議だ。


「まあいいか……」


 でもそんなのは勘違いに決まってる。だって、目の前にある得体の知れない、でも美味しそうなお肉はアツアツだし、できて直ぐにしか見えない。さて、食べるぞ……。


「今度こそ、いただきまーす……」


 ナイフを入れると、冗談抜きに柔らかい、マジでほんとに豆腐くらいスっときれる。……いや、これは盛ったかも。


「………」


(めっちゃ見てくる……)


 自分の食べるものが無くなったからなのか、それとも単純な好奇心なのか……カレンはわたしがその肉を口に運ぶ瞬間を絶対に逃さないと、瞬きもしないでこちらを見つめてる。食べにくいな。


「……ん……ん、これは……」


 と、思いつつも肉を口に入れ、噛み、その味を感じる。ソースの風味と肉そのものの味、それなら油やらなんやらが混じったこの味は……。



「……まっず! な、なにこれ!? ……あ、す、すいません……いや、その……」


 お店の中なのについつい大きい声で酷いことを言ってしまった。でも周りの人は特に気にしてない。なら良かった、だってこれほんとにマズイ。


「カレン……これなに……」


 わたしが不満を顕にすると、珍しくカレンは不機嫌そうに言う。


「残念、あなたの口には合わないようね……。これは深き深淵の如く谷底を彷徨う、愚かな血をひく龍の末裔の尾の肉……その味は食べた人間を自らが住まう谷底のごとく深い絶望と、闇に誘うとしてとても有名…ふふ……」


(ゲテモノ枠じゃんそれ)


 なんならカエルとか昆虫の方がマシまである。だってこの肉、なんていうか……ガソリンと腐ったチーズを混ぜてそこに墨汁を混ぜて1ヶ月放置したあとに腐った肉ににそれをかけたみたいな味するし。(ガソリンも腐ったチーズ味知らないけど)


「……これ全部食べないとダメなの? 苦行。」


 わたしの目の前にはまだまだ大きいステーキ。食べる前はあんなり美味しそうで期待の塊だったはずのものは、今となっては地獄からいでし肉塊でしかない。


 でも、カレンはまた笑いながら言う。


「いいのよ、別に。ワタシが食べてあげる。……ふふふ、それに……もう、あなたは食べることもできないはずでしょう?」


「は? なに……うっ……なんで……」


(おかしい……)


 突然、なんの前触れもなく視界が揺らぐ。そして思考が朧気になる。頭が痛い。まぶたが開かない。体が動かなくなる。


(いくら不味くてもこうはならないでしょ……まさか……)


 もううっすらとしか見えない視界。カレンはそんなわたしの視界に入ってきて、小さく囁く。


「ようやくだわ……ずっと求めていたものがついにワタシの手中に収まる……いくら求めても叶わなかったはずの悲願……神さえも羨むものよ……ふふふ……正義も悪も関係ない、全てはワタシとあなたの……」


(やられた……)


 前に思った通りだ。いくらわたしにチートじみた力があろうが、わたし自信に計画性がなかったり、注意力がなかったらなんの意味もない。力を使えない状況になったり、力で打破できない状態になったらわたしはたんなる女の子でしかない。


(せめて……カレンがマッドサイエンティストじゃなきゃいいな……)



 ――――――――――――――――――――


「ここは……いった!? 痛い! なになに!?」


 気がつくと、真っ暗な部屋。体を動かそうとするとあちこちに痛みが走る。力をいれようとしたり、魔法を使おうとするとさらに痛む。要するに詰んでる。


「カレン!! なんのつもり!」


 声を荒らげても、なんの反応もない。そもそも、この近くにカレンがいるかもわからない。


「だれか〜! マリア! リズ! エルザ! ルイ! スティア!」


(何となく名前を呼びたくなった……いるわけないのに)


 もちろん、なんの反応もない。


「イブ!! もう誰でもいいからいない!?」


(……ダメだこりゃ)


 さて、これからわたしはどうなるのか……

実に3ヶ月もお待たせしてしまうというとんでもないことをやっちまってました。その間に関係ないことしてたり、ほかのものコソコソ書いてたりしましたが、今度からはこちらをまた再開するのでもしまだ応援してくれる方がいたら是非…

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