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王の器

「まず初めに……わたくしは、ライズヴェル王の娘……ですので当然姫という立場であり、王族なんです。そして他に兄弟姉妹はいません。ライズヴェルは歴史上において、国を統治する者の性別にはこだわらないため、このまま()()に行けば、いずれは私が女王となり、この国を統治することになるんです。」

 

「へえ」


 メルリア姫は近くの椅子に座り、まずは前置き……と言った感じで自分のことと国のことについて軽く教えてくれた。ちなみにわたし達は立ったまま。いや、別にいいけどね?


「で?」


 相変わらずの態度のイブ。でもメルリア姫はそれには何も言わずに続ける。


「しかし、王の血筋だからといえ、そこに生まれただけで王になれるわけではないんです。相応の強さや知恵、人として必要なものを身につける必要がある……そう教えられています。……自分でいうのも変な話ですが、知恵に関してはとくに問題は無いのですか、強さ……つまり、戦闘に関して……私は、まったくその才能がないのです。」


 少し俯き、悔しそうにそう説明するメルリア姫。


「そんなもの必要とか厳しいね。めんどくさそう……」


「へー、ならもしボクがここに産まれてたら余裕で王になれてたな。」


「…………」


「…………」


「……おいなんか言えよ。」


「…………………………以前ユイが私を助けてくれた時……あの時は、無理にモンスターの討伐をさせられていました。そのせいで、私はあのような状態に……」


「い、いくらなんでも一国の姫をそんな危険に晒す!?」


 そりゃあ強さを求めようがなんだろうがその國の勝手だけどさ、それでもさ。姫をそんなふうに扱うとか……もし怪我したり、もっと酷いことになったら………。だって実際、あの時はかなり……


「ですので、あの時のように……王家にのみ伝わる魔法石……『転移石』ですぐに逃げられるようになっているんです。……あの後、お父様には怒られてしまいましたが。」


「へぇ……」


(転移……ずるい)


 それってつまり、ゲートとかなくてもいつでもどこでも好きなように転移できるんでしょ? さすが王族。いいもの持ってるねぇ。


「あ、そういえばあの時ギルドは都合が悪いみたいに言ってたのは……」


「ギルド……実は……いや、この話はまたいずれ………それで、お願いしたいことですが」


 メルリア姫が本題に入ろうと、イブはそれをさえぎって言う。


「わかったぜ。『世界を救える勇者様』と、『自分を助けてくれた人』の2人に、自分が強くなるための手助けをして欲しいんだろ?」


「あ、なるほど」


 どうやらその考えは当たっていたみたいで、メルリア姫は立ち上がり、王族にも関わらずわたし達に頭を下げながら言う。


「そういうことなんです……どうかお願いします。戦うことが苦手な私に、少しでもいいので手助けをして欲しいのです……。お父様達に認めて貰えるような、立派な姫になるために……!」


「おいおい、姫サマが頭下げてるぜー。なあ、ユイ。王族に頭下げられるとかボク達すごくね?」


「う、うん………」


(異世界なのにそういう概念なんだ……)


 と、まあそれはいいとして。お姫様がここまで言ってるんだ。断れない。それに……メルリア姫、それこそわたしの昔の夢そのものかもしれない。強いお姫様……本物だ。いいじゃん、おもしろそう!


「わたしはいいですよ……メルリア姫のこと手伝います。」


「ま、ボクも断る理由は無いな。王族に恩売るいい機会だろ。」


「思っても口に出さないでよ。」


 わたし達の答えを聞くと、メルリア姫は頭を上げてにっこり笑って言う。


「ありがとうございます! 今すぐには出来ませんが、いつか絶対にお礼はしますので……」


「ん。で、具体的にはボクたちなにすんの?」


 イブはメルリア姫に近づき、何故か顔を覗き込んで言う。


「い、今すぐに何かということはないんですが……何かあったらその時に呼ぶので、そのつもりでいていただけると嬉しいです………」


「あ、はい」


「なーんだ。じゃ今日は帰るか。いこーぜ、ユイ。」


「うん、それではおじゃましました……」


 何も挨拶せずドアを開けて出ていってしまったイブに変わり、わたしが挨拶をして部屋を出る。マジでこれ国によってはころされでもおかしくないでしょ。


(それにしても……こんなことになるなんて)


 色んな偶然が重なった結果、『お姫様に先頭を教える』なんてことになるとは。でも、わたしもイブも人になにか教えるとか苦手なタイプでしょ……大丈夫かなぁ?



少し色々あるので、しばらく更新できない可能性が極めて高いです。気長に待っていただけると幸いです。申し訳ございません。

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