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始まりの転生と失敗

(……あれ?)


 ここはどこだろう?


「………。………?」


 声が出ない。


(なんで?)


 そういえば、目は開けてるのに真っ暗。音も何もしない。


「っ!」


 と思ったら、いきなりの一瞬の強い光と共に視界が開けた。


「うわ…………あ、声出た」


 開けた視界に映ったのは、変な空間だった。薄暗いその空間の周りにはカラフルでデジタルな感じの数字がたくさん映し出されて、流れている。SF映画(?)とかの電脳空間(??)みたい。


「わたし…………」


 だから、結局なんでこんな所に?しばらく考えてもわからない。確か休みの日で、都内の方に遊びにいってた気がするけど。


「ここどこ?」


 誰に対してでもなく言ってみる。すると、目の前に大きい画面が出てきて突然文字が現れる。


【その質問への回答は不可】


「え、なに!?」


 そんなスマホみたいな…………。

 

(その質問へのってことは他のはいいのかな?)


「わたしはどうなったの?」


 改めて問いかけると、元の文字は消え新たな文字が出てきた。


七海ななみ ユイ→死亡】


「?」

 

 その名前は確かにわたしの名前。わたしは七海ユイ。めっちゃかわいい名前じゃない?うん。


 ってそんなことはどうでもいいの。わたし死んだの?なんで?じゃあいまのわたしはなんなの。


「死んだ?どうして?」


【事故 要因→未成年飲酒運転&無免許&脇見運転の車のひき逃げ】


「そんなロイヤルストレートフラッシュみたいな事故ある?」


 本来ならこういう時はよく麻雀で例えるだろうけど、わたしは麻雀知らないのでポーカーで。


 ていうかそんなのでわたし死んだの?めっちゃ理不尽。わたし全く悪くない。捕まってて欲しいなそいつ。それでわたしの家族にめっちゃくちゃ大量のお金とか渡してて欲しい。


「………で、死んだわたしがなんでこんなふうに意志を持って自由に動いて喋ってられるの?」


【偶然の結果→異界への転生、及びその準備のため】


 画面に表示された文字………何となくこころの中で薄々思っていたことがハッキリと示された!


「偶然選ばれて転生!?運悪いと思ったけどもしかしたらわたしめっちゃ運いい!?そういえば確かに今朝の占い、水瓶座(Aquarius)1位だったし!」


 まあわたしは10月1日生まれのてんびん座(Libra)だけど。てんびん座は8位だった。


「あ、そうだ。わたしの行く世界はどんな世界なの?」


 わたしが質問すると、なぞの画面はどんどんと文字を映し出す。


【世界→魔法や魔物の存在する危険の潜む異界 ユイのいた元の世界との比較→文化レベル『部分的に《低》』 陸面積→狭 etc...】


 ほとんどが省略されたよ。でも………まあ何となくわかった。つまり普通に、すっごいわかりやすい感じのファンタジーな世界でしょ?素晴らしいよ。


「ねえもしかして………アレとかはあるの?」


 あとは……転生だとか転移するならアレも欲しいよね!?


【能力の付与→有 上限→無し 】


「きたきた!」


 しかも上限無し!?じゃあ……


「めちゃくちゃ戦闘で強いとかできる!?」


【可能】


「すごい魔法が使えるとか!」


【可能】


「モテモテになっちゃうとか!?」


【可能】

 

 わたしが考えるチートじみた力はどれもこれも許可される。画面にどんどん追加されるては消える【可能】の文字が気持ちいい。


「じゃあ例えば【手から無限にちくわが出せる能力】とかできるの?」


【可 決定?】


「いやうそうそ!嘘だからね!なんでこんな時だけ念押しな感じで確認してくるの!?いらないよそんな力!」


 あぶな………無限(Infinity)ちくわ(CHIKUWA)女子(Girl)になるところだった………。


「あ、そうだ………例えばネガティブな能力もあるのかな。【異性から全くモテなくなる】とか」


【可能】


「あるんだ………あとは……わたしを今より可愛くするとかもあり?」


【可能】


 ホントになんでもありなんだ。なんか知らないけどラッキーじゃん。

 そりゃあもちろん、死んだことに対してはめっちゃ悲しいし、事故の件はすごいムカつく。死んでも許さん。

 でも、死んだんだからもうしょうがない。幸いにも (なにが?)わたしには友達もほとんどいなかったし。家族は悲しんでるだろうけど………慰謝料とかでなんとか頑張って!(?)あと、死んだ瞬間の記憶とかなくてほんとよかった。痛い感覚とかあったら最悪。



「うーん………」


 そのあとも色々きいたり、教えて貰ったりして色々考えたけど、やっぱり『強さ』が欲しいよね……!危険なモンスターとかがいて剣と魔法で戦うような異世界だもん!強くないとまた死んじゃうかもしれない。だからわたしの選ぶ能力は………


「【ちくわ】以外の、わたしが提案した能力全部頂戴!」


(なんて、さすがに欲張りすぎかな)


【可能 決定?】


「いけた!OK!決定!」


 では早速異世界に………!と思ったけど違った。目の前の画面が切り替わり、わたしの全身の写真が出てきた。一瞬意味わかんなかったけど、どうやらここをゲームのアバターみたいにいじって、わたしの見た目を変えられるみたい。【わたしをかわいくする】能力はこの時点で反映されるんだ。


「わあー!」

 

 我ながらアホみたいな声を上げながら画面をこれでもかと言うくらい弄くり回す。声も顔のパーツも髪も身長もアレも全部変えられる。全くの別人だ。


「せっかくの異世界だし…………ね!」


 髪は今の黒くてじみーな髪型なんかじゃなくて、リボンもつけてピンク色の長いツインテール!瞳の色も青くしちゃお。声も今よりもっとかわいくして………身長は少し小さくしよっかな。アレは少し大きくして………。


「うおー!!できた完璧!」


 と、その瞬間。またしても視界が真っ暗になって声が出なくなる。


(きたかな………)


 そして少しづつ意識が遠のく………来たね。



(…………あ)


 やば。もしかしたらわたし………とんでもない失敗してるかも………いや、してる。


 わたしの貰った力は【わたしが提案したやつ全部 (ちくわ以外)】だけど、その中には【モテモテになる】がある……これはいい。でも、試しに聞いてみたネガティブ能力の取り消しをしてない………!確かその効果は………【異性から全くモテなくなる】…………えっと、だからつまり…………

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