分かたれた世界
(……)
オーリン教の建物と似てるそれに、ふたり(?)の女神は迷わず入っていった。こんな所でひとりで待つのは嫌すぎるから、仕方なくわたしも後ろに続く。腑に落ちにないことが多すぎるし、今までわたしが感じてたことが色々覆されてる気がするけど……いまは目の前のことに一旦集中。
「……あら。もったいぶらないのは嫌いじゃないわよ」
中に入るなりカレンがそんなことを言う。入ってすぐの広間のような空間の真ん中に置いてあったのは、円盤状の金属。銀色の表面に小さな宝石のようなものが散りばめられていて結構綺麗。……こんな場所じゃなければ。
「すぐ見付かってよかったね。……カレンの言う通り、勿体ぶる意味もない。ユイ。この円盤に触れれば元の世界……ああ、元っていうのは君本来の世界ではなくてイヴ達のいる世界だけど……すぐに帰れるよ。だから、さ」
アイテールはその円盤の近くまで行き、ギリギリ触れない位置で手のひらをそれにかざして言う。
「教えてあげよう。ろくでもない神々によるくだらない世界の真実をね」
そう言うと、それと同時にカレンがため息を着く。だけどそのまま何も言わず、またすぐにアイテールが口を開く。
「きっと君は今この瞬間に至るまで、あまたの疑問を抱いてきたはずだ。例をあげたらきりもない。だけど君は常に目の前のことだけに真っ直ぐで、その場その場の目的のためにだけに生きてきた」
「褒めてる? バカにしてる?」
「さあね」
わざとらしくとぼけるのを見てるとちょっとイラつく。
「だけどさすがにこんなところにまで来てしまったらもう目を背けられないだろう。『コレ』も見つけてしまったし、神みたいなやつが2人もいるんだ。全ての答え合わせをしてあげてもいい」
「……あれ、これなに、もしかしてあと2話くらいで終わらせる気? よくないと思う……」
嫌な詰め込み方されてる気がするけど。
「そういうのじゃないわよ」
表情1つかえずにカレンにすぐに突っ込まれる。……やっぱり人間ぽくなってる気がする。
「世界の矛盾。……もういまさら何を言っても君は驚かないだろうから言ってしまうけど、矛盾があちこちにあるのは僕のせいさ。僕が……何度も世界をやり直しては失敗して、その度に失敗した地点の手前まで時間を戻して、時間の繋ぎ合わせに微妙に失敗してしまってる。その帳尻が合わなくなった部分が世界の矛盾として現れてるのさ」
「……???????」
「……なんの話しよ、それ」
どうやらカレンも知らないみたいで、2歩くらいアイテールに近づき、ちょっと圧をかけている。……ていうか、やり直してるって……?
「うーんと」
すこし悩んだ後、アイテールは微妙な笑顔になる。
「全能神っていうのはあくまでもほかの存在から見た相対的なものでしかない。僕という単体の存在で見れば失敗もするし間違えることもいくらでもある。それこそ、この世界みたいに。……だけど、ある程度時間が進んで発展した世界を1つの失敗で無に帰すのは勿体ない。だから失敗地点……致命的な戦争が起きたならその地点よりまえに戻して、直接的な干渉をしないようにしつつどうにかカタストロフィだけは回避する……そうやって今日まで世界はかろうじて進んできたんだ」
それって……
「時間を戻す際にどうしても壊滅した世界の名残が残って、上手く世界と混ざらないことがあって……オーリン教やらカレンで矛盾があるのもそのせいってことさ。最初の時間軸ではあの争いはこの世界全てを壊滅させる位のものだった。それを……数えるのをあきらめるほどやり直してどうにか今の形にできた。この世界で一番大変だったのはあの戦争だね、今のところは」
「……じゃあなにかしら。ワタシ達が必死に掴み取った結末があったとしても、それはこの世界の神や人間の努力の成果ではなく、あなたが何度もやり直したらたまたま上手くいった、それだけの話なのかしら」
「……努力は否定しないさ」
アイテールの短い答えをきき、カレンはわたし達に背を向けて広間外へ行ってしまった。顔は見えなかったけど……多分、わたしはまだ見た事のない表情をしていたと思う。
そんなカレンを気にしてるのか気にしてないのかわからない。アイテールはわたしの方を見つつも少し目をそらす。
「イヴの故郷だって何度も滅びたし、スティアが消滅したこともある。ほかにも……いや、それよりも」
「?」
なにか『言わないといけないこと』を思い出したかのような顔をし、アイテールは口を開く。
「いまのはこの世界だけの話じゃない。君の本来の世界にも同じことをしていたよ。……まあ、それをここで詳しく話しても仕方ないからしないけど」
(あ〜)
神様って、ほんとにいるんだよってみんなに教えたかった〜。改めて考えるとこの感じの神様がわたしの世界も見てるの変な感じするけどねー。日本の神社とかどう思
「って! ちょっと!おい!!」
「なんで急に口調変わったの?」
「焦りすぎてつい……」
大変なことに気がついた!
「世界やり直せるならナナミいなかったことにしたりわたしが死んでないことにも出来るくない!? 」
やばいあと2話くらいで終わりそう!
「……いや」
だけど、アイテールは首を振る。
「ナナミの誕生と君の死……このふたつだけは何をしても覆せなかった。気の遠くなるほどに、あまたの時間無数の世界をみてきて僕にも経験がない事だ」




