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また矛盾してる気がする

「……ねえ」


 いつまでも離れようとしないカレンに、呆れつつ声をかける。


「なにかしら」


「戦争の話さ、おかしくない? わたし……前にスティアとセレナさんから聞いたことあってさ。禁忌の魔法が関係した戦争で、魔法を使いたい勢力と封印したい勢力で全面戦争して、カレンは封印したい側の味方したって言ってた。それだとさっきのオーパーツの話と完全に矛盾してない?」


 あの時聞いた話だと、その結果禁忌は封印されて、だけどその力はまだ少し残ってるからスティアはそれを破壊したい、とか言ってたはず。歴史書に書いてあることが嘘って意味では同じだけど、起こってる事象がまるで違う。

 だけど、カレンは笑いながら言う。

「ふふ……だけどそういうことではないのよ。あの女神が語った話も本当で、ワタシと全能神が今語った話も本当。禁忌の魔法を巡る全面戦争があってワタシが片方に味方したのも真実の歴史で、オーリン教が魔法を禁じようとしたのも真実の歴史。矛盾している? 本当にそうかしら?」


「うーん……?」


 カレンが言うとより複雑に感じる。もう少し深く考えようとした時、不意に頭をはたかれる。


「いて」


「なにしてるんだ……。そういうのは元の世界に帰ってからでも好きなだけできるだろう?」


 そう言いながら、アイテールはカレンのことも叩く。


「……チッ」


(うわ、舌打ちした……)


 なんかカレンって内面的にも人間ぽくなった?


─────────────────────


 それからまたしばらく歩くと、なにかの建物が見えてきた。


「……?」


 なんとなく、オーリン教の教会にみえる。だけどわたしがよく知ってる建物とは形も雰囲気も違う。なのになんでオーリン教って思ったんだろ。


「で、一体何が目的なんだ?」


 アイテールは振り返り、カレンを睨む。


「目的? そんなものは特にないわよ。いまのワタシは単なる人の身。特別な力もなければ神と戦う意思もないわ」


「じゃあどうして偽の手紙でユイを呼び出した挙句、こんな世界と繋げるようなことをした?」


「えっ」


 あれ、この世界に来ちゃったのってカレンのせいなの???


「ふっ……」


 カレンは短く息を吐き、アイテールに近づいていく。そして


「っ」


 いきなり、顔を殴った。あまりの不意打ちだったのか、アイテールは防ぐことも避けることもせず思い切っりそれをくらう。


「なんで?」


「イライラしたから。ワタシは何も知らないって言ってるじゃない。ユイを呼び出したのはあなたには全く関係のない別の用事。こんな世界、ワタシが好きで繋げるわけないじゃない。全能神のくせに人のせいにして無責任なのね。そんなんだからナナミとかいう女神に負けるのよ」


 いつになく早口でまくし立てるカレン。そんなカレンに対し、アイテールはため息混じりに返す。


「まったく。まあいいさ。……とぼけるつもりなら好きにしてくれ。それよりも、見つけてしまったならもう無視は出来ない……か」


「そうね」


 喧嘩したかと思えば当然息が合わさり、2人とも教会のような建物を見上げる。全く何が起きたか分からず置いていかれてるわたしをよそに、ふたりが言う。


「色んなものが集まりすぎよ、ここ」


「ま、こういうのも悪くない。ユイが気になってる事の多くももしかしたら分かるかもしれないしね」

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