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急展開が過ぎると思うけどね

(……誰だ?)


 少し遠目に見る分には、村長さんの隣にはいるのは少し背の低い……女の子かな。腰よりさらに下に伸びてるながーい髪の毛、金と銀が入り交じる変な色な気がする。


「なんか変な格好よね、あの子」


「ああ……服とか?」


 たしかに、言われてみればそうかも。見たことない服……というか、なんか周りから浮いてるような気がする服を着てる。なんていうか……やたらとオシャレで綺麗な服って感じ? リズは鎧みたいなやつ着てるからちょっと別として、それ以外の人達……わたしとか、マリアとか、イブとか、セレナさんとか……みんな、やっぱり()()()()()()()()の普段着とはちょっと違うような服を着てる。元の世界でこんな服装してたらコスプレみたいだし。

 でも、村長の隣にいる子は、わたしのいた世界に普通にあった服……みたいなのを着てる。リボンの着いた水色のフリルのスカートに、袖の短いクリーム色の服を着てる。


(……冷静に考えればわたし達の着てる服と大差無いはずなのに、どうしてそんなに違和感あるんだろ?)


 どこだか知らない異世界で、見慣れたようなものを見るから逆に変に感じるのかな? でも、リズも変に感じてるし、よくわかんない。


「お、2人ともきたきた」


 近くまで行くと、村長もこっち気がついて手招きしてくる。女の子の方はわたし達のいない方をむいたまま動かない。


「……それで、朝からなんなのよ? それにあたし達だけ? マリア達は?」


 早々に文句が溢れてくるリズ、流石。


「いいのいいの、あんた達2人でいいのさ。気がついてると思うけど、用ってのはこの子のことさ。ほら、こっち向いて」


 まるで母親が子供を紹介する時みたいに、村長さんは隣にいた子をこっちに向かせる。


「……」


「ふーん……なかなかかわいいじゃなの」


(たしかに、わたしの次にかわいいかも)


 遠目でもなんとなくの雰囲気はわかってたけど、近くで見るとやっぱりかわいい。身長はわたしより低いし、わたしの価値観でいえば中学生くらいって感じ。しかも、左右で目の色が違う……オッドアイって言うんだっけ、こういうの。わたしから見て右はエメラルドみたいな瞳で、左はトパーズみたいに綺麗な色の瞳。せっかく見た目自由にできたんだしわたしもオッドアイにすればよかったかな。


「で、結局この子なんなのよ?」


「また新キャラ? 多くて覚えられないですけど」


 すると、村長さんはその女の子の頭をポンポンしながら言う。


「昨日の夜、いつの間にか村に来てたのよ。親らしき人もいないし、本人もなにも説明しようとしなくて、困ってたのよ。で、今日の朝なんもなくあんた達の話したら、会いたいって言い出してさ。というわけであんた達2人に来てもらったのよ。それじゃ、あたしは他に仕事があるからあとは適当によろしく」


「え」


 冗談でも何でもなく、村長さんは女の子を置いて行ってしまった。それも、少し早足に。


「逃げたわね……あたし達にもどうしようもないわよ……」


 微妙な空気のまま、2人して女の子のことをチラチラ見てると、向こうが先に口を開く。


「ふふっ……村長さんからお話きいてます。ユイさんとリズさん……ですよね。アタシは『ティアナ』と言います。」


 ティアナ……と名乗った女の子は、わたしとリズに向かって深く頭を下げてきた。思いのほか丁寧な喋り方と仕草で、それはそれでなんとも言えなくて結局2人して黙る。


「……ところで、先程ユイさんは覚えられないなどと言っていましたが……実はアタシ、完全な初登場じゃないんですよ」


「はぁ……?」


「なに、あんたこの子と知り合い?」


(……知らない)


 何度顔を見ても、名前を考えても絶対に知らない。ティアナ……いま初めて見た。ニコニコ笑顔にも見覚えはない。


「あ、アタシもユイさんとは会ったことないですし、お互いに顔も知らなくて当然ですけどね。」


「?????」


「ほんと、なんなのこの子……」


 ティアナはリズのことは無視して、わたしの目を真っ直ぐ見て一瞬だけ真顔になった。その瞬間、なんでかはわかんないけど凄くゾクッとした。本能的に、なにか……怖い?


「ねえあんた……変な服だけど、どっから来たのよ。外国?」


 リズが1歩近づいて、服を少し触るとティアナはそれを払い除けて言う。


「ふふっ、実はそうなんです。とは言っても、この服は別にその国独自の文化でもなんでもないのですけどね。アタシは……ノーザンライトから来ました。知ってますよね? 世界大国、勇者伝説の国、ノーザンライトです。」


「ノーザンライト……さすがに知ってるわよ。たしか……ユイとよく一緒にいる勇者もそこの人よね? アルカディア歴もあの国を起源としてるのよね。世界の中心ってだけあって、すごい大きいって話じゃないの」


「…ノーザンライト?」


(え、でもノーザンライトは今……)


 すると、ティアナは今度はリズの方を見て言う。


「そうそうそうです! 勇者……勇者イブ! 今この国に来てるらしいですよね! 実は会いたくなってこんな遠い異国まで来てしまったんです。同じ国の人が異国で活躍する姿を見たくて。でも地理的なことがさっぱりで、迷いに迷ってこんな所に……ユイさんなら知ってますか? 勇者イブは今どこに……?」


「え、いや……えっと……その前に……」

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