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カディア村

(まじか)


 たどり着いたのはほんとに村とは思えないような場所。少し離れた所から見た印象とほぼ変わらなくて、村の入口まで行っても家は全然見えない。見えないってか、無い。奥の方に少し大きい建物があるけど、あれは多分ギルドの支部なのかな。


「それじゃちょっと待っててください。村長さんに事情を話してくるので。私とユイさんのことはあらかじめ伝えてあるんですけど、あと2人増えたので……」


「……あたしのせいじゃないわよ。」


(ていうかリズはさっき馬車で帰れば良かった気もするんだけど……)


 マリアはあれとしても、リズがここに残る理由なくない?


 とりあえず、セレナさんに言われた通り村の入口辺りで待つ。見える範囲には人はいない。


「もしほんとに嫌な村だったらどうする?」


「さぁ? そんときはそんときであのギルドの人が何とかしてくれるんじゃないかしらね。」


「わたくしは……そんな嫌な人はいないと信じておりますわ。お父様とお母様は旅先の国で酷い人達にあったこともあると言っていましたが、ライズヴェルにはそのような人々がいないと信じたいものですわ……。」


(そっか、マリアの両親は昔世界を旅してたんだっけ)


 前にそんな話を聞いた……いつだっけ? ………レインクリスタルの時かな。マリアの傘は異国のものだとかなんとか。


「…………」


「………」


「…」


(なんか……)


 別に仲悪いとか、喧嘩してるとか、そういうのは全くないし、なんならマリアはリズのこともわたしのこともすごいよく思ってるだろうし、わたしもそれは同じ。リズだって、少なくともマリアとは元々知り合いな訳で気まづいことも無いはず。なのに、なんか知らないけど特に何も会話が続かないし生まれない。なにこれ?


「……あー、いい天気でよかったよね〜」


「無理に喋んなくていいわよ……」


「……。」


「みなさーん、こっち来てくださーい」


 ナイスタイミング。セレナさんが戻ってきて、わたし達を村の中に呼んでいる。気まづい沈黙から抜け出すように3人でセレナさんの方に向かう。村の中に入り、広場みたいになっている場所に行くと、セレナさんの隣に女の人がたっていた。完全な目測だけど多分30歳前後。服は薄い色の地味なやつなのに、つけてる髪飾は派手な変な色。髪の色が黒だから余計目立つ。


「こちらがカディア村の村長さんです。」


 どうやら村長だったみたいで、村長さんはわたしたち3人のことを少し鋭い目線で見たあと、口を開く。


「きいたけど、予定より2人増えたんだね………斧持った子とお嬢様が予定外の人って訳……。なるほどなるほど……いいじゃないの。」


(村長として考えるとかなり若い……絶対おじいちゃんが村長だとおもってたし)


「いいじゃない……って何がよ?」


(うわー……リズってガチで敬語使わないタイプなんだ……)


 でも、村長さんはそんなことは気にせずに答える。


「聞いてると思うけど、この村は冒険者もいないようなものだし、あんた達くらいの若い人もいない訳よ。だから、予定より多く来てくれたなら色々と助かるって話よ。……ちょっと、この村の老人連中は口うるさいかもしれないけど、許してやってよ。みんなずっとこの村で暮らして、冒険者をやってた訳でもない人らはよそ者や村の外に対して嫌悪感がある。ま、どうしてもなら軽くぶん殴ってやればわかるさ。」


「いやいや……さすがに殴っちゃダメですよ……」


「さすがにそれは冗談さ、困った時は私に言ってくれれば何とかするから。……とは言ってもじゃあ今日から早速冒険者として色々して欲しい……なんてわけじゃない。疲れてるだろうし明日からでいいよ。」


(なんだ、優しいじゃん……)


 お年寄りがちょっとアレっぽいけど、村長さんがこんな人なら安心。一応ギルド側が事前に話通してるわけだし、あんまり酷すぎるってこともありえないのかな。


「それでは私達が寝泊まりする場所へ案内しますね。」


 ―――――――――――――――


「あ〜こうなるのか〜」


 よく良く考えればそうなんだけど、わたし達が生活する場所は2箇所しか用意してなかった。セレナさんとわたしの分。でも、実際には4人いるから仕方なく2人ずつになっちゃった。住む場所はライズヴェルで暮らしてた感じとほとんど変わんない。基本使わないけど、ギルド支部があるから一応こういう場所があるんだって。でも、あんまりにも使ってなかったから汚かったりボロかったりで、何とか用意したのが2部屋なんだって。


「でもあたしでまだマシでしょ? あの子と一緒だったらあんたどうなるか分からないわよ。」


「それはそう」


 わたしはリズと同じ部屋。急遽2つ用意されたベッドのうち、窓に近い方のベッドに座って足をぶらぶらしてる。いつの間にかサイドテールだった髪もほどいてる。


「なんか成り行きであたしもここまで来たけど、嫌な気はしてないわ。むしろ、こういうのもいいと思うし。」


「へ?」



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