表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GOMA!GOMA! (ゴマ!ゴマ!)  作者: 作・カブトムシタロウ 画・ピロコン
第1章 びっくりどっきり!? 動くおサムライ人形
3/40

その3 何か忘れてるよーな

 帰ろうとした泉だったが、何かを思いだし振り向く。


「あっ、リエコちゃん! 算数の宿題、忘れないようにね。計算ドリルの15ページから17ページだから!」


 ただでさえ忘れっぽいリエコ。サッカーの興奮もあったせいで、宿題のことはすっかり忘れていた。


「あっ、そうだった。そんな宿題、出てたっけ」


 途端に、リエコは暗い顔になった。サッカーでの勝利に酔いしれていたところを、現実に引き戻されてしまったのだ。


「泉ちゃんってばヒドい。せっかくいい気分だったのに、嫌なこと思い出させるなんて」


「ご、ごめんね。でも、宿題を忘れたら大島先生が怒るだろうし」


 またまた、泉は申し訳ない顔になる。


「何てね」


 リエコはいきなり笑顔に戻った。


「ジョーダンだよ。思い出させてくれてありがと。アタシ、かんっぺきに忘れてたよ。あやうく、先生に怒られちゃうとこだったよ」


 リエコはぐっと拳を握りしめる。

「計算ドリル3ページは手強い相手だけど、アタシはハットトリックを決めた女の子よ! 絶対にか~つ!」


 強引な理屈で自分を奮い立たせる。


「うん、リエコちゃんならきっと勝てるよ! 頑張って!」


 だけど突然、リエコはうかない顔になった。はて? と首を傾げる。

「リエコちゃん、どうしたの? 計算ドリルに勝てる自信がなくなっちゃったの?」


「ううん、そうじゃないの。アタシ、もう一つ何かを忘れてるよ~な気がするの。何だったっけな~」


「宿題だったら、計算ドリルだけだったはずだよ」


「ううん、宿題のことじゃないよ。何かこう、さっきのサッカーに関係あるよーな」

 リエコは、む~って顔をして考え込む。

 たっぷりと時間をかけてから、リエコはあって声を上げた。


「思い出したあ!」


「何?」


「試合の前に、健太と約束してたんだ。この試合でどっちかがハットトリックを決めたら、決められなかった方が給食のデザートを半分あげるって。明日、ちゃんともらわなくっちゃ!」


 忘れていたことを思い出し、リエコはとてもスッキリとした顔になる。


「じゃーね、泉ちゃん」


「うん、またね」


 今度こそ泉と別れ、リエコは十字路を渡った。


「明日の給食のデザートって、確か桃ゼリーだったっけ? やった、アタシの大好物♪」

 かろやかな足取りで坂道を上るリエコ。


 言うまでもなく、茂みの中で見つけたおサムライ人形のことは、


まるっと! すっかり! かんっぺきに! これでもかってくらいに!


忘れてしまっていたのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ