1、プロローグ(オリジン・エルフ)
新連載です。
初回は2話更新です。
よろしくお願いします。
彼が目覚めた場所は、真っ白な建材で造られたギリシャ神殿のような天井の高い部屋で所々緑のツタが絡まっていた。小さめの体育館くらいの広さの部屋は、いかにも「神殿」といった雰囲気を感じさせている。
彼の寝ているそれはキングサイズ以上の天蓋付きの大きなベッドで、己の体にかかった真っ白な肌触りのよいシーツを彼はゆっくりと除けた。この感触は現実世界と錯覚させられるほどリアルなものであり、感動した彼は何度もシーツを触っていた。
ふと、彼は自分の手を見る。
少しゴツゴツした長い指を一本ずつ動かしてみる。見慣れた手ではあるが、その肌は日本人特有の黄色がかったものではなく白人種のような白く滑らかな肌になっている。そこから腕を見れば綺麗に浮き出す血管と、鍛えられた筋肉の躍動感に、彼は嫌な予感がよぎる。
シーツを除けた時に認識していたが、服を着ていない彼は現在「全裸」である。腕の確認から自分の厚い胸板、六つに割れた腹筋、自分自身の手で触って順々に確かめていく。
「嘘だろ……?」
ベットから飛び出し周りを見回すと、全身映せるような大きな鏡が部屋の入り口近くに置いてあるのを見つける。慌てて駆け寄り自分の全身像を確認した彼は、震える手で自分の耳を触る。
ファンタジー小説などによく登場する「エルフ」という種族特有の長くとがった耳。
色素の薄い白い肌は陶磁器のように滑らかで、瞳は綺麗な青色。
サラサラの銀髪は腰まで伸ばされている。
そして、なによりも鍛え抜かれた美しい全身の筋肉……。
それなりに整った彼のその顔は驚きで歪み、それに呼応するかのうように胸筋もピクピクと動く。
彼は大きく息を吸い、そして叫んだ。
「なんで!! エルフが!! マッチョなんだああああああ!!」
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