ハンドボールでどこまで行けるか
1話 入学
うっすらと雪が残っている。
桜はまだ、咲かない。
4月初旬と言えどまだ岩手は肌寒かった。
裸の木は冷たい風を受けて震えている。
晴れて中学1年生になった玲音は昨年お団子に結っていた胸まであるゆるい天然パーマの髪を肩までにさっぱりと切った。鼻まである長い前髪はそのままに。
普通にここまで生きてきた。黒歴史は少々あれど、小学校まで1日1日を一生懸命に生きてきたつもりだ。
そんな70代過ぎのじじいみたいに玲音は思った。
またこれからも、普通に生きてくんだろうなぁ。
そこそこの成績を保って、適当に部活頑張って。
それもいいと思った。将来いい仕事に就くなら部活なんて適当で充分だ。
ただ、それじゃつまんないと玲音は裸の桜を見上げて思う。
小学校からなんとなくだけど考えていた。まだしたことも見たこともないスポーツ。
『ハンドボール部に入ろう』
...
教室に入る。このごく普通の学校、退紅中学校、通称あら中にはこの近くの2つの小学校の生徒が通う中学校だ。
昇降口へ上がる。すぐにクラス番号の紙が貼ってあった。1ー2の欄に「伊藤玲音」と書いてある。
真っ白の新しい靴に履き替え、教室に向かう。
小学校の頃、親友と喧嘩した。大した問題じゃ無かったが、あいつが非常識なことを言った。反論した。まさか反論すると思ってなかったあいつは一瞬少し驚いたような顔をして言った。
「絶交しよう」
もちろんすぐに絶交した。後悔はない。
ただ玲音には友達がいなかった。話しかけられれば話すが自分から話すような人ではなかった。
ある1人の姿が目に入った。
「高萩羚」
小4の時、ずっと一緒にいた旧親友の羚は、小学校の時からハンドボールをしてて、玲音をハンド部に誘ってくれた人だった。小学校の時から変わらずの見た目は大人、中身は子供なやつだった。周りと違う雰囲気を醸し出している。
目が合った。教室に入った直後なのでカバンをまだ下ろしてない玲音に向かって
「早く!!カバン下ろしてこい!!」
と羚が言う。言われるがまま、意味もわからずに玲音は急ぐ。
カバンを下ろし、羚へ向かう。すると、
「来て!!」
と玲音を引き連れ、廊下に連れ出す。
廊下には色々な人が入り混じっていた。正直、人が沢山いるところは得意じゃない。小さな空間、所謂小ホールに連れ出される。
玲音よりも10cmぐらい上と20cmぐらい上の背の高い人が2人いた。玲音はまだ149cmしかなかった。
考えた。何故かって?
(こいつら男?女?)
人生で初めて他人の性別がわからないという混乱に陥った。
だってベリーショートなんだもん。
小学校にこんな奴らいなかったし!!は?は?!なにー?!!どっちなのこいつら!!
「この子、ハンド部に入るだから!!」
羚は言う。どうやらこの2人とは親しいらしい。
「なるほど、この子が玲音か。よろしくね」
えー俺のこと聞いてんの?!!俺こいつら知らないんですけど?!!
てかやばい!!威圧感やばい!!こわい!!
ここで助け舟、教室から先生がみんなに教室に入るよう呼びかける。
教室に入って羚に問う。
「さっきの2人の名前教えて?」
「んとね、おっきい方が大山翡翠、ちょっと低い方が有栖海松だよ。2人とも小学校の時からハンドボール続けてる人。」
「へ、へえ^^;」
羚の話によるともう1人違うクラスの女子、結城菜花と、雪村望来がいるそう。
こいつらに出会った今、これからの日々がいつもの『普通の日々』じゃなくなるなんて、玲音は全く思っていない。
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こんにちは!!初投稿&初作品のあろちゃんです^
この話は現在中3の私が実際に体験した私の人生を元に、少々アレンジを加えて楽しく書いていきたいと思います。
多々泥な三角関係や同性愛ver.三角関係が入ってきますので苦手な人は見ない方が...^^;
不定期に気軽にアップして行きたいと思います。どうぞよろしくお願いします(๑'ᴗ'๑)