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遅くなりました(;´・ω・)
だれかルビの振り方教えて下さい
エレナ・オルフェウスは、早朝からの堕天使の人間界干渉に苛立ちが抑えられなかった。
何でこんな朝から堕天使が来てくれちゃってるのよ。仕事増やしてるんじゃないわよ。
「まぁ、いいわ。どうせクズみたいな堕天使だろうから、直ぐに終わらせてやるわ。ホントに気分の悪い朝ね」
「出発なされますか?」
隣に立つ使用人のロイス・グレゴリーが言う。
「えぇ、ロイス。クズは掃除しなきゃならないわ。さっさと殺して学校に行くわよ」
その頃堕天使は誰かがこちらに向かってくるのを察知していた。
「誰か来るな…」
堕天使の一人がそう言いその場を立ち去ろうとした次の瞬間、目の前に魔法陣が展開され、赤い光を放ち始める。
「御機嫌麗しゅう。堕天使の方々」
魔法陣から現れた美少女は3人の堕天使に優雅に挨拶した。
だが、堕天使らは特に驚く様子も無い。いや、驚いていたとしても茶色のフードのおかげで表情がわからない。
「その銀色の髪に紫の眼…。お前、エレナ・オルフェウスだな?」
堕天使の一人が静かな口調で問うた。
「御名答。貴方達のような下っ端にも名が知られているなんて光栄だわ」
エレナは皮肉交じりに答えた。
「貴方達が何をしようとしているのか知らないけれど、私に殺される前にとっとと帰りなさい」
そう言ってエレナはふと堕天使の足下を見た。すると血だらけで四肢の無い人間の死体が転がっていたのだ。
「なっ⁉まさか、貴方達が…⁉」
「さぁ、どうだろうな?」
赤いマントを羽織った堕天使がニヤつく。恐らくそいつが二人のボスなのだろう。
3人を睨みつけながらエレナが構える。が、堕天使は動く素振りすら見せない。
「ほら、どうした?殺すんじゃ無いのか?」
赤いマントの堕天使が挑発する。
あいつはこの状況を楽しんでる…。フードのおかげで表情は見えないけれど…。
「そうね。仕方が無いけれど殺させてもらうわ。相互不干渉の均衡が崩れてしまうのは避けたいの」
そう言い、背中から蝙蝠のような黒い翼を生やした。悪魔の翼だ。
漸く堕天使達も身構える。エレナは右手に闇の鎌を造り出し、堕天使達は光の槍を造り出す。
天使は「光」、悪魔は「闇」を操る。「光」と「闇」は相反する力で、擦り傷でも大きなダメージとなる。
下っ端の堕天使2人が走り出した。エレナは神威で瞬時に堕天使の前まで飛び、横薙ぎに鎌を振った。
神威とは魔力を脚に溜め、瞬間的に暴発させ、生じたエネルギーを脚力に変えることで超高速の移動が可能となる、最もオーソドックスでかつ高度な魔法だ。上級者になるとその速度は光速を超えるとまで言われている。
エレナにぶった切られた堕天使の身体が二つに分かれる。
「アァ!オゴッ、ガァ……!」
という言葉を発し、ボトボトと崩れ落ちる。
エレナはそのままもう1人の堕天使に斬りかかった。
ガキィィーン!!という鎌と槍がぶつかり合う音がする。
「チィッ!」
堕天使が舌打ちをした。鎌を弾き、間合いを取る。
するとエレナは赤いマントの堕天使が何もしてこないことに気づく。
ふんっ。そんなボス面してられるのは今のうちだわ。どうせ下っ端なんだから。
再度堕天使に斬りかかる。思いっきり振り降ろされた鎌は光の槍を砕き、堕天使を真っ二つにした。
「ギャアアアアァァ────!!!」
悲痛な叫びが辺りに響き渡る。
「あと1人」
エレナが赤いマントの堕天使に斬りかかろうとした時、堕天使が口を開く。
「本当にどいつもこいつも使えん奴ばかりだ。────さて、エレナ・オルフェウスよ。私の顔、憶えているだろう?」
そう言って堕天使はフードを取った。堕天使の顔を見た途端、エレナは激しい憎悪に襲われた。何を隠そう知っている顔だったからだ。
「あ、貴方は、ヴィルドラン!」
ヴィルドラン・クリナルム。堕天使の中でNo.2に君臨する男。そして、十二年前の「聖戦」で、神側の反乱を手引きした男だ。
こいつは 絶対監獄に収監されていた筈…。
「何故、貴方がここに居るのよ…⁉」
エレナはヴィルドランを睨みつけながら尋ねた。
「そりゃあ、脱獄したからに決まっているだろう?」
「有り得ない!脱獄は不可能よ!」
絶対監獄の牢獄には扉が存在しない。更に、魔法もどんな攻撃も通用しないよう魔法や呪いがかかっている。よって脱獄は不可能な筈だった。
だが、奴は目の前に居た。
エレナは、最初は幻術か何かによる成りすましなどではないかと思ったが、全身が磔にあったような殺気から本人であると容易に判断できた。
エレナの困惑する顔を見たヴィルドランが嗤い出す。
「フハハハハッ!!愉快だな、おい。何故脱獄できたか?正解は替え玉だよ。とても古典的だが、素晴らしい遣り方だ」
「巫山戯ないで!そんなのやり方が通用する筈が無いわ!」
絶対監獄がそんな失態をするとは到底思えない。
「存外簡単に脱獄することが出来た」
さも当然だというように述べるウィルドラン。
「でも、今更貴方がここにいることをどうこう言ってしょうがないわ。せめて、私が冥界へ送ってあげるわ!」
再び鎌を構えたエレナは走り出す。そしてヴィルドランめがけ鎌を振る。だが、ヴィルドランは右手を上げると人差し指を突き出し、そのままエレナの攻撃を、それも光の弱点である闇の攻撃を指一本で防いでしまう。
「なっ⁉」
「子供だな。が、こんなものじゃないだろう?聖ヶ丘のエースさん…?」
「────っ⁉」
視界がぐらつく。気づいた時には廃ビルの屋上へ叩き落とされていた。
ドゴッ!!!という音と共にエレナの身体は屋上を突き抜け、1つ下の階の床に全身を打ち付ける。肺に入っていた空気が一気に抜けた。
な…なんという力…なの…?こんなのに勝てる訳が…。
「悪いな、シューガルト…。お前の娘は私が殺す」
上空ではヴィルドランが巨大な光球を作り始めていた。その規模は廃ビル消失では到底収まりそうもない。
に、逃げなきゃ…。
しかし、エレナの身体にはそんな力は残っていなかった。