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第7話  猛視点 見えぬ敵

曾祖母の特訓は厳しい 本気で攻撃してくる

気を抜けない、ピリピリとした試合の気迫に

滲む汗、一瞬の間合いを見て構えていた木刀を振り下ろし突っ込んだ


「遅い!もっと足を使え!」

「戦いは総合力だ使えるものは全て使え!」


軽々と杖で、弾かれた、胴を打たれ

転げた瞬間、杖が振り下ろされ眼前で止まった


老体なのに、どれだけの力があると言うだろうか

子供の頃から、運動能力も反射神経も人一倍

並はずれた俺を、赤子をひねるようにメタボロにやられ続けた

やられ続けたのだ

102歳の曾祖母にだ、、、、化け物か、、、


「まだまだだ!」


直ぐに体制を整え、式神を放ち、注意をそらせ

呪文を唱えつむじ風を起こし

目くらましを繰り返し

複数の呪術を扱いながら

右に左にサイドスッテップを踏み打ち込んだ、

曾祖母の杖を弾き飛ばした。


「短時間でよくここまで習得できた

見事じゃ。猛は血筋を受け継ぐ者だからだろうなぁ」


特訓に明け暮れた数日間だったが

成果はあったようだ。

その後、結界の張りかた等、さまざまな伝授を受け

クタクタになった。お婆さんのどこにあんな

スタミナがあるのか、ふと疑問に思った


お手伝いさんが

風呂の用意と着替えを持って来てくれ

案内してくれた。

サウナ室の隣に岩と岩の間から

お湯が流れ出ている、岩風呂風の何とも

贅沢な作りで、まるで温泉宿を思わせる

くつろげる雰囲気の空間が湯気でかすんでいた


ふう~ッ。

手足を伸ばしてゆっくりと湯船につかった

傷がヒリヒリ浸みる、見ると

あちこち擦りむいたり打撲したりしていた

傷を見ながら特訓のシュミレーション複数の呪術を

まず迅速に、迅速にだ、そして効果的にしたらいいかを

思い描いていた。つむじ風を起こした呪文を

水にも使えないかとやってみた

水柱が立った、かと思うと、、、

ふえ~~。。溺れそうになった

自分が入っている時は、決してしてはいけない事が解った。。。


*  *  *  *  *  *  *  *


曾祖母は、「わしは命を掛けてもお前を守るが

なにせ歳には勝てん、足で纏いになろう。直接の

戦いには出ないほうが得策だろう」と言った。


当然だ高齢のお婆さんを戦いに連れ出すことは

俺が許さない、


「大丈夫!俺が必ず倒す!」と宣言したのだ。


主攻撃が俺でサポートがクルルでいいか

しかし敵の力も未知数だ

短時間で倒せる相手だとは思えない

長時間の戦いになる可能性も充分にある

無駄な動きをなくして体力の温存もしなくては。。。。。。

トプンと湯に頭まで浸かった。


浴衣に着替え熱った身体を冷ますように

灯楼のある庭を散策した。

ふと、クルルがいないことに気がついた

最近、夜になるといないのだ

いつも、俺に纏わり付き、スリスリして甘えてくるのだが

はて?雄猫でも出来たのかな。

まさかな。それはないな


思念で見せてくれた少女の所だろうか

色んな災いをなして来た負のエネルギーの

根源が昏睡状態の少女だというのは解ったが

果して、その少女を目の前にしたら殺すことが出来るのだろうか

彼女は、何も悪くはなかった、あんな事故さえ無ければ

幸せに暮らしていただろう。


絶望の中で無意識に創られていった

負のエネルギー其れが暴走していって

大勢の罪も無い人を犠牲にしたと解った時に

彼女は苦悶に駆られたに違いない

苦悶の果てに作ったのがクルルだったとは

自分を殺す為に。。

其れしか彼女は方法が無かったんだろう、

だったとしても本当に

他に方法は無いのか。。。。

もしかして俺とクルルを引き合わせたのも

彼女かも知れない、そう思うと何とも切ない

気持になるのだった。



いくら考えても方法は見つからない

そして負のエネルギーを野放しにするわけには

行かないのだ。

昏睡状態の少女の胸に剣を付きたてることが

出来るのだろうか?

もし倒すことが出来なかったら負のエネルギーの影響を受けた

妖魔が増え続け世界は混乱する。


一抹の不安が胸に渦巻く。

非情になれ!。。。殺人マシンになれ!。。。

非情にならなければ勝てないと鼓舞するが

俺の憂鬱が拭えない

クルルもきっとそうなのだろう。


明かりに照らされた庭をぼんやり眺めていると

どこからかクルルがやってきてスリスリしてきた

クリクリした目を覗きこみ、ぎゅっと抱きしめた。


クルルが思念を送って来た

クルルを呼ぶ声に導かれ

道を走り、橋の上からトラックに飛び乗って移動し

信号待ちの時に飛び降り、屋根をいくつも

飛び越えて、病院に着いた。大きな総合病院だった

しばらく病院を眺めていた

病院の地下2階セキュリティのしっかりしたところに

少女は収容されているらしい

病院側も少女の対処に苦慮しているのだろう。

ふむ。そこまでたどり着く方法も考えないといけない



「見取り図が必要だな。」そう思っていると

さらに思念が入って来た。クルルの思念。



玄関から、守衛室向かう、そこには2人居てモニターがそれぞれの階の

映像を映している。その守衛室前をカメラの死角を抜け通っていく

階段を地下2階へと降りると、そこから長い廊下が続き

両側には扉がそれぞれあった

一番奥の扉の部屋から異様な雰囲気があり

クルルを呼ぶ声はそこからだった。


その扉は頑丈なジュラルミン製でカードキーに

なっている


病院を爆破するわけにはいかない。

カードキーだけを破壊出来ないものだろうか

いろいろ悩んだ末に結界を張って

カードキーの部分だけ破壊することにした

それがだめならドアを破壊する

結界で音、振動は緩和されるだろう

確かめたことはないから、確信は持てないが

やってみることだ


決行日を3日後と決めた

明日の朝、曾祖母に報告するとしよう



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