第6話 猛のお婆さんと覚醒
電車に乗るには 私はゲージに入れないと乗れない
んで、猛の懐に潜り込んで電車に乗ることになった
むふふふ。。。暖かい 猛の匂いがする なんだか安心できる
疲れもあって適度に揺れるので うとうと眠りについた
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んー?。。。。 白いワンピースの少女
車に乗ってる。おそらく両親だろう
父と思われる人が運転して
母親と思われる,ほっそりした優しそうな人が助手席から
笑顔で少女に何か言ってる。少女は後部座席で
笑ってる。隣には男の子、弟だろうチャイルドシートで寝てる
何処かに遊びに行った帰りだろうか、楽しそうだ
高速道路を走っているようだ。辺りは薄暗い
突然目が眩むようなライトの光 突如大型のダンプが目の前あった
ビクッとして目が覚めた。嫌な夢を見た・・・
あまりにもリアルだった。
ブルッと身震がした。
電車。バス。タクシーと乗り継いで
目的地に着いた。
周りには高い木々が立ち並び他の建物はなく
道路から階下を見下ろすとそこには家が立ち並んで
いるがこの辺りにはこの屋敷だけのようだ
高い塀がぐるっと囲み 門には大きな木の扉
まるで武家屋敷を思わせる豪邸だった
呼び鈴で、慌しく出てきたのは50歳代の
お手伝いさんだろうか
「まぁまぁ猛おぼっちゃま、ようこそおいで下さいました
大奥様がお待ちしていましたよ。」
と案内された。
門から玄関まで石畳が続く真ん中辺りに石の橋がかかっており
その下には右に折れるような、いびつな形の瓢箪型の池広がっている
満々とたたえた水の中には40㎝ほどの、色とりどりの錦鯉が
何匹も悠然と泳いでいる。数百万もする鯉もいるのだとか。
池の周りには手入れの行き届いた木々や草花。
趣のある石などが並んでいて重厚な日本庭園になっていて
主の趣味の良さを感じさせる
8畳ほどの玄関、所々に飾られている調度品も
年代物を感じさせる
そこから廊下を通って部屋に案内されるのだが
廊下の横は これまた枯山水の庭園が広がっている
波の紋様を刻んだ砂に戯れたい衝動に駆られるのだが
猛はずんずん進んでいくので後に従った
部屋に通されたら一人のお婆さんが座っていた
すごいオーラを放っていて眼光は鋭い
私はその威圧感に怯え猛の後ろにと隠れた。
「曾祖母様、ご無沙汰して申し訳ありません。」
「猛。久しいな~。いい青年になったじゃないか
ますます死んだ、父親ににてきたわな」
おばぁさんは、安部康子と言った
安部清明の末裔だという
うわ~ッツ
* * * * * *
そう言えば猛の姓。。。安部猛だった。。。。
この展開。でも強い味方を得たんだよね
「ところで、その子か」
そう言われてビクンとした。恐る恐る
覗くと優しい笑顔になっていた。
猛は、結界・ドーマン・式神などお婆さんに
伝授してもらう為、数日修行することになった。
私には首輪に赤い宝石が付いているのをもらった
魔力を上げる事が出来るアイテム
ってか首輪じゃん。。。
なんか、従えられたような気分になるが
まぁネックレスと思えばいいか
「ところでクルル、お前なら解るはずだ、負のエネルギーの
何たるかを、どこから来ているのかも、そしてどうしたら良いかも
解っているはずだ。
何が起こっても決して、迷いがあっては 負ける!
必ず倒すとの決意はあるのか?」
優しかった顔が修羅のように見えブルった
最近夢に見る少女が関係しているであろう事はなんとなく
解っていた。
あの少女が何なんだろう
お婆さんは、何を言ってるのだろう?
あの少女の事を考えながら寝てしまった
* * * * * * *
白い部屋にいた
さまざまな機械が並んでいる部屋
その部屋の中心にはベッドがあり
少女が寝ている
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壮絶な自動車事故、ダンプは居眠り運転で
反対車線に突っ込んで正面衝突をした
両親、弟は即死、
ダンプの荷物の鉄筋が
後部座席まで貫き
少女は頭を深く損傷していた
病院に搬送されてあらゆる処置を施された
権威のある脳学者達が治療、研究、実験を繰り返したが
以前反応は無く 10年以上に植物人間なのだ
でも彼女は意識は必至で訴えていた
目は開かない、手足も動かすことも出来ない
言葉も発することは出来ない、でも耳は聞こえているのだ
生きていると伝える事が出来ないのだ
この事実が解った時に気が狂ったように
泣き叫んだ、しかしいくら泣き叫んだところで
どうにもすることが出来ない
深い悲しみ、苦しみ、深い絶望。。。。。
それがやがて強い憎しみ、怒り、憎悪にと
発展していった
黒々とした憎しみはやがて黒い煙のような形となり
少しずつ、少しずつ増幅していった。
そんな時、50過ぎの研究員のドクターが一人で
やってきた、彼はニタニタと薄気味悪い笑いを浮かべながら
少女の病衣を脱がし始めた
胸を揉み、手は下腹部にと這って行く
「嫌!やめて! やめて!!」
脂ぎった顔、恐怖と怒りと憎しみが頭を突き抜けていく
バシッと音が鳴ったかと思うと男は仰向けに
倒れた、胸には焼け焦げた様な後が残っていた。
病院内は大騒ぎとなった
医者が植物人間の少女を犯し、その本人は何者かに殺害
されていたからである
少女は裸にされシーツには、血痕もあり男の体液も残されていた
しかし殺害の凶器が判明しないのである
関係者は何かゾクッとする様な悪寒を覚えたが
犯人の医者は心臓麻痺ということでかたずけられた
その後、若い女性の看護師が専属につくようになった
彼女は献身的に世話をしてくれた
植物人間の少女の身体を拭き
「今日はいい天気よ。気持ちいいわね」と語りかけてくれた
ある日、今日は16歳の誕生日ね
「おめでとう。プレゼントよ。良く似合うわ。」
と言って髪をとき、赤い髪飾りを付けてくれた
そして、少女の頬に、ポタリと涙が落ちた。
その涙が、少女に深く、深く染み込んでいった。
黒々とした彼女の心に、小さな明かりがともった
しかし少女は黒々としたエネルギーがもうコントロール出来ない
ところまで強大になっている事を知っていた
その希望の小さな光の中から猫を醸し出した
「そう、クルル貴方は私。私を倒す為に貴方を作った。」
飛び起きた。
そう。思い出した。
クルルは彼女を倒す為に作られた彼女の分身だったのだ
「迷いがあっては負ける!」
お婆さんの言葉が深く突き刺さった