第4話 駅に向かう
線路沿いに移動して駅に着けば情報が得られるかもしれない
途中で車が通ったらヒッチハイクしよう
スーパーの袋には、ペットボトルの水、おにぎり、チョコと
お菓子が少し入っている。
食料は貴重だ、どこかで補給しないとね
いざという時に、両手が空いていたほうがいいので
スーパーの袋をリュックの様に背負おう
ちょっと不細工だが、いざという時のためだ、止むを得ない
猛はそうブツブツ呟きながら今後の方向性を確認し
身支度を整えていた。
スーパーの袋のリュック!!ブハッ、ぎゃはははは
「袋に黄色の大きなニコニコマーク、変態にしか見えない!」
ぎゃはははは~ 転げて笑ったら、殴られた。
道路はひび割れて、ところどころ隆起している
水道管が破裂して噴水のように噴き上げている
足元には無数のガラスの破片
ビルも1階がつぶれている。
皆、避難したのか、人影はあまりいない。
行く手には道路が寸断されて大きな穴があいている
直径10メートルほどあろうか
深そうだ、中を覗こうとしたその時
突如、穴から何かが飛び出してきた。
「クルル!」
猛が叫んだ。
鼠か。、やはり黒々とした負のエネルギーを
纏って3メートルほどに巨大化している。
その中に赤い目が不気味に光っている
まるで、私たちの行く手を阻んでいるかのようだ
牙をむき、突進してきた。 !!早い。
すんでのところで、左に飛び上がりよけた。
しかし敵は俊敏だ、直ぐに獲物を捕らえるかのように
攻撃してきた。
「こっちだ!」
猛が叫ぶ!
その声に鼠は、猛へと向かった。
手には太刀が握られていた。
不安定な足元、その為よろけて尻もちをつき鼠の脇腹を
浅く切りつけただけだった。
猛は剣を構えてはいるが、尻もちをついた状態では
攻撃を交すことは出来ない
鼠との距離は約2m 次の攻撃で猛はやられる!!
殺られる前に 殺る!
妖魔が、猛に飛びかかった。
「させない!!」
全身の毛が逆立つほどの殺意が
光りとなって全身を包む、その瞬間
稲妻が鼠へと炸裂した。
黒こげになった鼠はやはり、シュウシュウと泡となり
掻き消えていった。
猛を見た。怪我はないようだった。
手と頬を舐めた。
びっしりと汗が滲んでいる
危ないところだった。
マンホールの妖魔のときの様に稲妻が出なかったら
死んでいたかもしれないと思うと、ゾッとした
猛を失いたくない。
真っ黒な負のエネルギー、これが生き物を
妖魔へと凶暴にしていくのだ。
そしてこの負のエネルギーを私は知っている
以前、どこかで。。。。。。
。。。倒せと言われた。
* * * * * * *
戦慄が走る、怖くて、怖くて、丸くちじこまり震えが止まらない
今回は勝てた。
次回も勝てるとは限らない
雷もまともに出せなくってどうして戦える?
他に武器は? ない!
猛の武器は? ソード、何でも曾祖母がお守りとして
肌身離さず持って置くようにと渡されたもので
念によって刃先が出てくるものだそうだ
武器はともかく技は未熟だ
もっと武術の訓練をしないと今のままではたどり着く
ことも出来ないだろう。 犬死にだ!
これからもっと、襲ってくるであろう敵も 未知数。
単体なら、まだしも複数で来られたら、囲まれたら
勝てる気がしない。
怖い。 怖い。 怖い。
目の前が真っ暗になる。。。。。。
嘆いていてもしかたない。
考えろ。考えろ。
猛は剣の修行が急務だろうが教えてくれる師匠もなくどうする?
私は雷だが、操れるようにするにはどうする?
。。。。。。。。。。。。
とにかく移動しながらまず体力作りとしか思いつかない
猛の曾祖母は何か知ってるのだろうか
会って一連の事を見いてみたい
山口まで行くのに敵に遭遇しないことを祈るのみ。
それは、無理なことだろう
敵は私を倒すことを目的としているのに
違いない。
私が強くなくてはいけないのだ
雷の発生とコントロール以外にない
かなりの威力も必要になるだろう
断続的に雷を使えるようにするには
どうしたらいい?
目の前には、真っ黒な負のエネルギーまだ見ぬ敵が
そそり立つ大きな壁のようにしか見えない
押しつぶされる重圧感、無力の私と猛。。
絶望と恐怖しかなかった。
猛の曾祖母に会えば何か光明が見つかるかもしれない
それを祈ろう。