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拒絶された世界の中で  作者: ヒグラシ
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八話 再度

 


「少年!!」

 陽炎は叫んだ。

「あれ?陽炎隊長何で居るんですか?」

「お前を殺して、俺たちの仲間の復讐を果たすためだ」

「じゃあこの子の復讐もしてあげたらどうですか!!」

 慈飛は少年を思いきり蹴り飛ばした。

 陽炎は少年になるべく衝撃がかからないように気を付けながら少年を受けとめた。

 下手に衝撃を与えてしまうと少年の身体は、完全に二つに分かれてしまうのだ。

「おい…少年!!起きろ!!亮や俺たちの報いを受けさせるんだろ!死ぬな!!」

「無理ですよ…陽炎隊長。そいつは右肩から左腹部まで、きちんと一刀両断してあげたんですから!心臓だってしっかりと斬ってあげましたからね!!」

「黙れ!!」

「陽炎隊長に教えてもらったように、確実に殺しましたよ!!!」

「黙れ!!!!」

「あの時もそうでしたね!!『黙れ!!!』って、馬鹿の一つ覚えのように叫んでましたもんね!力がないから失うんですよ。大切な仲間たちをね!!!!」

「なら体感するんだな…これ以上失うことはない。お前が死ぬことで終わりだ!!」

「そうですね…終わりですね!最後に隊長を殺してね!!!」

 陽炎は再度「炎龍」を召還した。

「呪言で完全状態にしなきゃ、僕には勝てませんよ…」

 陽炎は慈飛の発言を無視し、少年を「炎龍」の背中に乗せた。

「『炎龍』少し離れてくれ」

 そして「炎龍」はその場を飛び立った。

「英霊を出しながら戦うなんて余裕ですね」

「ハンデだよ。負けた時の言い訳できないぞ…」

「逆に隊長は言い訳できますね!!」

「そういうことにしておきやがれ!!」

 陽炎と慈飛が遂に交戦した。



 少年は目覚めた。しかしそれは現実ではなかった。

「また夢か…」

「おい!!!!」

「えっ?!」

 声が少年に聞こえた。

 そしてその声がした方向を少年が振り向くと男が立っていた。

「あんた…誰?」

「あっちゃあ…知らないか」

「というか夢の中に知らないやつが出てくるんだ?そして何でしゃべれるんだ!」

「説明しにくいな。ここは夢の中ではない。しかし夢の中に近い世界だな」

「うん…理解できない」

「仕方ないな…ひとまず言うとお前は死んだ」

「まぁ死んだな…斬られた感触も痛みもあるしな」

「でもお前はここで死んだだけだ。もう少しすればお前は甦る」

「言ってる意味がさっきから矛盾していて、滅茶苦茶なんだよ!!」

「仕方ないだろ…俺もこの世界をまだ完全に理解することができていないんだから…」

「え…?どういうこ…うっ!!熱い!!!」

 少年の全身から熱が発生していた。

「再生だろうな…」

「さ…再生?」

「お前の身体の傷が塞がって、甦るんだ」

「そうか…もう一度あいつを殺す機会が手に入るんだな!!」

「あぁ…しかし一つだけ覚えておいてくれ」

「なんだ?」

「お前のあの感覚には『血』が関係しているはずだ」

「『血』?」

「あぁ、そうだ」

「分かった…ありがとな」

「もうお前の傷も塞がっただろう」

 その瞬間に少年を激しい痛みが襲った。

「さぁ行ってこい!!」

 そして少年の意識は薄れていった。



「はぁ…はぁっ…」

 少年は目覚めた。

「確かに一刀両断されたはずなのに…直っている」

 そしてようやく少年は今自分がどんな状況なのか理解した。

「ここは『炎龍』の上?!!そうか陽炎が俺を逃がしてくれたのか。なぁ『炎龍』!!俺を陽炎の所まで連れて行ってくれないか」

 その瞬間に「炎龍」は、方向転換をするために旋回した。

「やるなら言ってくれよ…ありがとう」


 陽炎と慈飛は、距離を取り合っていた。

「本当に強くなりましたね」

「あぁ…あの時のお陰でな!!!」

 陽炎は距離を詰め、慈飛に向かい斬りかかった。

「返り血浴びちゃったらあの子と一緒になりますよ!」

 しかし陽炎は気にすることなく慈飛を斬りつけた。

「畜生!!だがこれで終わりだ!!」

 陽炎は少年と同じように慈飛のもとに引き込まれた。

 そして陽炎は慈飛によって心臓を剣で貫かれ、死んだ。

「結局成長せずに死んじゃうんですもんね!!あははっはっはは!!笑いもんですよ!」

「……その油断が敗因だ」

 心臓を貫かれ、死んだはずの陽炎は再度活動を開始し、油断していた慈飛の頭めがけて剣を振り落とした。

「何でだ…」

 しかし陽炎の身体は、少年が剣をはじかれた時と同じように慈飛のもとから弾き飛ばされた。

 そのため、陽炎は慈飛の頭を真っ二つにすることはできず、右目を失明させることまでしかできなかった。

「なんで隊長…あんた動けるんだ?俺は確実にあんたの心臓を貫いたはずだ!!」

「俺たちの核となる部分は心臓にあるよな…」

「そうに決まってるよな…あんたが教えてくれたんだもんな」

「もしその核が二つあったら死なずに再生出来るよな!!」

「あんたもしかして『同族喰い』を行ったのか?!」

「そうだよ…そしてさらにお前の予想は外れたぞ!あいつが甦ったぞ!!」

「嘘だろ…あいつも…」

「そうだ…『吸血鬼』だ!そして『同族喰い』も行っている!」

 その時轟音が響き渡った。


 少し前

「炎龍」が陽炎が一時的に死んだことで消滅し、少年は落下していた。

「嘘だろ?!!もう目の前に二人が見えるのにここで落ちるか」

 そしてその時に恐ろしいことを聞いたのである。

「そうだ…『吸血鬼』だ!そして『同族喰い』も行っている!」

「え…?俺のしょう…」

 その瞬間に少年は地面に叩きつけられた。

 そしてその轟音は「鋼帯」一帯に響き渡った。


九話です。

感想お待ちしています!!!

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