五話 幻想
11/13に大幅リメイクしました。
どこが変わったは無く、全てが変わりました…
(ここは夢か?いや、そうじゃ無いとこんな所に居る訳が無いな)
少年が夢と判断したものの中では、自分はよく分からない液体の中に閉じ込められていた。
(あれ?身体が重い。じゃあ、あそこで俺は暴走して……もしかして死んだのか。あの原因も見つけられずに?だとしたら虚しいな)
「消えていない?!」
(え?)
少年が考え事をしている間に目の前に女性が立っていてら自分へ話しかけてきた。
「やっと完成したの!意識もあるのね!!やはりアレをベースとして改造したのが正解だったのか…実験体だけだとつまらないわね。ならば名前を付けようかしら。そうねぇ、私と彼の愛の結晶だから……じゃあ」
名前。それは彼が最も欲しがっていたモノ。
(名前だと!教えてくれ!!)
「…………」
(何故?何故聞こえない!!畜生がぁっッッッツ!!)
少年は叫んだ。勿論声は出ず、相手には届いていない。だが叫んだ。
(聞こえないなら、目の前にある奴を叩き割れば、ちょくせっ??がふっ……ごふっ?)
少年が前にあったガラスを叩き割ろうとした瞬間、少年の脳内に激痛が走り、そのまま暴走からの束縛から解放され、目覚めた。
(ここは……)
「はっ……やはり夢だったか。夢の中でも名前に縋るとはな。口が痛い…裂けたみたいな痛みだ」
口の中では暴走中にでも怪我をしたのか、血の味が広がっている。
「えっと……そうだ、戦ってる途中であの感覚が起こったんだ」
状況を確認するために少年は辺りを見渡し、そこで恐るべきものを見た。
「は??えっ???ど、どうい…う、嘘だっ!嘘に決まってるだろ!!!こんなこと……」
少年の前には右腕を斬り落とされ、血で全身を汚しながら倒れている亮がいたのだ。
「腕が斬れてる……また俺が?俺がなのか?いやいやいや」
「おい……」
後ろ側から声がする。
「え?」
少年はその言葉の主を知る為に振り向く。そこには、敵の隊の隊長かとと思える風格を持った男が立っていた。
「なんだよ?今、分からない事を整理してるんだ」
「お前がこの隊の奴らを喰いまくった少年か?」
「は?」
「そしてお前はこの隊の隊長か?」
「え……」
少年は理解ができなかった。
(俺が?目の前のやつらを喰った?倒したんじゃないのか……??)
「質問にも答えられないくらいに狂っちまったか?」
(違う!喰ったわけないだろ!そもそも人間が人のこと喰うなんて)
「聞こえてないな…まぁいい、あいつの味方か敵かも言えないならば、ここで死ぬか?」
男は剣を鞘から引き抜き、少年に向かって振り落とす。
(喰う?人を喰っておいて実感が無いなんて事があり得るのか?いや…でもこの口の中に広がるのは?)
しかし少年は、自分が知らず、理解しようとしなかった理想が、残酷な真実によって破壊されたことで頭がいっぱいになってしまい、即座に反応ができない。
「あ……」
少年が振り落とされた剣に気づいたのは、目前の時だった。
「ちっ!この馬鹿が!!」
「え、亮?」
少年の前で倒れていたはずの亮が急に立ち上がり、左腕一本で剣で剣を受け止める。
キイィィイィィギィ!
「まだ生きていやがったか!!」
「俺も加戦しないと!って……」
少年は鞘から剣を引き抜こうとした。しかし、自分の鞘に剣が入っていなかった。
(殴るか?いや、そんな事はせずに周りの剣を……すまない、借りるぞ!!)
自分の左側にあった剣を少年は掴み、そのまま男の胴体を二つに分ける為に振る。
「チッ……!意外とやるな!!」
それを見た男は、亮との鍔迫り合いを止め、押し飛ばす。そしてその勢いを利用して後ろへ飛んだ。
(追撃する!!)
「らぁぁぁ!!」
先程まで混乱していたのが嘘かのように、少年の脳内は冴えている。
「喰ったかは後で知る!今、俺がここに居る理由は一つだ!」
(絶対に亮を生きて返す!!それがここに亮と一緒にいる意味。そのために俺はここに居るんだ!)
少年は剣をもう一度強く握りしめ、男に向ける。
「亮!!合わせろ!ぶちのめしてやる!」
「あぁ……荒波達の敵討ちも兼ねてか」
「ここからが反撃だ!!」
「ならやってみろ。慈飛の仲間風情に負ける訳にはいかないんだよ!」
反撃の時、亮は疑問があった。本当にこの男は、あの隊の隊長なのかと。
読んで頂きありがとうございます!
今回もリメイクによって跡形もないものになってしまいました…
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