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拒絶された世界の中で  作者: ヒグラシ
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三十七話 衰弱

 

「上から来るぞ!」

「誰か!落とせ!!」

 ブイングの叫びにも近い指示を聞き、崩れかけた隊は立て直しを図りながらも葉宮に攻撃を行っていった。

 急な対応で急いでいたからという理由で弓兵隊を連れてこなかったのは間違いだったな。早く「這蛇」の範囲を広めなければ…

「俺は火を!!だから…」

「分かっているから黙ってやれよ!」

「指示なしで勝手にやって怒るのはおま…っばぁあ?!!」

 空から迫り来る剣を能力者の隊員達は、各々の能力で防いで生き残ろうとしていた。

「こっちもたす……ぁぁぁああー!!!」

 しかし全員が生き残る事は不可能であり、じわりじわりと死者が増えていった。


 能力者の位置を……あそこはこっちの手でと。

「ぎゃひゃぶちゃん」

 破宮は能力者の位置を確認し、自分の手で剣を投げることで正確に殺していた。

 “まさか落ちるのは”

 お前の考えている通りだ。対峙する際に厄介な能力者から殺している。俺がわざわざ目立つ行動を取れば能力者は俺の事を狙って攻撃してくる。それをこっちで確認してから殺せば、後は「投影」で造り出した剣に串刺しにして皆殺しにすれば良い。

 “冷静になったな”

 あぁ、綾波のことは嫌いだった。だがあんな恐怖に怯えた状態で快楽に浸るかのように殺しをするならば、俺もあいつらに理不尽と言われるほどの殺し方をしてやるよ。あいつらに生きる価値は無い。死ねばいい。いや…俺が殺すのか。

 “そこまで言うようなら俺から提案だ”

 なんだ?

 “円ってあるだろ?”

 あるな。俺が思い浮かぶのは丸いのだが。

 “それで合っている。俺の提案というのは、剣を造り出す際に無意識に空間にばらけた感じに造っているが、今回だけはしっかりばその円の形を頭に思い浮かべながら場所の指定をしてから造り出すという事だ。そうすれば簡単にブイング隊の端にいるやつらを串刺しにできる。目の前でそんな姿を見たら恐怖で隊員達は後ろに後退するはずだ”

 なるほど。造り出す際に場所の指定は疲れるんだがな…それで中央に集まってから、生き残りを再度造り出した剣で殺すという事か。ならば指定していたその円の外側にいたやつはどうする?

 “五月雨隊に任せればいいだろ。動揺も隠せず逃げ出すだけだ。抵抗もできずに五月雨隊に殺される”

 そうか。ならばやろう。

 即座に破宮は端にいるおおよその隊員の数を確認して、剣を頭上に造り出した。


「はぁ…はぁっ!!と、溶けたぞ!」

「こっちも動きが止まったー!!」

「やったぞ!!」

 隊員達は剣を止めた事に喜びを隠せなかった。

 しかし剣を止められたのは彼等の実力では無く、破宮が「龍飛」の利用を止めた事で無限に造り出され、振り続けている鉄の雨の加速が消え、重力の自由落下に従って落ちてくるだけで、先程よりも時間をかけて対応することができる時間があったからだ。

「もう止められる!!手こずらせやがって」

 それに気づかない隊員達は調子に乗り、落ちて来る破宮を殺そうと考えていた。

「ぎゃぁ!!!!」

「たずけっぁあうぇ」

「なんだ?!」

 最初に悲鳴が響いたのは後ろだった。

「まっ、前からも?!」

「なにがっ………」

「腹に……」

 そしてそこから前、左、右…と様々な方向から悲鳴が上がった。

「嫌だ…たずけでぇぇえぇえ」

 この時破宮はただ端の人間を串刺しにするというだけでは物足りないと思い、殺して柵に使う事を考えて、剣を造り出していた。

 しかし頭上に造り出され、勢いよく放たれた剣は、端にいる人間全員を殺すという事は成功しているが、全員を完全に串刺しにして柵を造る事には失敗してしまっていた。

 失敗の理由としては、角度の調整が適当だったことともう一つの能力を「龍飛」と共にいきなり使ってしまった事があった。

「おい…さっきまで生きていただろ?どうしたんだよ?!何が何だか分からない!どういう事だよ!」

 それも当然だ。目の前には頭から足まで剣でしっかり串刺しにされている死体もあれば、首を撥ね飛ばして尚その勢いが衰える事を知らずに、後ろにいた者の腹にまで剣が突き刺さっている事もあった。

「さ……下がるぞ!!」

「お、おう!!!」

 目の前に肉柵を造られてしまった隊員達は後ろへ撤退して、破宮達の予想通りの結果になった。


「うっ……ごふっ…げほっ…」

 衰弱していくブイング隊を見ていた五月雨隊の隊員の中には、余りのグロさに吐き出す者もいた。必死隊と成り、死ぬ覚悟も見捨てる覚悟もしっかりとできていた隊員達がだ。

「これが……破宮の能力か」

 そして五月雨さえも破宮の能力に恐れを感じていた。

 五月雨隊は一時的に安全圏にいる中、恐怖というたった一つのしか感情を感じていない。それならばブイング隊はどうだろうか。

 これを目の前で見て、そして今もその死の恐怖を感じているのだから。


現状報告

柊隊 死者数 約八百六十人 備考 綾波千人将死亡

ブイング隊 死者数 約三千八百十人 投降者 約六百人



読んで頂きありがとうございます!


遂に遂に主人公の破宮が活躍してくれました!!

次回も続けて活躍します!


感想、質問、誤字脱字などの指摘をお待ちしています!!


twitterにて、この作品の新規設定(とてもくだらないような情報からこの後の話に関わってくる情報までたくさんあります)を公開しています!

URL:twitter.com/higu_kaiを入力する。

もしくは@higu_kaiで検索して頂ければ多分出ます。

見て頂ければ幸いです!

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